二面性
僕の家から少し離れた所に向日葵畑がある。
ちょっとした観光名所になっていて、陽が刺すような暑い日ですらひっきりなしに観光客が訪れる。
正直言って、僕は大嫌いだ。
汗臭く蒸し暑い夏も、肌を焼くギラギラした太陽も、それを反射して黄色く主張する向日葵も。
全てが僕の神経を逆撫でする。
上手くいかない僕を叱っているようで、なんだかムカつく。
完全な八つ当たりなのだが、なんとなく、嫌だ!
そんな理由で夏は特に出不精の僕だが、なんとなく、眠れなくて、今日はふと外に出てみた。
家の灯りひとつない深夜、何処にでも売っていそうな着回しの白いTシャツに短パン、サンダルをつっかけて、外に出る。
リーリーと鳴く虫の声をBGMに、特に何も考えず、ただふらふらと歩く。
生ぬるい風が肌を撫でる。何とも言えない温度が身体を包み、不安定で失敗ばかりの僕を包み込んでくれているような気がして、どことなく落ち着いた。
暫く歩くと、目の前に広がる一面の花。
例の向日葵畑だ。
人混みも嫌いだし、絶対に来ることの無いと思ったこの場所。
空は快晴、綺麗な月が向日葵を照らす。
ぬるい風に吹かれて、ゆらゆらと揺れる無数の花々。
夜空の元、淡い光を放って揺れる向日葵。
昼間の煌々とした景色とは違い、優しく光って揺れる向日葵に、どことなく心惹かれた。
キラキラ輝く昼の顔。
それだけじゃ光を放てない月と同じく、月に照らされることで淡く光る夜の顔。
何も無くては輝けないその姿に、なんだか赦される気がした。
卑屈な僕でも、寄り添われているような気がした。
深夜、夜風に揺れる向日葵。
これならば僕も好きになれそうだ。
しんどくなったらここに来よう、そうすれば落ち着く。
夜の向日葵は悪くないな。
そう思い、僕は帰路に着いた。




