ばけもの子供の物語 法
私達の国は、ばけものと共存している。
その国では、共存にあたって、三つのこの決まりを守らないといけなかった。
・ばけものは長く生きていてはいけない。
・ばけものは光の下に出てきてはいけない。
・ばけものには人間と同じ扱いをしてはいけない。
その決まりが、いつからあるのか分からない。
どうしてその決まりがあるのかも、分からない。
最初に誰が決めたとか、どういった理由でつくったのかとかは、皆わすれてしまった。
だってそれははるか、昔の事だったから。
だから皆は、理由も分からずにその決まりを守っている。
どうしてそうなの?
と、思う事もなく。
私も、そのうちの一人だった。
昔、子供の頃。
仲の良いばけものがいた。
いつでも遊んで、どんな事も相談できる親友のような子だった。
けれど、その子は私達とは違うから。
人間ではないばけものだったから。
長くは生きられないし、光の下で生活する事はできないし、人間と同じ扱いはできなかった。
私は、それが普通で常識だと思っていた。
ばけもののその子も、それが普通で常識だと思っていた。
だから、私達は短い期間だけ友達でいて、それでさよならをした。
たまに思い出しては、もう少し遊びたかったな。もう少しお話したかったな。
って思ていた。
けれど、そんな私が違和感を覚えたのは、大人になって他の国に言った時の事。
他の国では、皆が仲良しだった。
人間とそうでないもの達が、仲良しだった。
だから、私は自分の国が変だった事に気が付いたのだ。
そして、とんでもない事をしてしまったのだと、後悔をした。
どうしてかつてのあの時に気が付けなかったんだろうと、私は涙して毎日過ごした。
子供だった自分に、できる事など少なかっただろうけれど。
どうして正しく気が付いてあげられなかったのだろう、と思った。
もうあのばけものの子とは出会えない。
ごめんねは、一言も言う事ができない。
後悔した私は、たくさんがんばって偉くなって、その国の決まりを変えようと思った。
同じように考えている人達を探し出して、協力して。
いつか私のいた国でも、人間とそうでない者達が仲良く過ごせる日がくるように。
そう願いながら。