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農産物。1年たって出揃ってきた

【農産物。1年たって出揃ってきた】


 バジルさんに初めて魔石肥料・飼料を使ってもらってから1年経った。


 一通りの作物に魔石肥料を与えて経験を積み、

 すべての家畜に関して、魔石飼料の結果が出揃ってきた。


「魔石飼料だが。これ、とんでもないな」


「そんなに?」


「価格以外、非常に優秀、というしかない。まず、えらく美味のようだ。家畜がこれ以外食べなくなるぐらいだ。だから、従来の飼料に魔石飼料を混ぜてコストパフォーマンスのいい地点を探している」


「卵とか劇的においしくなったよね」


「ああ。すぐに結果を出し始めたのが、鶏卵だ。プリッとした黄身でくさみがなく、味が濃い。最高級の卵だ。ものすごく美味しい」


「学園でも金曜日に出される卵を待ち望んでいる学生は多いよ」


「だろうな。俺たちだって、食卓が美味しくなって嬉しいぐらいだからな」

 

「みんな、バジルさんには感謝感激だよ」


「市場にも出してるんだが、学園への卸し価格の10倍の値段が付いてるよ。それでも、出荷即売り切れだ。予約が列をなしているので、お馴染みさん以外には断ってる」


「鶏肉はどうなの?」


「その卵から雛をかえした鶏。1周り大きく、肉が引き締まり味の濃い肉質の鶏になった。そこから取れる卵は最高級の卵を更新し続けている。それと、病気知らずだ。鶏は一旦病気をひろうと、全滅することがある。そういう素振りは今のところ一切ないのが嬉しい。今のところは鶏卵しか回せなかったが、ようやく数が揃ってきて鶏肉を出荷できる体制が整ってきた」


「はあ、楽しみだね」


「ああ、ちょっと待ってろ。チキン・ステーキを焼いてやる」


 …………


「なに、これ。すっごいジューシー!肉汁が垂れてきてる。しかも味が濃厚で肉の臭みがないね!」


「適度な弾力もあるだろ」


「ああ、そういえば」


「来月ぐらいから学園にも卸す予定さ。あと、オレの友人のレストランで試しに出してみるよ」


「こりゃ、街のレストランの勢力範囲が変わってきそうだね」


「だと思うぜ。こんな肉とか卵を出されたら、既存のレストランはたまったもんじゃなかろうよ」



 他にも結果を出しているのが水牛ミルク。

 臭みのない実に味の濃いミルクがとれる。

 夏バテもしないので、年中一定の品質になる。


 水牛の肉質はわからない。

 ミルクだけで満足しており、肉の方まで手が回らない。

 売るとなったら、青天井の値段がつくんじゃないか。



「それからな、魔石肥料。こちらも大変優れているのはもちろんわかっている」


「ああ、去年の段階で結果を出していたよね」


「うむ。まずな、王国では肥料不足ってのがかなりの問題になっている。家畜の糞と森の腐葉土を利用するのが一番手っ取り早いんだが、家畜の数には限りがあるし、森の浅いところの腐葉土はほぼ利用つくされているんだよ」


「森の奥は危ないって言うしね」


 王国の森の奥には狼、猪、熊、大蜘蛛、大蛇などの危険な生物が多い。

 

「ああ。ダンジョンで言うと、15~25階レベルの獰猛さだ。軍隊レベルで分け入る必要がある」


「森ではダンジョンのようなレベルの恩恵はないしね」


「うむ。で、森の開拓を進めているんだが、そうなると森の恵が少なくなるというジレンマがある」


「村の入会地としての利権調整もあるし」


「そうだな。この魔石肥料は、肥料不足を一気に解決する。なにも、原液をそのまま使わなくてもいい。原液を使うと過剰肥料になってよくない。水で千倍程度に薄めるだけで十分だ」


「食べてて思ったのが、香りが良くなったのと、野菜の甘みがマシてるね」


「そうだな。味も良くなったんだが、収穫量も数倍に増えたんだよ」


 バジル農場では、小麦だと例年1haの収穫が2~3トンだった。

 しかし、しっかりスケジュール通りに肥料を与えた結果、

 今年の冬小麦の収穫量は10トンを越える見込みという。


 今まででもバジルさんたちの農園は比較的しっかり肥料を与えてきた。

 それにも関わらず、尋常でない効果を発揮した。


 では、他の農家だったら?

 一般的に、この世界の農家はあまり肥料を与えない。

 金がないからだ。

 そういう農家の農場に魔石肥料を与えたらどうなるか。



 農家に関して、友達の輪は広がり続けている。

 いわゆる中間派の人たちばかりだ。


 政治的・宗教的に無色無臭の人を選んでいる。

 そして、この周辺では魔石肥料・飼料を使うかどうかで、

 かなりの格差が生まれつつあるという。


 一旦バジルさんたちの農産物を味わえば、

 他の農家の農産物に見向きもしなくなるのだ。

 宝石のような農産物を目指して、激しい闘いが起き始めている。


 ただ、そうは言ってもこちら側も客を選んでいる。

 ずっと付き合ってきた人たちを大切にしている。


 そして、これらの農産物を仕入れることができるかどうかで、

 卸問屋や小売店、食堂の格が決まる。

 仕入れることができない店は格落ちとされ、

 過去にどれほど優良な店であっても、

 2流の店とみなされ始めているという。



 こうした評判が広まった結果、強引なことをする人も出てくる。

 俺たちがかつて力のある冒険者であったことが、

 こういうときに生きてくる。


 ただ、懸念も出ている。

 今は中途半端な攻撃しかしてこない。

 だが、より本格的になってきたら?



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