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353/432

352.再び巨大な敵

 その「元」国王たちを倒す前に、まずは目の前で暴れている触手を持った巨大人型古代兵器を倒さなければならない。

 地下から地上へ出たリュディガーたちは、まずその古代兵器の重厚さに度肝を抜かれる展開に。


「重そう……」

「動きは鈍そう……」

「鉄臭そう……」


 エスティナ、フェリシテ、トリスの三人が同時に発した感想がそれだったのだが、家屋の三階部分までぐらいの高さがありそうなその古代兵器はそんなものに構わず、触手状になっている腕を振り回して攻撃を開始する。

 確かに歩いて動き回る動作こそ鈍いものの、腕の触手の攻撃範囲が動作の遅さを補ってくれている。

 リュディガーたちが思っている以上に伸び縮みをするその触手は、まるで鞭のように地面や周囲の木々に叩きつけられ、その度にその威力の高さを物語る痕跡を残してくれる。


【さっきの地面への一発で地面が抉れ、今の木々への一撃で何本もの木が折れる!! それなりに太い木なのになんて威力だ!!】


 あんなのを食らったらひとたまりもないその状況で、リュディガーたちに攻撃の隙を与えないように戦う古代兵器と、どうにかして古代兵器の隙をうかがうリュディガーたちの攻防が続く。

 だが、そこは人外の存在であるアレクシアが自分の魔力を使って隙を作り出す。


『全員そいつから離れろ!! わらわが地面を動かすぞ!!』


 空中から林の中に響く精霊の声に、リュディガーたちが一斉に古代兵器から距離をとった。

 それを空中から確認したアレクシアは、地面を隆起させてしっかりとその古代兵器を後ろに転倒させることに成功した。

 突然盛り上がった地面に足をすくわれ、背中から仰向けに地面に倒れ込んだ古代兵器に対して、リュディガーたちは一気に攻めに掛かろうとした……が。


『わっ!?』

「アレクシア!!」


 なんとその仰向けに倒れた状態から、両腕をブンブン音を立てて振り回す古代兵器のその暴れ方。

 そして振り回された右の触手状の腕が、空中から接近してきたアレクシアに直撃!!


『ぐえっ……』

「おお……ととと!!」


 アレクシアが吹っ飛ばされた方向にいたバルドとフェリシテが走り出し、二人がかりで彼女が地面に激突する前に何とか受け止めることに成功した。

 だが、そのアレクシアの動きにリュディガーたちが気を取られていたところで古代兵器が立ち上がり、再びその腕を振り回し始める。

 どうやらこういった体勢を立て直すことは慣れているらしく、人外の生物が二名もいるのだから割と簡単にカタがつくと思っていたリュディガーたちは、その認識を改める必要がありそうである。


「くそ……おいフェリシテ、アレクシアに回復魔術を!!」

「今やっています!!」


 ジアルに命じられる前に、すでにアレクシアに対してフェリシテが魔術で回復を試みている。

 もちろん古代兵器の触手が届かない場所まで逃れての処置なのだが、思いっきり横からひっ叩かれた形になったアレクシアは脳震盪を起こしてしまっているようで、回復までにはなかなか時間がかかりそうである。

 古代兵器の腕を斬り落とすようなことができればいいのだが、あいにく打点が高すぎる位置にあるのでそこまで武器が届かない。

 トリスの矢も古代兵器の腕がしっかり見切って叩き落としてしまうので、なかなかこうした多数相手でも闘い慣れていると見える。


「恐らくは古代から自分の縄張りを荒らしてくるような人間や魔物たちを相手にしてきて、戦い慣れているのだろうな」

「のんきに分析してる場合じゃねえだろデレク!!」

「それはそうなのだが……俺たちだってなかなか近づこうにも近づけん。しかも近づくにしても場所が余り広くないから、誰かが気を引くような囮作戦も通用しなさそうだ」


 デレクの分析通り、視野を広く持っているのであろうこの古代兵器はリュディガーたち多人数を相手にしても全く引けをとらない戦い方で苦しめてくる。

 エターナルソードを持つリュディガーでさえも、その武器が当たる場所まで近づけなければどうしようもできない。

 ならばどうすればいいのかと思っていた矢先、リュディガーたちの後方からバッサバッサと翼がはためく音が聞こえてきた。


「……っ!?」

『下がれっ!!』


 リュディガーたちがその音のする方向に視線を向けてみれば、そこには本来の白いドラゴンの姿に戻ったタリヴァルが全速力からの体当たりを行なうべく、古代兵器に向かって突っ込んでくる姿があった。

 そう……その古代の魔術師が残したものを放置してしまった責任を取るために。

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