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3章2節 汝、自制ヲ尊ビ


 さて、今の俺には教祖点が200点と数十点がある。

 てか、祝福の獲得は100点ごとかと思ったけどそれは与える祝福の強度で変えるのでアテにすんなと忠告された。それって要するに御主神様のさじ加減でなんでもアリって言われた気がしたんだが、今は100点相当の祝福しか与えられませんってことでもあるのだろう。

 そりゃそうだ。こんなチートをちょっと頑張っただけで無条件で渡せるならヘラクルとケテトにも渡した方が効率がいい。でも渡さないってことはそういう事なんだろう。「信仰が強まると御主神様の干渉権が増えます。だから新しくチートが渡せます」って理屈なんだから。

 つまり教祖点はどれくらい干渉率が増えましたってことを数値で表してて、それをチートに還元してる。あとは、俺と言う器の成長も大事なのかも。あまりに火力の高いチートを強引に突っ込んでぶっ壊れたら洒落にならない。低スペック機材で膨大なデータ量を持つスーパーグラフィックなゲームをやろうってのは無理な話だ。データ量を受け入れられるだけのスペックを持つ機材が必要だ。

 一般人がゲームボーイなら、今の眷属()は初期のスマートフォンくらいかな?しかも契約が一番やっすいプラン。基本的なアプリケーションなら動くけど、後期に出た凄い容量食うゲームとかインストールしたらそもそもデータ量の問題で起動しないレベル。


【その考えで概ね間違っていません】


 うーん、御主神様が反応するタイミングが未だよくわからん。聞いてもシカトかます時もあれば、呼んでもない時に話しかけてきたりもする。思考筒抜けだから今更なんだって話だが。

 ともかく祝福だ。


――――――――――――――――――

【祝福の選択】

◆深感の祝福

五感を任意で強化する事ができる


◆非排泄の祝福   

排泄をしなくても問題ない肉体を手に入れる 

――――――――――――――――――


 はいでました前回見送った非排泄。五感強化は獣よりも遥かに鋭くなるようです。索敵も楽になるし使い勝手が相当いい。最初のラインナップにあっても妥当なクラスだ。

 でも俺は非排泄を選ぶ。分かっている。絶対に総合的観点では深感が上だ。とても役に立つ。けど、けどだ。これを逃したら俺は二度と非排泄を選ばなくなる気がする。これからもっと強力な祝福が候補に挙がってくるなかで非排泄より絶対に優先度が高い祝福が増えていくだろう。

 だからあえて非排泄を選ぶ。俺にはとある信念がある。人間が無謀にな瞬間、それは睡眠中と排泄中だ。とある武将も用を足している最中に暗殺されたと聞いたことがある。特に下水の概念がリアルに比べてクソ脆弱なこの世界でトイレ問題からおさらばできるのはとても重要だ。これで食事問題をクリアしたら俺は真の意味で24時間戦士になれる。

 あれ?もしかして断食の祝福みたいなものが来るまで我慢すべきだった?いや、食わなくてよくなるだけで儀式とかで食事が必要だったりするから完全に腐ることはない、多分。あとこれで実質悪食要らない子です。自分がポンポンペインになっても我慢できれば下痢のリスク0ってことですよ。そしてあの拷問みたいな痛みを経験したあっしには腹痛程度大丈夫。この発言…………フラグじゃないといいな。


   

――――――――――――――――――

【祝福の選択】

◆賞罰の祝福

「賞」と「罰」を信徒に与える事ができる。


◆悪食の祝福   

食に適さない物も食す事ができる 

――――――――――――――――――


 で、悪食不要になったので迷いなく賞罰行きます。

 賞罰はなんかより教祖と言うか、神っぽい能力だ。

 実はちょっと前に教祖として【祭礼】という特殊な権能が使えるようになっていた。祭礼と言っても「お祭り」って言うよりは期間限定の戒律を設け、完遂で信仰を高めると同時に教祖ポイントを貰える感じだ。この日はこれを食べなさいとか、この日からこの日までは断食しなさい、とか、この日にはこのような祭具を作り祀りなさいとか、そんな感じ。信徒は抗おうと思えば抗えるらしいが軽い強制力があり、抗うとなんらかのペナルティが起きるらしい。

 賞罰の祝福はその【祭礼】を更に強化できるようなシステムだ。

 例えば、「○○をしたら○○を与える」とか「○○をしてしまったら○○のペナルティを下す」とか。その上これ、常時発動じゃない代わりに発動すると更に教祖ポイントをくれるらしいです。ありがてー。

 あと賞罰の組み合わせもできるっぽい。「○○をしないという決まりを守ったら○○の恩恵を、守れなかったら○○のペナルティを与える」みたいな条件指定もできるそうだ。



 とりあえずケテトで試しましょう。事情は説明しますよちゃんと。うん。何をするかは言わないけど。眷属の力を知りたがってたので見せてあげようって名目です。


「【ケテト、汝にこれより3日間、【禁欲の儀】の実行を命ずる。成し遂げれば―――――――】」


 おお、出来た出来た。なん、ちょ、顔真っ赤にして叩くな俺を。やめ、やめなさい。痛みに強いし常人より遥かにタフでも痛くないわけではないんですよ。教祖の力を見せろというたのはお前やろがい。どうせ道のり的にあと6日は絶対に野営なんだからいいでしょうが。


 ああそっか。これソロもダメになるのか。てかもしかして3日後に向けて我慢しときなさいみたいなニュアンスに勘違いされた?これ3日後放置したら流石のケテトも荒ぶる龍に変身しそう。でもパッと思いついたのがそれだったんだよ。許せケテト。

 あ、守ろうとしなくても守れる夜更かし禁止ぐらいで良かったか。でも達成の難しい物ほど与えられる物も増えるから夜更かし禁止1日程度だと指定できるメリットが0に近いんだよな。それじゃ意味ない。

 このシステムのクソな点は達成条件に応じてメリットの大きさが決まるのにデメリットは最初からかなり自由にできる点。まあこのシステム、メリットを与えるより守らせることで教団の維持と信仰を継続することに重点を置いているシステムだから罰の方が強いのは正しいっちゃ正しいのよね。


 因みに、定めた戒律も守らないとペナルティがあります。痛みとか苦しみとか割と直接的にペナルティが起きるっぽいです。ある意味、賞罰はそれを更に強化し、より強制力を与えるということが出来るということでもある。

 笑顔の練習をしているヘラクルとケテト、大変可愛らしいです。でも見るとヘラクルは隠れちゃうしケテトは顔を赤くして襲いかかってきます。俺教祖なんだけどなぁ。でも大人げないので教祖の暴行禁止とかみたいな戒律はまだ作る気は、あっ!ケテトへのテスト祭礼それでよかったやんけ!俺のバカ!

 そう、照れ隠しでケテトさんちょくちょく暴力とまでいかないけどこんな感じで叩いたりすることがあるのです。可愛いので放置していたけど、それを禁じられてどうしようもなくなり地団太踏んだり枕を叩くケテトも見てみたい。俺以外の事に関しては極めて大人なケテトが俺の事になるとすぐに感情を剥きだしにしちゃうのは可愛らしいと思う。

 

 今から追加で…………いやそれは流石に可哀そうだな。これから三日間更にイライラするだろうし俺を叩くくらい男の甲斐性として受け入れてあげましょう。これくらい可愛い物です。

 でもこれ俺の眷属フィジカルだから可愛いで済んでるけど、黄龍人族のフィジカルでこんなに力入れて叩いたら普通の子供ならポーンと吹っ飛ぶレベルである。眷属フィジカルに信頼を置きすぎではなかろうか?それでも痛くないんだから、俺ってかなり人外に足踏み込んでんだなぁ。それ以上に体力がお化けなんだけどね。強靭な精神が無かったら俺はお猿さんになってただろう。自制、大事。


 ヘラクルはいい子過ぎて何をすればいいのか分かんねぇや。どうしよう。いつもより休憩時間を長くとりなさい、とかかな。ヘラクル、俺が命令しないと一緒に仕事し続けようとするからな。眷属でなおかつ生活も不安定だし暇だから仕事してるだけで、それに常人が合わせちゃいかんよ。努力点も着々と溜まってるが、今は作業BGMを増やす方に費やしているし、漫画や小説はせめて自分の家を持ててからゆっくりと楽しみたい派なんです。それまでは我慢。今は御主神様と教団、それを支えてくれるヘラクル、ケテトが第一です。



 ん、なんか人の気配。くそぉ、やっぱり深感の祝福も欲しかったなぁ。


「猊下、この先に複数の人がいます。規模的に旅団クラスではないかと。悪意は感じられません」


「大きいな。となると変に避けるよりはこちらから接触してみるか。なにか交換できるかもしれないからな」


「儂も感じた。設置型の索敵魔法だな。相手方も儂らに気づいておる」


「旅慣れしてるって事か」


 まさかこれが「どうせぶち当たるいずれかの面倒ごと」じゃないといいのだが。




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