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異世界駐在所  作者: clavis


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第4部第18話 東の森のアジト突入作戦⑴

東街道の奥、開けた空間に踏み込んだ瞬間だった。

地を踏み締める重い音がした。

次いで、木々の向こうからぬっと現れた影は——

4メートルを超える、異様な肉体。

丸太のような脚。

岩盤のような胸板。

筋肉が鎧のように重なり、皮膚は焼け焦げた鉄のように黒い。

その男は、ただ立っているだけで空気を圧壊させる。

守が息を呑む。


「誰だ?」


男はゆっくりと笑った。

その顔には、微塵も悪意はない。


「君達こそ、なぜこんな森へ?何しに来たんだい。」

「質問を質問で返すんじゃないよ。デカブツ。」

「気にしてる事をさらりというね。僕は君のこと嫌いだなぁ。」


そりゃどうも、と凪は吐き捨て、両手を前に出し詠唱する。


「プロミネンス・ボム」


巨大な男の周りに、赤い球体が急に現れて、光を放ちながら爆裂する。

音、光、熱の同時攻撃である。


「うわぁ!目が!!!」


なぜか味方の守はまともに食らった様だ。

モモちゃんは地面の虫に気を取られていて無事だったが音に驚いている。

凪は守をみながらちっ、と舌打ちをして


「気を抜いてるなら邪魔だ。」


吐き捨てるように言い放ち、巨大な男を注視するが、見当たらない。

次の瞬間。

——地面が揺れて、凪に向かって何か飛んできた。

巨大な男が勢いをつけて踏み込んだ瞬間、足元の地面が

大穴になり、飛んできたのは、4メートルを超える体躯から繰り出される蹴りと、その衝撃波だった。

踏み込みの衝撃だけで守は目を抑えたまま、転がって行ってしまう。


「ッ……!!」


だが凪は見えていた。


(間合いが……速い!)


動きはカポエラそのものだった。

巨体でありながら、体重をあえて利用し、

全身をバネのように撓らせながら、空中で一回転してのかかと落とし。

そのまま身体を捻り、両手の指で地面を貫き、支えつつ

足払い。

間髪入れずに、超低姿勢からの飛び膝蹴り。

それらが連続して襲うたび、

森の空間が爆ぜ、空気が波打つ。

凪は牛?を盾にして全てを受け切る。


「ブモモモモォォォッッ!!?」


全てを牛?は受けた、受けきったのだ。

視力が回復してきた守は叫ぶっ


「牛!?死ぬな——」


しかし、幸か不幸か、牛?は無傷である。

汚れすらない無傷である。


「やはり攻撃は通らないか...不毛だなこれ以上は無意味だから辞めませんか?」


牛?は目から鼻から口から、色々な体液が出ている。とってもみていて汚い。

とっても可哀想なんだが汚い。

凪は動じない。


「……だから連れて来た」

「ブモォォォォ……」

「味方ながら、悪魔だな...」


もはや牛?が可哀想だから帰ったら何か美味しいものを与えてやろうと思う守だった。


巨大な男は牛?の想定外の防御力にたじろぎもせず、牛?を攻撃して裂けた自身の皮膚を見ながら、笑った。


「面白い……!さて、私がコレ相手に、どこまでやれるか検証といきますかっ。そうと決まれば、もっと“近く”で踊ろうか!」


その言葉とは裏腹に、軽快にステップを踏む。


「あれ、なんだ、見たことある様な。」


カポエラや格闘技については、全くの無知である守は巨大な男の動きに見覚えがあるが、よくわからない。

緩やかなステップも4メートルある巨大が、普通の人間と同じ速さで動いているというのは信じ難い。

速い。

巨体とは思えない。

凪は剣を抜き、静かに言う。


「……ウエポンマスタリー、起動」


瞬間、凪の周りに半透明の6腕の鎧武者様なものが展開する。


「まもる、なぎのうしろかっこいいのいるよ!」

「確かに、なんかカッコいいな、あれ」

「お前達、遊びに来たなら帰れ!」


ほのぼのした、守とモモちゃんは怒られてブーブー言っている。

六本の腕が、勇者が使う技を再現する。

同時に放たれる剣閃。

巨大な男は、回転を強制的に解いて対応する。

両腕で地面を強打し、その反動で跳ね上がり、

空中で身体をひねり——

踵落とし。

剣閃と蹴撃がぶつかり、雷光が散った。

守が叫ぶ。


「……互角……バトル漫画見てるみたいだ!!

 あの巨体が、凪の剣速に合わせてきてる……!」


カポエラ本来のしなりと跳躍性が、

異世界ライダーの巨大な体に“異常な慣性”を与えている。

剣と蹴りが連続でぶつかり合い、

耳鳴りのする爆音が何度も続いた。

凪は息を吐く。


(——決めるしかない)


凪の背後の鎧武者の腕が震えだす。

空間が歪み、剣に雷が収束し、力が流れ込む。

巨大な男の眼光が鋭くなる。


「何がくるやらー」


凪の足元で電撃が走った。


「ギガァァァ——」


これから来るであろう余波に守は身構え、モモちゃんと木の影に隠れる。


「——スラッシュ!!!」


閃光が森を切り裂いた。

雷光が一直線に走り、

阿修羅の六つの腕が同時に剣を振るう。

合計六本分の“雷撃を纏った究極の斬撃”が、巨大な男に襲いかかった。

木々が消し飛び、地面が裂け、

周囲数十メートルが白光に包まれる。

巨大な男は叫んだ。


「うぉぉぉおおお!!!」


彼は地面に手をつき、身体を捻り回避する動きをしつつ、下から剣戟を蹴り上げいなす。

カポエラの回転力をふんだんに使い、雷撃の軌道を“いなす”。

だが完全には防げず、胸元が大きく抉れ、血を吐く。


「やっぱり、武器に生身はきつすぎるね」


その時、凪の膝が落ちた。


「くっ……」


守が駆け寄る。


「凪!?大丈夫か!!」


凪の視界が揺れる。

ギガスラッシュの反動は凄まじく、魔力と筋力と精神力が大きく削られるようで、立つことすら難しそうだった。

巨大な男は血を拭いながら立ち上がる。

そしてどこから出したのだろうか、よくわからないベルトを持ち、腰に巻いたのだ。

そして、お決まりの様に言葉を繋ぐ


「じゃあ、本気でやり合おう!!!」

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