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217.ヴィーンラディ王国へ

 シュアの東の隣国であるヴィーンラディ王国に向かうことを決定したリュディガーたちだったが、ここで思わぬ話が飛び込んできた。


「えっ、一緒に行けないのか?」

『ああ。本来であれば私たちも一緒についていくところなのだが、やはりシュアの王都がこのような状況ではな……』

『俺様もおっさんも、元々はシュアの共同看視担当だからよお。これが例えば俺様が掛け持ちしているエスヴェテレスだったら一緒についていけるんだがな』


 なんと、ここにきてエルヴェダーもグラルバルトもリュディガーたちとは一緒にヴィーンラディまでは行けないと言い出し始めたのである。

 しかし、そこでドラゴンたちの返答に疑問を抱いたトリスが手を挙げた。


「はい、ちょっと待って」

『何だよ?』

「確かシュヴィリスは私たちと一緒に、本来自分が看視を担当していないはずの別の国にまで一緒に来てくれたはずなんだけど、あれはいいのかしら?」


 そう、確かにシュヴィリスはヴィルトディンとバーレンの看視を担当しているはずなのに、わざわざその二カ国以外にもリュディガーたちに付き合ってくれた。

 その過去があるのだからなんとかならないだろうかと食い下がるトリスだが、ドラゴンたちも本音ではやはり手伝いに行きたいらしい。


『おっさんもさっき言っていた通り、俺様たちはシュアを優先して看視しなければいけねえ立場なんでな』

『シュアが……それも王都のコーニエルがこのような状況になっていなかったとしたら、私たちもついていっていた。だが、そこだけはどうしてもわかってくれないか』


 これに関しては私たちもどうしても譲ることはできないんだ、とかたくなに断るドラゴンたちに、それならば仕方がないとトリスは諦めるしかなかった。

 そんな残念そうな表情を浮かべる彼女に対し、グラルバルトがフォローを入れておく。


『そんなに心配するな。君たちだってなかなか強いと思うし、何より私たちだけではなくて精霊のアレクシアもいるだろう?』

『そーだよ。アレクシアだって一流の味方だろーよ』


 それによ、とエルヴェダーが続ける。


『シュヴィリスに連絡して、ヴィーンラディにいる俺様たちの仲間に連絡を入れてもらうことにした』

「……直接連絡しなかったの?」

『ああ、俺様やおっさんが連絡した時にはどうも連絡がつかなくてさ。だからそのヴィーンラディにいる緑と一緒にバーレンの監視を担当しているのがシュヴィリスなので、シュヴィリス伝いに連絡を入れてもらうことにしたのさ』


 こうしてシュアの人間たち、そしてドラゴンたちと別れたリュディガー一行は、次の目的地であるヴィーンラディ王国まで魔力を動力とする列車で移動することになった。

 幸いにも列車は何とか無事だったらしく、破壊されていた線路を最優先に修復してギリギリ走れるようにしてくれていたのもあって、ヴィーンラディまでの直行列車に乗ることができた。

 その列車の中で、ヴィーンラディ王国とはどのような国なのかをシュアで事前にもらった資料とエスティナの説明でおさらいしておく。


「元々は別の地域から移り住んで来た人たちが建国したとされている王国ね。現在まで千年以上の歴史がある、息の長い国なのよ」


 地理としてはバーレンよりも自然が多いのが特徴なのだが、自然が多いと当然魔物も多くなる。

 それゆえに騎士団は日々魔物の討伐に駆り出されている。

 かといって人間相手に戦った経験が少ないというわけではなく、そうした魔物だらけの自然の中をねぐらにしている凶悪な盗賊たちや密入国者たちを捕まえたりということもしているらしい。


「王都の近くにはいくつかの村が存在しているんだけど……それらよりはもちろん、圧倒的に王都に住んでいる人間の方が多いわね」

「その村に住んでいる人間たちは、魔物への対策をとっていたりするのか?」

「そうみたいだけど……私が世界中を旅していた時には、ヴィーンラディも王都しか行ってなかったから実際にはわからないわ。まあそんな感じで、王国領土の半分以上を自然が占めているのが特徴で、人間が住める地域は限られているのよねえ」


 一年の内で半分以上が温暖な気候で、雨が降ると蒸しやすくなり易いのが特徴。

 ジメジメした気候はなかなか不快感を生むのでできれば避けたいというのがリュディガーたちの本音であったが、今はそんなことよりもあのアガートや逃げて行った隊長格の男たちを追いかけるのを念頭に置かなければならない。

 そして、エルヴェダーに教えてもらった緑色のドラゴンがいるといわれている場所にもいかなければならないので、やらなければいけないことは山積みであった。

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