表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瞬間移動で逃げるだけ!〜S級冒険者の裏切り者として追われた俺、気づけば魔王軍の最高幹部になってました〜  作者: 太田
第1章 逃げて逃げて逃げまくれ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/12

第6話 まさかまさかのS級冒険者⁉

「ダレン! 郵便よ!」


 その声に、俺は夢の底から引きずり上げられた。重たいまぶたを無理やり開け、ぼんやりした頭のまま二段ベッドから降りる。 


 部屋には、二段ベッドが2つある。だが、そこに他の誰かの姿はなかった。


 欠伸を噛み殺しながらドアを開け、きしむ階段を降りる。リビングに入ると、手紙を一通持ったマザーがいた。


「おはよ。他の皆は?」


「全く……いつまで寝てるのよ。もうとっくに学校へ行ったわ。そんな生活習慣じゃ、ここを出たあとのことが思いやられるわね」


 嫌味のある言葉に、俺は苦虫を噛み潰したような顔になる。


 ここは、フォード孤児院。


 魔物に親を殺された子、事故で家族を失った子。さまざまな事情を抱えた孤児たちが暮らす場所だ。


 俺の目の前にいるのは、マーサ・デュロ・フォード。皆からは“マザー”と呼ばれている。


 この孤児院の経営者であり、俺にとっては母親代わりの存在だ。


 俺は赤ん坊の頃、親に捨てられた。名前すらなく、最初からこの施設で育った。


 だから今の名前「デュロ・フォード」は、マザーの姓を借りたものだ。


「で、郵便って?」


「ああ、これよ」


 マザーが差し出した封筒を受け取る。


 中に何か硬いものが入っている感触があった。


(どこからだ?)


 封筒の裏を見ると、そこにはこう書かれていた。


【冒険省】


 この国の冒険者を管理する、国の機関だ。


(そういえば……昨日、フィーラー先生が言ってたな。冒険者カードが届くって)


 封を切ると、中から一枚のカードが現れた。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 冒険者登録証(ADVENTURER CARD)

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ■ 名前

 ダレン・デュロ・フォード


 ■ 年齢

 18歳


 ■ 生年月日

 誕☓☓☓☓年 3月4日


 ■ パーティー

 所属なし(ソロ)


 ■ ユニークスキル

 【瞬間移動】

 視認・記憶した地点へ即座に転移可能。

 [発動条件]

 ①移動先の強いイメージが必要。

 ②距離や方向を大まかに把握している必要がある。



 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ■ 基本ステータス(5段階評価)

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 攻撃力 :★☆☆☆☆ 1

 俊敏性 :★★☆☆☆ 2

 賢 さ :★★☆☆☆ 2

 精神力 :★★★☆☆ 3

 運   :★★★☆☆ 3


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ■ 魔法適性(5段階評価)

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 火 :★☆☆☆☆ 1

 風 :★★★☆☆ 3

 土 :★☆☆☆☆ 1

 雷 :★☆☆☆☆ 1

 水 :★☆☆☆☆ 1

 闇 :★☆☆☆☆ 1

 光 :★☆☆☆☆ 1

 無 :★★☆☆☆ 2


 ありえないほど、低いステータス。


(これで、よく冒険者になれたな……)


 我ながら呆れる。


「あら、冒険者カードねぇ。懐かしいわ〜。私も昔は持ってたのよ〜」


 ちなみにマザーは元冒険者だ。現役を引退したあと、このフォード孤児院を建てた。


 ふと疑問が頭をよぎる。


(……冒険者ランクって、どこに書いてあるんだ?)


 フィーラー先生は言っていた。


「レアスキル持ちなら、C級は硬い」と。


 本当だろうか。


 そう思いながら、カードを裏返す。


 そこには


 S


 ただ一文字、大きく刻まれていた。


「……ん?」


 思わずマザーを見る。


「マザー。冒険者ランクって、どこに書いてあるの?」


「え? 裏に文字があるでしょ。GとかFとか、それがランクよ」


 もう一度、視線を落とす。


 S


「……は?」


 マザーが俺の手元を覗き込む。


「……え……」


 一瞬、時が止まった。


「──ダレン」


 マザーの声が、わずかに震える。


「あなた……S級冒険者よ」


「ええええええええええ!?」


 俺の叫び声が、フォード孤児院に大きく響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ