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傍若無人な教会

【傍若無人な教会】


「アレク、あの話なんだがな、ちょっとやばめだ」


「ジャック、例の件だっていうから来てみたんだが、その様子だとかなりか?」


「ああ。まず、この部屋も防音スキルで覆ってある。遠慮なく話すぞ」


「ふむ」


「教会領な。荒れているところが多い」


「前にも聞いた話だが」


「想像以上に荒れている。ここ1年だ。かなりの重税が課せられるようになった。取り立ても厳しい」


「6対4ぐらいか」


「ラ・シエル教会だと7対3だ」


「そんな馬鹿な。7割もってかれるなんて聞いたこと無いぞ」


 ラ・シエル教会。

 ラ・シエル街に置かれている教会で

 この方面の地区本部でもある。

 王国では4番目に位の高い教会とされる。


 各教会は自分の領地を持ち、行政は独立している。

 ラ・シエル街の中にあろうとも、ラ・シエル市議会には従わない。

 実際、ラ・シエル市議会は税金が5対5である。

 収穫量の半分を税金として納めることになるが、

 これは平均的な数字だ。


 重税とされるのは6割が税金となる場合。

 ラ・シエル教会はそれをも上回る7割を税金とするという。

 


「神官の堕落も甚だしいという。飲む打つ買うは当たり前だ」


「ほお。教会は前からいろいろな話は聞いているが、そこまでか?」


「ここ1年、酷くなったという話だ」


「何があったんだ?」


「わからん。ただ、首都の教会本部な、上層部が尋常でなくなっているという話をするものがいる」


「尋常じゃない?どういう風に?」


「異常な緊張感にまみれているんだと」


「異常な緊張感?うーん、他には?」


「やたら女を集め始めている」


「肉欲か?」


「いや、そんな雰囲気はない。一応、聖女を探しているというんだが」


「聖女か。ロレーヌも危なそうだな」


「そうだ。ロレーヌだけじゃない。教会は美しい女性を求めている」


「アスタシアなんかまっさきに声がかかりそうということか」


「ああ。お前の女房とか娘もリストに挙げられてるかもしれないぞ」


「なに?」


「まあ、ここは市議会の納める土地だ。教会も下手なことはできんとは思うがな」


「しかし、重税すぎる課税といい、女性を集めていることといい、教会領民はなんとも言わないのか」


「大騒ぎさ。上申デモがおきまくっているという。だがな、無理やり押さえつけているらしい。らしい、というのはな、事件が表に出てこんのだ」


「一つもか」


「ああ。一つもだ。そのような大事件だとどこかで話が伝わってもいいんだが」


「不気味ではあるな」


「不気味ついでだ。これは人によるんだが、首都上空にうっすらと黒い渦のようなものが見える、という人がいる」


「ということは、ほとんどの人には見えないということか?」


「ああ。人によっては、首都の上空が輝いているという人もいる」


「なんだそれ」


「わからんが、何かの魔法かある種の呪いがかかっていそうだ」


「怖すぎるな」


「まあ、なにかわかったら教えるわ」


「とにかく、ありがとう。またよろしく頼む」



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