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肉熟成魔導室

【肉熟成魔導室】


 さて、心配事はあるが、進級して最初の個人的なイベントが

 初めて俺たちで魔導具を作ったことだ。


 最初は、アスタシアの何気ない一言だ。


「寮の食事って特にお肉がダメなのよね」


 アスタシアは田舎の出身だが、結構なお嬢様だ。

 実家の敷地は門から家まで歩いて1時間ぐらいある。

 それ以外にも畑や山やらかなり広大な土地持ちだ。


 だから、食事も王国の最上級に近い。

 肉なんかでも、塩漬けとか干し肉とか出てこない。

 数日前にとれた獣の肉を上手に熟成させて出てくる。


「ああ、私も」


 ロレーヌは基本的に肉をほとんど食べない。

 臭いのが嫌いだからだ。

 例外は、俺の家で食べるときだ。


「我慢して食べなきゃ。大事な栄養分だぞ」


 ライリーはそういうが、彼も我慢して寮食を食べているようだ。


「そんなに不味いか?」


「ジョエルは反則よ。食事は家に帰ってるんだもの」


「え、バレてた?」


「当たり前でしょ。食事時にいなくなるんだもの」


 ただ、みんなどうすればいいのか知っている。

 肉を適切に処理すればいいのだ。


 ちゃんと血抜きをし、低温で湿度の高くしかも空気の澱まない場所。

 そういうところでじっくりと熟成させる。


 季節が冬ならば、そういう肉を出せる。

 しかし、気温が高くなると途端に難しくなる。

  

 魔導具を使えばできないわけではない。

 アスタシアのような金持ちの家ならば、問題なくできる。


 しかし、魔石を使いすぎるのだ。

 そこをなんとかする。



「『肉熟成魔導室』ってのはどうかな」


「魔導室?」


「肉を熟成させるための魔導具は各種あるんだよ。それを一つにまとめて部屋単位で魔導具とするということ」


「へえ。インテグレーテッド・魔導具ってこと?」


「難しい言葉使えばそんな感じ」

 

「ありそうでなかった考え方ね」


「ああ。魔導具って魔石の消費量が大きすぎるから、それに目がくらんじゃってその次の発想が生まれなかったのかもね」


 この魔導室は、室内に

 温度管理魔導具

 サーキュレーター魔導具

 湿度管理魔導具

 と言ったものをつけて、統合コントロールを行い、

 室内で肉を熟成させる。


「俺んちにはD級下位以下の魔石がうなるほどあるんだよ」


「最近は私達もそれなりに持ってるよね」


 自分でとった魔石でD級下位以下ならば、

 自分で使う限りにおいては問題がない。

 D級下位とは、具体的にはホブゴブリンとかだ。

 ダンジョン5階に出現する魔物である。


「肉熟成魔導室にはバンバン魔石を使っても大丈夫よね」


 貴重な魔石と言ったが、肉熟成室を稼働するには、

 最大1日でゴブリン魔石を10個ほど使用する。

 特に夏場だ。

 気温を下げるため、フル回転で魔導具を稼働する。

 だから魔石を購入すると1日で約3万sほどコストがかかる。


 これでも個々に魔導具を使うよりは、魔石消費が半分で済む。


 ◇


「このお肉、美味しいわね」


「肉の旨味が口の中にひろがるね」


「過去いち美味しいお肉かも」


 肉熟成魔導室で熟成させた肉。

 俺の家族を含め、みんなには大好評だ。



「このタレもすっごく美味しい」


「それさ、市場で見つけた調味料に少し手をくわえたんだ」


「ジョエルって、料理の腕、いつの間にそんなに上がったの?」


 この調味料は醤油だ。

 日本の醤油とは風味が少し違う。

 しかし、大豆由来の醸造調味料だ。


 俺はこれを焼肉のタレに仕立て上げた。

 砂糖、唐辛子、にんにく、刻みネギを入れ、

 軽く魔石回復薬を隠し味に使用している。


「そうだよ。お肉もだけど、この甘辛臭いタレがものすごく美味しい」


「煙がすごいけど、バクバク行っちゃうね」


「服に煙が染み込みそうだし、お口はニンニク臭くなりそうだから、外出前には絶対食べられないけど」


「でも、食べるの止まらないよね」



 肉熟成室を作ったからには、冷凍庫や冷蔵庫も作った。


 要領は一緒だ。

 加湿機能がついているため、普通の冷蔵庫よりも鮮度が長持ちする。



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