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異世界駐在所  作者: clavis


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第4部第19話 東の森のアジト突入作戦⑵

巨大な男は、胸元から溢れた血を拭い、

どこから取り出したのかも分からないベルトを腰に巻き、右手をかざすと何やら紋章が浮かび上がる。

そして——機械音が鳴り響く


(I・S・Rシステム起動!!ハルクギア、オンライン!)


呼応する様に、男は叫び、浮かび上がった紋章を天に向かって突き上げる。


「変身!!」


ベルトからはさらに音声が流れ出る。


(ブレイク・ザ・ワールド!!)


それは単なる動作ではなかった。

空気が、凍る。

瞬間、森に“黒い雷”が落ちた。

四方に黒光が弾け、爆風が輪となって吹き荒れる。

木々は根こそぎ薙ぎ払われ、地形が変わるほどの衝撃。

黒い装甲が男の巨体へ瞬時に形成され、

仮面——いや、ヘルメットというより獣の頭蓋のような形状が男の頭を覆った。

■黒い角

■背中から吹き出す黒雷

■巨体を包む悪魔的外骨格

完全な “仮面ライダーの姿を模した何か” が完成した。

守が目を丸くする。


「や……べぇ……異世界で仮面ライダー!?なんか絶対ダメな方向に変身した……!」


凪は守に支えられて一人では立てない。

ギガスラッシュの反動が残り、足がまるで地面に縫い付けられたようだ。

異世界ライダーはゆっくりとカポエラの構えの様に左足を後方にずらす。


「仮面ライダー、覇流駆だ。さて、第二ラウンドといこうか。勇者。」


ベルトに右手をまたもかざすと、ベルトは紫色に光を発しはじめた。


(マキリマム・リミットブレイク!チャージオン!!)


異世界ライダーの左足に紫色のオーラが集結していく。

凪と守は身構える暇すらなかった。


「——ッ!?」

「チェックメイトだね、勇者様。」


異世界ライダーが言うが早いか、凪は体に張り付いていた牛?をライダーに向かって放り投げる。

牛?は走馬灯を見ているのだろうか?顔から色々な体液を放出しながら飛んでいく。


(デストラクション・オーバフロー)


「まずはそれから排除していこうかな。」


(カタストロフィマキシマムキィック!!)


ベルトの音声に合わせて、異世界ライダーは踏み込み、回し蹴りを放つ。

牛?と異世界ライダーの足が触れる瞬間、牛?は白く光り輝く。

と、同時に守達の視界は真っ黒に染まる。

一瞬の眩い光の後、牛?を中心とした衝撃派と爆音が当たり一体を襲う。

木々は薙ぎ倒され、防御姿勢を取っていた凪のウエポンマスタリーの六本の腕は悉く砕け散っている。

守の影によって、事なきを得たが、余波だけで人間を死傷するに足りる威力を物語っていた。


「ぐっ……!みんな無事かっ」


守の震え声。

凪は歯を食いしばる。


(あれを砕ける存在なんて……会ったことが……ない……)


異世界ライダーの声は落ち着いていた。


「あとはもう、僕がやる必要もないかな。」


その拳が、ゆっくりと振り上げられる。


「さあ、勇者。終わろうか」


左手の紋章が赤く輝き、ベルトにかざす


(スキャミングゲート)


急に無骨な門が空から降ってくる。

あれは何処から出てきたのか、物理法則は完全に無視して登場した門。

凪は立てない。

剣も握れない。

門からは、覇流駆に似た体格の怪獣の様なものが、数体で出てきた。


「生きてたらまた。」


そう言って覇流駆は門の中に消え、化け物達は黒いモヤに囲まれた守達を威嚇するのだった。

化け物達の一匹が口を開く。


「死ね。」


短く、簡潔にかつ行動に伴った発言。

化け物の拳が、信じられないほどの速度でモヤに囲まれた凪を殴りつける。

衝突。

爆音。

地面の陥没。

だが、霞を切る様に手ごたえはない。

化け物は不思議そうに首を傾げつつ、手をポンと叩く。

その動作はまるで人間のそれだった。


「勇者のスキルか。めんどうだなぁ。」


化け物は頭をかきながら、ため息をつく。


「お前、話ができるのか、一体なんなんだ!?」


化け物は答えない。

醜悪な笑顔を見せただけだ。

そして、口を開けると目の前の空間が一瞬歪んで行く。

それと同時に、化け物を中心として、地面が捲れ上がっていく。


「死ね。」


またも、短く化け物は言う。

確実に殺す為の技を発するだけの、動作だからこそだろうか。

そして、化け物の頭がぼんっと爆散したのだ。


「な、なんだ??」


守と同じく、周囲の化け物はどよめく。

守の背後——影自体が“裂けた”。

黒い影。

爪。

大きく裂けた笑み。

縦に割れた瞳。

“異形のなにか”が、守の影から這い出て来た。

口が大きく開き、笑う。


「ようやく——ここまで取り戻した。」


その声は重く、冷たく、だが妙に懐かしい響きを持っていた。

凪も、守も、そして化け物も動けなかった。

圧倒的な威圧に身体が硬直した。

守は振り返る。


「お前……また勝手に……!」


“なにか”は守の肩に手を置いた。


「感謝せよ。

 貴様の“願い”に応えてやっているだけだ」


“異形の神”は振り返り、守の前に立った。

その笑みは、深淵そのもの守は唇を噛む。

答えない。


「もっと願え。」

「何を...願えだって?」


影が揺れ、なにかの形が滲む。


「もっと醜悪な純粋な願いを、我に捧げよ。さすればこの世界の理をも、塗り替えてやろう」


背筋が凍る様な笑みを向けた瞬間。

黒い風が吹き荒れ、その姿は霧のように消えた。

同時に化け物達は次々と爆散し、肉塊となっている。

残されたのは、倒れた凪と、守と、呆然と立ち尽くすモモちゃんだけだった。

森は静まり返っていた。

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