新年
【新年】
王国では、新年は1年のうちで最も華やかな日だ。
12月31日は夕方になると、
各家庭では家族中心に年越しパーティを開き、
恒例の花火と爆竹大会があちこちで行われる。
花火は個人用のものだ。
盛大な打ち上げ花火じゃない。
それでも街中の人々が花火をあげ、爆竹を鳴らす。
上から眺めると街が白い爆煙で覆われるぐらいだ。
けが人も多数出る。
新年午前0時近くになると、カウントダウンが始まる。
王国では超高級品ではあるが時計が普及している。
俺たち学園合格者には記念品として学園から懐中時計が進呈される。
そういう時計をもっている人を中心に輪ができる。
白い息を吐きながら、冷たい手をこすり合わせ、時がくるのを待つ。
そして、12時。
盛大に花火を打ち上げる。
まあ、爆発系の火魔法なんだが。
ど派手なのが何発も打ち上げられる。
合わせて、各人の残りの花火と爆竹に火がつけられる。
夜空を彩る輝きが新年のピークだ。
その興奮のまま、多くの家庭が未明まで、
或いは徹夜して新年を祝うのだ。
「「新年あけましておめでとうございます」」
我が家でも毎年恒例の新年パーティが開かれる。
いつも、ロレーヌと彼女の両親も参加する。
家族ぐるみの付き合いであるが、
父ちゃんの食事が美味すぎるからでもある。
「今年は例年にまして食事が豪華ですな」
「ジョエルがね、新たな戦力になったのですよ」
「ジョエルくん、そんなに料理上手なのかね?」
「お父さんといい勝負」
「いや、最近はジョエルに料理を教えて貰いっぱなしで」
「ほお。確かに、見たことのない料理が」
「まあ、なんて美味しいの」
「ジョエルの得意な料理はじゃがいも系でね」
「いい食材が増えたら、だんだんバリエーションを増やしていきますよ」
「おお、来年の新年会も楽しみだね」
「料理だけじゃなくて、スキンケアや石鹸・ヘアケア製品もわけていただき、本当に感謝してますわ」
「あれ、最近のヒットよね」
「冒険者ギルドでも販売されておるが、アカデミーでも大評判らしい」
「ほお」
「なんでも、この製品群のお陰で一気に学生が自由派の生徒会長候補に流れたって話、市議会でも噂の中心になっているよ」
「噂といえば、ジョエルくん。学園の成績がとんでもないらしいですね」
「そうなの?」
「前期試験の座学はダントツ学年一番。クラス対抗戦ではなんでもとんでもない成績を収めたのだとか」
「はあ、ジョエル、そういうこと家で少しも言わないから」
「市議会でも、期待のホープということで注目されてますわよ」
「あらあら。そんなこと聞くと誇らしいわ」
まあ、そんな硬めの話題からだんだんとぶっちゃけ話に及び、
新年のプレゼント交換が終わると、
酒も入ってグダグダになるのが毎年の恒例。




