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依存性  作者: スノスプ
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学校での一コマ

 フィリスと菜穂は、いつものように学校の門をくぐり、教室へと向かって歩いていた。朝の光がまだ優しく照らす中、二人は肩を並べて歩きながら、自然と会話が弾んでいた。


「今日の授業、楽しみだね。特に科学の実験、昨日からずっと気になってたんだ」フィリスが少し興奮した様子で言った。


「フィリス先輩、実験が好きですもんね。今日は確か、化学反応を使った何か面白いことをするんでしたよね?」菜穂は落ち着いた声で応えたが、その瞳には好奇心が輝いていた。


「うん! 先生が何かサプライズがあるって言ってたから、どんな実験なのかすごく楽しみでさ」フィリスは少し早足になりながら、子供のように目を輝かせた。


「でも、フィリス先輩、くれぐれも慎重にね。あなたが楽しそうにしていると、何かハプニングが起こりそうな気がして……」菜穂は冗談交じりに言ったが、フィリスを気遣う思いが伝わってきた。


「もう、菜穂ったら心配性だなあ。でも、大丈夫だよ。ちゃんと先生の指示を守って、安全第一でやるから!」フィリスは軽く舌を出しながら、茶化すように答えた。


 教室に入ると、すでに数人の生徒が席に着いており、フィリスと菜穂もいつもの席に座った。フィリスは早速教科書を取り出し、今日の実験の準備を始めた。


「ねえ、菜穂。今日の数学の課題、どうだった?」フィリスが少し顔をしかめながら聞いた。


「まあ、なんとか終わりましたけど……少し難しかったですね」菜穂は冷静に答えたが、その表情には少し疲れが見えた。


「だよね。私も苦戦しちゃってさ。でも、なんとか間に合わせたけど……ほんと、菜穂がいなかったら終わってなかったよ」フィリスは感謝の気持ちを込めて言った。


「それほどでもないですよ。でも、フィリス先輩が一生懸命頑張ってるの、ちゃんと見てましたから」菜穂は優しく微笑みながら言った。


 その時、先生が教室に入ってきて、授業が始まった。今日の最初の授業は数学だったが、フィリスは少し不安そうにしながらも、菜穂が隣にいることでなんとか集中しようとしていた。


 授業が進むにつれて、フィリスは少しずつ自信を取り戻し、先生の説明をしっかりと聞きながらノートを取っていた。菜穂も静かに隣でフィリスの様子を見守りつつ、自分の課題に取り組んでいた。


 授業が終わり、休み時間になると、フィリスは大きく伸びをして菜穂に向き直った。「ふぅ……なんとか乗り切ったね。やっぱり数学は難しいな。」


「そうですね。でも、フィリス先輩、頑張ってましたよ。次は少しずつ自信がついてくるんじゃないですか?」菜穂は励ますように言った。


「そうだといいんだけどね。でも、次は得意な科学だから、ちょっと気が楽かも」フィリスは笑顔で答えた。


 その後、科学の授業が始まり、先生が教室に入ると、生徒たちは一斉に実験の準備を始めた。フィリスと菜穂も、机の上に実験器具を並べ、指示を待った。


「今日は何をするんだろう……」フィリスがわくわくしながら小声で菜穂に囁いた。


「先生が言ってましたけど、今日は化学反応を使って何か面白いものを作るみたいですよ。」菜穂は教科書を見ながら答えた。


「それって、もしかして……」フィリスが言いかけたその時、先生が説明を始めた。


「今日は、化学反応を利用して自分だけのクリスタルを作ります」先生の言葉に、教室中がざわめいた。


「やった! クリスタル作りだ!」フィリスは嬉しそうに声を上げた。


「フィリス先輩、落ち着いてください。ここからが大事なんですから」菜穂は笑いながらフィリスを宥めた。


 授業が進む中で、フィリスと菜穂は慎重に実験を進め、次第にクリスタルが成長していく様子を楽しんでいた。フィリスは興奮しながらも、菜穂のアドバイスを聞きながら作業を進め、無事に美しいクリスタルを完成させることができた。


「見て、菜穂! すごく綺麗にできたよ!」フィリスは満足げにクリスタルを手に取り、菜穂に見せた。


「本当ですね。フィリス先輩、すごく上手くできましたね」菜穂もその美しさに感心しながら答えた。


「やっぱり、科学の授業は楽しいなぁ……でも、菜穂が隣にいてくれたから安心してできたよ」フィリスは照れくさそうに言った。


「こちらこそ、フィリス先輩が楽しそうにしているのを見ると、私も楽しくなります」菜穂は微笑みながら返した。


 その日の授業が終わると、フィリスと菜穂は再び肩を並べて帰り道を歩いていた。今日の授業の話や、次の日の予定について話しながら、二人は和やかな時間を過ごしていた。


「明日はまた特別訓練プログラムがあるけど、今日はよく休んで準備しようね」フィリスが言うと、菜穂は頷いて「そうですね、しっかり休んで、明日も頑張りましょう」と応えた。


 二人は寮に戻ると、軽く夕食を済ませ、部屋でゆっくりとした時間を過ごした。お互いに寄り添いながら、学校生活の楽しさや大変さを共有し、静かな夜が更けていった。


 そして、次の日もまた、二人は一緒に学校へ向かい、新しい一日を迎えるのだった。彼女たちの絆は、日々の学校生活の中で少しずつ強まり、共に成長していくことを感じていた。

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