表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/94

ダンジョンの発見

【ダンジョンの発見1】


 俺はドワーフから温泉を紹介してもらったのだが、

 温泉は王国領の外側で人の住んでいない場所にある。


 大げさにいえば、人類未踏の地だ。

 いや、少しは人類が迷い込んだのだろう。

 少なくとも、ドワーフは歩き回っている。


 そうだとしても、住まいとしては誰も見向きもしない

 純然たる荒野・原生林である。


 だからこそ、俺はワクワクしていた。

 ひょっとしたら、何かを探し当てるんじゃないかと。

 実際、金銀鉱山をみつけたしな。


 まあ、それ以上の発見など簡単には起こらないわけで。

 それでも、俺は体力にまかせて荒野を歩き回った。


 外から眺めれば走り回っているように見えるだろう。

 体力が強化されたため、普通に歩いても時速20km程度になる。

 全速力ならば時速100kmを越えるし、

 チーターと違って長時間その速力を維持できる。



 この荒野、王国と隣国との間に広がる不毛の大地。

 50km四方程度だ。


 見渡す限り、カラカラに乾いた大地と岩山。

 色は少し赤みがかかった黄色。

 表面は乾燥によりひび割れができている。

 植物はほぼ生えておらず、脇役にもなれない。


 ここまで不毛の大地になると、植物だけでなく

 動物も生存が難しい。

 時々昆虫などの小さな生物がうろついているだけだ。


 そんな場所をぶらぶら歩いて(走って)いたときのこと。


「ピッピッ」「おろ?まさか、壊れたのか?」


 今アラームが鳴っている計器は魔素カウンターだ。

 主にスタンピード対策のための計器である。

 スタンピードはパニック的に魔物がダンジョンから溢れ出す現象。

 狂乱状態になっており、非常に危険である。

 そのスタンピードが発生する場合は必ず魔素濃度が上昇する。

 それを捉えるための計器だ。


 この計器にはもうひとつの使い方がある。

 ダンジョンの周囲は元々魔素濃度が濃い。

 ダンジョンから離れると、円状に魔素濃度が薄くなる。

 つまり、俺はダンジョンを探し当てるつもりでこの計器をぶら下げている。


 高価なものではない。

 魔素濃度を測定するものだから、構造は簡単だ。

 外観も実に安っぽい。

 100均で売ってるような質である。


 ダンジョンを見つけたらそれが一大産業になる。

 金山を見つけるのと同じかそれ以上の大騒ぎになる。


 一度だけラ・シエル街そばのダンジョンでアラームが鳴るのを確認している。

 しかし、それ以外ではアラームはいつもマジックバッグの中にあり、

 その中では動作しない。


 で、荒野では一応アラームを取り出して

 ダンジョン発見を心待ちにしていたのだ。


 もっとも、最初はアラームが鳴ったのを故障としか思わなかった。

 ダンジョンを本当に発見するとは思っていなかったからだ。



「おいおい、真面目にアラームが反応してるみたいだぞ」


 俺は胸の鼓動がはねあがった。

 アラーム音が大きくなる方向を探す。


「ピッピッ!」


 音が大きくなる。

 こうなると、俺も魔素を感じ始める。

 俺は魔素フィールドスキルのせいか、一般人よりも魔素感度が高い。

 俺は魔素濃度の高い方へ足を向ける。


 広い荒野で少しこんもりと盛り上がった岩山。

 その横っ面に穴が開いていた。

 人がようやく入れそうな大きさであった。


「ここか?」


 ドキドキしつつ中に入ってみると特徴的な軽いめまい。

 ダンジョンに入るときに感じるものだ。

 亜空間に切り替わった印である。

 そして、目の前に広い空間が広がった。


「やった。ダンジョンだ!本当に俺が見つけたんだ!」



 俺は速攻で隠蔽魔法を入り口付近にかけ、そばに転移魔法陣を設置した。

 ここは俺の探した温泉同様、無主の土地である。

 早いものがちの場所だ。

 つまり、このダンジョンは俺のものだ。


 俺はすぐさま転移魔法で自宅に戻った。


「みんな、ダンジョン見つけたぞ!」


 ◇


 父ちゃん・母ちゃんは休憩中の看板を店の扉に掲げ、

 ダンジョンに向かうことになった。


 残念ながら、マノンは友達と遊びに行っている。

 あとでブーたれるのは目に見えているが、待っていられない。


「ジョエル、凄いな。ダンジョン見つけたなんて」


「俺たちしか知らないダンジョンだぞ」


「専用ダンジョンというわけね」


「ここは誰の土地でもないからね」


 もちろん、こんなことを不用意にしゃべろうものなら、

 200%襲われる。


 個人単位じゃない。

 どこかの領主、教会、王国、隣国が、襲いにくる。

 軍隊を率いて、目の色変えてやってくる。

 この世界ではダンジョンは金山銀山以上の宝なのだ。


 当面は、家族以外に話すつもりはない。

 ロレーヌたちにはそのうち話すこともあるかもしれないが、

 そうだとしても、先の話だ。


「おし、早速探検してみるか」


「「おー」」


 俺たち3人はとりあえず5階まで探検して自宅に戻った。


「お父さんたち、どうしたの。店閉めちゃって」


 マノンが家に帰ってきていた。


「それどころじゃないのよ。ジョエルちゃんがダンジョンを発見して」


「えー!じゃあ私だけ除け者?ひっどーい!」


「だって、あなた遊びに行ってたでしょ」


「私もいきたーい!」


「明日よ。朝イチで行くわよ」


「えー、今じゃだめ?」


「だめ。もう外は暗いでしょ」


 まあ、気持ちはわかる。

 王国的な目で見てもビッグな事件だ。

 バレたら、朝の通信魔導具ニュースには一番で報道されるだろう。


「マノン、わかるな?絶対に秘密だぞ?友達とかに言うなよ?」


「ギクッ」


 あー、マノンは家を飛び出しそうになっていた。

 友達に自慢するためだ。


「マノンちゃん、バレたら大騒動だってことわかってるわよね?」


「有力貴族とか王国とか隣国とかの軍隊が押し寄せてくるからな」


「ううう」


 マノンはわかってくれたようだ。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ