第15章:新たな現実
第15章:新たな現実
コラカンサダはしばらくの間、その場に立ち尽くしていた。
先ほどまで自分の身体を包んでいた奇妙な感覚は完全に消えている。
だが、それが本当に終わったのかどうかは分からなかった。
「……本当に終わったのか?」
彼は小さく呟いた。
周囲の街の様子は変わらない。
人々は歩き回り、商人たちは声を張り上げて商品を売っている。
まるで、さっきの出来事など最初から存在しなかったかのようだった。
しかし――
コラカンサダの心の中には、確かな違和感が残っていた。
彼はゆっくりと自分の手を見つめた。
見た目は変わっていない。
だが、どこか違う気がする。
指を動かしてみる。
何の問題もなく動く。
「……気のせいか?」
そう言いながらも、完全に安心することはできなかった。
さっきの画面。
そして、身体の奥から感じたあの奇妙な感覚。
あれがただのゲームの処理だったとは、とても思えない。
「まあ……考えても仕方ないか」
彼は小さくため息をついた。
この世界は、まだ始まったばかりだ。
最初からこんなことで立ち止まっていては、何も進まない。
「とりあえず……装備を買うか」
そう呟くと、彼は再び通りを歩き始めた。
先ほど目をつけていた武器屋の前に立つ。
店先には、様々な武器が並べられていた。
剣、槍、短剣、斧――
どれも見事な作りで、本物の武器のように見える。
いや、実際に本物なのだろう。
この世界では、それが当たり前なのだから。
コラカンサダはその中から一本の短剣を手に取った。
刃は美しく磨かれており、持ち手の部分には細かな装飾が施されている。
「お、なかなかいいな」
彼は軽く振ってみた。
重さのバランスも悪くない。
初心者が使う武器としては、悪くない選択だろう。
「それを買うのかい?」
突然、後ろから声がかかった。
コラカンサダは驚いて振り向く。
そこには、武器屋の店主と思われる男が立っていた。
がっしりとした体格で、腕には筋肉が浮かび上がっている。
まさに職人といった雰囲気の男だった。
「えっと……いくらですか?」
コラカンサダは少し緊張しながら聞いた。
店主は短剣をちらりと見てから答えた。
「銀貨三枚だ」
「銀貨三枚……」
彼は思わず呟いた。
この世界の通貨価値はまだ完全には理解していない。
だが、チュートリアルでもらった所持金を思い出す。
確か――
銀貨十枚ほど持っていたはずだ。
「……買えなくはないか」
彼は小さく頷いた。
「じゃあ、それをください」
そう言って、彼は銀貨を取り出した。
店主は満足そうに頷き、短剣を彼に手渡した。
「毎度あり」
コラカンサダは短剣を腰に装備する。
その瞬間、どこか胸が高鳴った。
これが――
この世界での最初の装備。
最初の一歩だ。
彼は静かに笑った。
「……よし」
そして心の中で呟く。
ここからが、本当の冒険の始まりだ。
―続く―




