339.リュディガーの戦い
バルドとジアルとともにイディリークを飛び立ち、先に第一パラディン部隊の場所でその二人が飛び降りる。
残ったリュディガーはこのラーフィティアの看視者のタリヴァルとともに、すぐ目の前にある王都ベルトニアの中へと向かう。
『目指すは王城レガリアだ。この王都の中もひどいが、レガリア城はさらにひどくなっているみたいだからな。とにかくここはあの空中大陸の魔力もまだ及んではいないから、さっさと片付けるぞ!!』
「わかった!!」
初めてこのエターナルソードを振るうのが、まさかこんなに混沌とした戦場の中だとは思ってもいなかったリュディガー。
しかし、そのエターナルソードは確かに六つの試験に合格しなければ所有を認めてもらえないというだけのことがあることを、振るい始めてリュディガーはすぐに知ることとなる。
「せいっ!!」
『ギャウウウウッ!!』
人型もそれ以外も入り混じってベルトニアの街中を破壊しまわっている無魔力生物たちを、同じ無魔力生物であるリュディガーが仕留めていく。
ドラゴンの力は人間など遥かに及ばないほどのものがある。
それはこのエターナルソードにも受け継がれているらしく、リュディガーが薙ぎ払いをするたびに衝撃波が生まれて、向かってくる無魔力生物たちを吹き飛ばす。
ならばと上空から襲いかかってくる飛行型の無魔力生物たちに対しては、リュディガーが両手でしっかりと柄を握って真上にエターナルソードを突き上げてやることで、まるで意思を持っているかのように上空に向かって衝撃波を出して爆発させてくれるのだ。
一騎当千とはまさにこのことであり、リュディガーの余りの強さに恐れをなして逃げていく無魔力生物もいるほどである。
「怯むなぁ、進め!! 殺せ!!」
そこで指揮をとっているのは、かつてそのドラゴンの力から逃げ切った経験を持っている二色の髪を持つ男だった。
緑とピンクがかった赤の二色の髪の毛が特徴的な中年のその男こそ、全てのパラディン部隊のさらに上をいく存在であり、旧ラーフィティア騎士団の頂点に君臨する将軍のジェイデルである。
大軍を率いて意気揚々とこのベルトニアを取り戻しに来たその将軍の進軍計画は、最初こそ成功していた。
町や村を占領し、女も男もそれなりの奴隷として強制連行したのちに例の超巨大兵器によって跡形もなく消し去る。
その超巨大兵器の実施試験は、試しにラーフィティア国内の町を一つ消し去ることで見事に成功している。
この兵器さえあればラーフィティアの占領などたやすいことだと思っていたのに、突然上空から現れた白いドラゴンとそれに乗ってきた一人の青髪の若い男がとてつもない力を発揮し始めた。
一体何が起こっているのか理解できないまま、しかし戦力差は圧倒的にまだこちらの方が有利なはずなのでその現れた謎の男を排除しにかかるジェイデル。
しかし、その若い男に向かっていったはずの無魔力生物たちが次々と倒されてしまっている上に、意思を持たないはずの生み出した無魔力生物たちが恐れをなして敵前逃亡という異常事態が発生している。
(一体何が……!? 我がラーフィティア騎士団がここまで圧倒的に押されるようなことがあるものか!?)
無魔力生物たち、そして自分についてきてくれている十二のパラディン部隊の隊員たち全てを総動員してその男を潰すつもりが、逆にこちらに向かってどんどん潰されているのを見て、ジェイデルは自分が出るしかないと判断した。
愛用のハルバードを握り締め、自軍の悲鳴が聞こえてくるその方向に足を向けてなんとしてでも止めてやると意気込み旧ラーフィティアの将軍だったが、その若い男が振り回している武器を見て思わず足が止まってしまった。
(あ……あれはまさか!?)
自分の記憶が正しければ、男が振り回しているのは自分たちやニルスたちが躍起になって手に入れようとしていたはずの、伝説の武器に間違いない。
「エターナル……ソード……」
その名前を口に出してしまうジェイデルの目の前で、伝説の武器はその威力を遺憾なく発揮する。
群がる無魔力生物たちを吹き飛ばし、まるで暴風の如くこちらに向かってくる黒ずくめの鎧に身を包んだ若い男。
伝説の剣を持てるということは、この世界を看視しているドラゴンたちから認められたという猛者の証でもある。
(だが……まだ負けたわけじゃない!! そんな伝説なんてまやかしだということを私が証明してやる!!)
そう、勝負は戦ってみなければわからない。
それにこっちには「あの薬」だってあるのだから、それで勝機が見出せる可能性だってある。
伝説の武器を持つ男に対して、奮起した一国の将軍がその足を踏み出した。




