第16章:ギルド
第16章:ギルド
短剣を腰に装備したコラカンサダは、しばらくその場に立っていた。
腰のあたりに感じる武器の重みは、ほんのわずかなものだった。
それでも、その感覚は彼にとって妙に現実的だった。
まるで、本当に自分が冒険者になったかのような気分だった。
「……なんか、ちょっとワクワクするな」
彼は小さく笑いながらそう呟いた。
武器を手に入れたことで、ようやく冒険者としての第一歩を踏み出したような気がしたからだ。
だが同時に、彼は思い出した。
まだやるべきことがある。
「そうだ……ギルドだ」
コラカンサダはそう呟いた。
チュートリアルでも説明されていたが、この世界でクエストを受けるためには、まず冒険者ギルドに登録しなければならない。
それが、この世界の基本的な流れだった。
「確か、この街にもギルドがあるって言ってたよな……」
彼は記憶を辿りながら、通りを歩き始めた。
街は相変わらず活気に満ちている。
商人の呼び声。
鍛冶屋の金属音。
人々の笑い声。
すべてが混ざり合い、この街独特の賑やかな空気を作り出していた。
その中を歩きながら、コラカンサダは周囲を見回した。
「ギルドっぽい建物……どこだ?」
彼は少し首を傾げる。
しばらく歩いた後、ようやくそれらしい建物を見つけた。
大きな木製の看板。
そこには、剣と盾を組み合わせたような紋章が描かれていた。
「……あれか?」
彼は足を止めた。
建物は、周囲の店よりも一回り大きい。
扉は分厚い木で作られており、何度も開け閉めされた跡が見える。
そして、建物の前には何人かのプレイヤーが集まっていた。
装備の種類は様々だ。
剣を背負った者。
弓を持った者。
ローブを着た者。
どうやら、自分と同じように冒険者として活動しようとしているプレイヤーたちらしい。
「……間違いなさそうだな」
コラカンサダは小さく頷いた。
そして、ゆっくりとギルドの扉へ歩み寄る。
扉の前に立つと、ほんの少しだけ緊張した。
「……よし」
彼は小さく息を吐く。
そして――
扉を押し開けた。
ギィ、と重たい音が鳴る。
中に入った瞬間、彼の耳に様々な声が飛び込んできた。
笑い声。
議論する声。
酒を注文する声。
ギルドの中は、まるで酒場のような雰囲気だった。
広いホールにはいくつものテーブルが並び、多くの冒険者たちが集まっている。
その光景を見て、コラカンサダは思わず感心した。
「……すごいな」
まるで、本当に異世界の冒険者ギルドに迷い込んだようだった。
そして――
その瞬間。
彼の視界の端に、あるものが表示された。
「新しいクエストが利用可能です」
「……お?」
コラカンサダは目を細めた。
どうやら、本格的にゲームが始まろうとしているらしい。
彼は小さく笑った。
「いいじゃん」
そして、静かに呟いた。
「ここからが本番だ」
―続く―




