バグ級チートアイテムで国難救済!?
「まずはインフラからだな」
異世界に転生し、課金石で辺境の領主となったタカミチが、最初に手をつけたのは水道の整備だった。
次に、通信タワー風の建物を建て、**「Wi-Fi」**を導入。異世界住民は何のことかわかっていなかったが、彼は満足げに頷いた。
「これでネット環境は完璧。次は……そうだな、メイドカフェでも作るか」
かくして、村の中心にオープンしたのは——異世界式メイドカフェ『メイド喫茶アースラ』。
「ごしゅじんさま♡ おかえりなさいませ~!」
タカミチが引いたガチャ産URメイドたちが、完璧な接客で異世界貴族たちをもてなす。噂を聞きつけ、隣町から貴族が来店するほどの人気店となった。
同時に、彼は村人たちにも惜しみなく“課金アイテム”を配布した。
「これ、【HP全快ポーション(無限使用可)】。あとこれ、【初心者用なのに攻撃力+999の剣】。遠慮せず使って」
「え……ええええ!?」
最初は戸惑っていた村人たちも、次第にその効果に驚き、感謝し始めた。
「病気が治った!」「モンスターが一撃で倒せた!」
その結果、村の治安・生活水準は飛躍的に向上。周囲の領地と比べて異様なほど近代化された町に変貌していく。
しかし、そんな平和も長くは続かなかった。
「報告! 隣国の軍が、魔物を使ってこちらに侵攻してきます!」
「レベル20の民兵じゃ太刀打ちできません!」
住民たちはパニックに陥ったが、当の領主タカミチは——
「大丈夫、大丈夫。ガチャ回したから」
——笑っていた。
その夜、彼は10万課金石を投入し、超召喚ユニット【天界騎士団アルマゲスト】を召喚。
天から降り立ったのは、全員がレベル9999、全属性耐性、スキル即死付与という完全にバグった軍団だった。
さらに村全体に【神の加護:天災級バフ】を課金適用。効果は——
> 「敵の攻撃:すべて無効化」
> 「村人の攻撃:すべて即死効果付与」
結果。
「敵軍、溶けてるんですが……!?」
「なんだこの……“廃課金”……!!」
敵兵は瞬く間に霧散し、村は無傷で勝利した。
翌日から、周辺の村々が次々とタカミチの配下となりたいと帰属を申し出てきた。
「領主様! うちにもポーションを! Wi-Fiを! メイドを!!」
かくして、タカミチの領地は辺境の一村から、小国家規模へと急成長する。
だが——その躍進は中央王国の警戒を招くこととなった。
「報告です! 王都から正式な通達が……『反乱の疑いあり、タカミチ領主を王都に召喚せよ』と……!」
「……あーあ、ついに来たか」
静かに笑うタカミチ。その手には、すでに次のガチャ画面が表示されていた。
「じゃ、次は“王国攻略用”のユニットでも引くか」
異世界廃課金伝説、まだまだ止まらない——!