うさぎは捕まらない
「あーもう、上司仕事長すぎ!」
そう言いながら 宇佐美 純 はドアの前でカバンの中にある鍵を探す。
中々、漁っても見つからない鍵に私はまたイライラがこみ上げてくる。
だいたい、私がこんなイライラしてるのは会社が悪いのだ。
「毎日残業させやがってぇ…」
「部長は帰ろうとしたら仕事押し付けてくるし、最後はだいたい二人きりだし!」
一体なんなんだ、そう声を上げそうになった瞬間、私はふと後ろの気配に気づいた。
振り返ろうとして目線を落とした瞬間、私は悲鳴を上げそうになった。
後ろにいる何者かの影が、人間とは思えないのだ。
人の形はしている、だがおかしい。
なにがおかしいか、理由は明確だ。
なぜなら人形に翼のようなものがパタパタ動いているのだ。
加えて、細長い先に尖った針のようなものがついた尻尾のようなものが左右にゆらゆら動いている。
(私の後ろにいるのはなに…?)
すぐに鍵を開けて家に入ろう、頭ではそう思っていた。
だが人間の脳とは面白いものだ。
頭ではわかっていても興味が勝ってしまった。
もしかしたら幻覚かもしれない、コスプレなのかもしれない。
少し、少し見るだけだ
そうして私は後ろを振り返ってしまった。
はじめまして。読んでくださり、ありがとうございました。今後も読んでくださると嬉しいです。