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王国の仕組み

【王国の仕組み】


 この世界の権力者がいかに権力を持っているか。

 それは前世地球と変わるところはない。


 前提として厳しい生存競争がある。

 最初は家族単位で、次に親類が群れを作る。

 群れはより強い集団に頭を下げて

 守ってもらうかわりに様々な義務を提供する。

 こうして村が形成されていく。


 村はより強い集団に頭を下げ、

 守ってもらうかわりに様々な義務を提供する。

 こうして地方の豪族が作られていく。

 豪族と村とは大きさが違うだけで構造は同じだ。


 豪族はやがてより強い豪族に……

 こうして大きな集団ができ、それは王国と呼ばれるようになる。


 王室は臣下の礼をとる豪族に貴族の称号を与える。

 ただ、フローレンス王国の場合は王室に絶対的な力はない。

 王国では臣下の礼を取る、といっても軍事的な連合体的な意味合いが強い。

 敵が攻めてきたり或いは隣国を攻めたりするときに、兵を出すのだ。


 法的な縛りは王国全体には基本的なものを除けば、領主単位でなされる。

 税的な義務はない。

 もちろん、王室の力が強ければ、法的・税的な関係も変化するだろう。

 それはお互いの力関係によって変わる。


 この王室と貴族の緩い関係は、貴族の領地でも見られる。

 貴族領の中にいる豪族や大規模土地所有者と貴族の関係もさほど変わらない。

 法的な縛りや税的な義務もお互いの力関係で決まる。


 こうして、下から村・大規模土地所有者、豪族、貴族、王室は

 規模が違うだけで似たような構造を持って関係を深めていく。



 領主には貴族がつくことが多いが、

 それ以外にも力の強い集団がいる。

 ラ・シエルがそうだ。

 ラ・シエルは有力な市民・主に大商人が権力の中枢にいる。

 市議会を構成し、ラ・シエル領を統治している。


 ラ・シエルエリアは広大な森と比較的大きな川に囲まれている。

 エリアの中心にラ・シエル街があり、

 その周囲にラ・シエル街の領地がある。

 さらにその周囲に村落がいくつかある。


 村単位は独立している。

 大抵の村はラ・シエル街の市議会(政府組織)に帰順を誓う。

 街は彼らから税を受け取り、村はいざとなれば兵役につく。

 街はそのかわりに村の安全を守る。


 教会領もある。

 ラ・シエル街の教会はこのエリアの統括教会である。

 各村にも教会があることが多い。

 この教会はそれぞれ領地を持つ。

 そこに領民がいて、教会に税を払い、いざとなれば兵役につく。

 構造は街の領地と同じだ。


 土地に関しては、

 村単位でもしょっちゅう揉め事が起きている。


 土地の帰属問題、水利問題、森の利用権は代表的な争案だが、

 最大の懸案事項は食糧確保。

 食糧不足が争いの中心にあることが非常に多い。

 なにしろ、食糧が不足すれば隣の村に盗みに行くのが普通なのだ。


 ラ・シエル学園や街で化粧品がどうとかハゲがどうとか、という話は、

 非常に恵まれた地域であるからだ。


 そんなことよりも食糧の確保が優先課題であり、

 そのために争いが起こり、

 それを防ぐために魔石を使用して結界をはり、

 攻性魔導具で防御・攻撃を行う。



 俺は、街を出て初めてそのことに気づいた。

 俺は街とダンジョンの往復以外で街の外に出たことがあまりない。

 それは俺だけじゃない。

 街の人はたいていそんな感じだ。


 この世界は通常、旅行とかしない。

 道路の状態が非常に悪いことが多い。

 道路を整備すると、そこを通って敵に攻撃される、

 と考えることが大きい。


 ましてや、ラ・シエルエリアを囲う広大な森となると、

 森の恵みを採取しにいく人はいれど、

 森を抜けていこうと考える人はほぼいない。



 森は非常に危ない。

 大きな狼が集団で襲ってくる。

 クマは前世ヒグマよりも一回り大きいのが出てくる。

 遭遇したら、イコール死だ。

 大蛇や大きな毒グモなども生息している。

 ダンジョンとさほど変わらないような凶悪な生物がいる。


 ダンジョンだと、強い敵を討伐すれば経験値となり、レベルがあがる。

 そして、魔石をもらえる。

 森では経験値や魔石をもらえるわけではない。

 その変わりに毛皮や肉を獲得する。


 ただ、森に生死を掛ける価値があるかどうかはわからない。

 大抵の人はそんな価値はないと考える。

 この世界で森に生息する生物は前世よりも強力な個体が多い。

 森に入るのは生命と引き換え、と考えるのが普通だ。


 森の浅いエリアならともかく、森の深いところに行こうとか、

 森を通りぬけようと考える人は、商人か訳ありの人だ。

 当然、ソロでは動かない。

 傭兵を雇い、10人以上の集団で森に入っていく。


 それ以外で森に向かうのは、森の入会地に指定されている

 森の浅いエリアで採取をする以外では、とんだ物好きということになる。

 その物好きの一人が俺だ。


 神様のおかげで、俺はとんでもない強さを手に入れている。

 狼の集団だろうと、巨大なクマだろうと、殆ど瞬時に返り討ちできる。


 そもそも、異常に発達した五感により、

 それら獣たちよりも先に奴らを発見し、

 有利なポジションに自分を置くことができる。


 俺は森の外側がどうなっているのか、確かめてみることにした。



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