エルフを使った情報拡散
【エルフを使った情報拡散】
「本当に、水銀や鉛が肌に悪いのね?」
「ええ。古文書によると」
王国では化粧品を使いすぎると肌に問題が起きることが知られていた。
再発性化粧品皮膚炎と名付けられ、顔面に紅斑,浮腫があり、痒が強かった
これは鉛が引き起こす症状である。
この鉛が口に入ると、鉛中毒の症状である貧血や歯ぐきの変色、便秘、
筋肉の麻痺などがおこり、脳膜の刺激症状が出ることもあった。
また、最近の王国で流行り始めているのが水銀白粉だ。
皮膚がポロポロと剥がれて吹き出物が取れることから、
女性たちは大いに喜んだが、
水銀中毒により歯茎が黒ずんで歯が抜ける副作用がある。
腎臓や消化管に対する障害が生じるため、腹痛や吐き気、下痢、
腎機能障害による気分不快感やだるさなども引き起こされる。
ただ、水銀中毒で有名な水俣病は有機水銀によるもので、
王国で使われている水銀は無機水銀。
水俣病のような神経障害は起きないという。
「ああ、私の肌は化粧品に弱いからあんまり使わないんだけど、それは鉛のせいなのね。炎症とか痒みが凄いから」
「肌が白くはなるんだけど、ちょっと病的な色だし、太陽の元では気持ちのいい色じゃないと思うよ」
「そうよね。暗い室内だと映えるんだけど」
「この情報をさ、王国に広めたいんだよ」
「ていうか、啓蒙していかなくちゃいけないわ」
「学園長に相談してみたらどうだ?」
「学園長?なんで?」
「学園長はエルフだよな。エルフは情報拡散に長けた種族なんだ」
「へー、そうなんだ。担任のロック先生とかも内偵スキルがあるみたいなんだけど」
「ロック先生もエルフだろ。内偵スキルも種族特性だな」
「そうなんだ。じゃあ、二人に話してみるよ」
この情報は瞬く間に王国に拡散することとなった。
特にラ・シエルエリアでは殆どの人が情報を共有することとなった。
◇
「すごいね、エルフのPR効果。そんなに時間がたっていないのに、街の隅々に情報が知れ渡っているよ」
「でも、そのお陰というか、私のところへの引き合いがすごくなってきたわ」
「ジャックもぼやいていたぞ。冒険者ギルドは化粧品屋じゃねえって。だけど、もっと魔石回復薬よこせってさ」
「簡易回復薬を製造してもいいんだけどね」
「薬師ギルドがうるさいんだろ?」
「ああ。やつらの振る舞いはヤクザそのものだからな。嫌がらせなんていうもんじゃない。殺しにかかるからな」
「最大の既得権益の一つだし。バックに教会がいて目の色かえて襲ってくるぞ」
「薬用石鹸ってのはどう?こっそりと魔石回復薬とかを配合して」
「ああ、ヘアケア製品にも配合しているし、石鹸は薬師ギルド関係ないからな。効能を謳わなければいけそうだ」
「よし、じゃあ、アンリさんに相談してみるか」




