王国との決戦、そして——運命のガチャ
「来たか、メインイベント」
タカミチは、静かにつぶやいた。王都から発された討伐命令に応じ、王国軍十万の兵が彼の領地を包囲する。
——が、彼に焦りはない。
「さて……最終ガチャ、いくか」
課金石残量、999,999個。彼が最後に開いたガチャは、かつて一度も実装されなかった“幻の超課金枠”だった。
【伝説級召喚:世界最終兵器】
【消費課金石:999,999個】
【※使用後、課金石はすべて失われます】
「……お別れだ、俺の課金人生。行け、《インフィニティ・ゼロ》!!」
夜空が裂けた。
空間に亀裂が走り、重力がゆがみ、そこから出現したのは、全長300メートルを超える漆黒の兵器——**無限回廊から召喚された“世界のリセットボタン”**だった。
王国軍は騎士も魔術師も竜騎兵も、接触と同時にすべて無力化。
魔法は弾かれ、刃は届かず、心すらも折られた。
兵たちは戦う前に、ひれ伏した。
そして——
「……ま、待て! 陛下! タカミチ様に逆らってはなりませぬ!!」
王族すらも、膝をついた。
「我が王国は……もはや貴殿には敵わぬ。どうか……どうか、お慈悲を……!」
その日、タカミチは戦わずして勝った。
かつて“ソシャゲに人生を捧げた男”は、異世界で国家と世界を買った存在となったのだ。
だが——
「課金石……ゼロか」
勝利の静けさの中、彼はひとりつぶやく。もう、ガチャは回せない。金も、石も、もう——
ピコン、と通知音。
【新アプリ『異世界課金戦記2』の配信が開始されました】
【初回ダウンロード特典:課金石1,000,000個】
【「世界統一編」開幕! 新ガチャSSR登場!】
「……またかよ!!」
天を仰ぐタカミチの背後で、《インフィニティ・ゼロ》が静かに笑った気がした。
世界は救われた。だが、彼の課金地獄は、まだ——終わらない。
(完)