神皇の暴走
【神皇の暴走】
「マスターがお怒りだ」
「私どもも日夜頑張っておるんですが」
「努力したとか過程の話はいらない。結果が求められておるのだ」
「ははぁ」
私は神皇。
教会の最上位にて神のお告げをきくものだ。
このところ、神からのお告げが変化した。
以前だと、
「民を愛せよ」
だったのが、今では
「民に苦しみを与えよ」
に変わった。
当初は驚き嘆き苦しんだが、
きっと神にも深いお考えがあるのだろうと思い直した。
そう思い、神からのお告げを下のものに伝えると、
心が晴れ晴れとした。
なんということだろう。
これこそ天啓なのだろう。
私達の真の望みを叶えるお告げなのか。
神のお告げが変化したのは、1年前。
私の愛する娘が病で永眠したときのことだ。
妻とともに嘆き苦しんだ。
そしてたどりついた答えが蘇生術だった。
禁呪の魔法。
それを神に使える私が使用する。
いや、私は神に逆らってでも娘を取り戻したかった。
私は教会の地下にこっそりと祭壇を祀った。
黒魔術だ。
おそらく、私がいつも敬愛する神ではない誰かに
想いを伝えるためのものだ。
そして祈った。
すぐに返答があった。
様々なものを捧げた。
若い女の体を捧げよ、という神命には少し抵抗があった。
しかし、働きすぎて過労で倒れた聖女がいる。
熱心な信者だったのだろう。
彼女なら喜んで身を捧げるだろう。
私はベッドに横たわる彼女に睡眠薬を飲ませ、
祭壇に捧げた。
私は深夜になると毎晩祈った。
そして次の満月がきた日。
奇跡が起こった!
娘の棺からゴトゴトと動く音が!
ああ、愛しい娘よ、今少し待っておくれ。
ようやくおまえに会えるのだ。
それ以来だ。
神のお告げが変わったのは。
いや、神が違う存在に変わったのかもしれない、
とそんな想いがチラリと頭の片隅をよぎる。
だが、すぐに頭を払って邪念を消し去る。
問題はないのだ。
だって、娘は生き返ったのだから。




