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213.魔力がある自分たちと魔力のない敵たち

 そのころ、別の場所を進んでいたフェリシテとエスティナとエルヴェダーの三人組は、鉱山の中にある広場でピンク色の長髪を持っている弓使いの男に出会っていた。

 さすがにあの中央ホールほどの大きさも高さもないものの、それでも大勢で戦うには十分過ぎるほどのスペースが存在している。

 そしてその弓使いのソエリドが引き連れていたのは、あの生成装置から生み出されてこの鉱山内をさまよっていた多数の無魔力生物たちだった。

 ソエリドにたどり着くまでにはまずその連中を相手にしなければならないので、この三人の力を持ってしてもなかなか厳しいと感じている。

 特にエルヴェダーは、得意の火属性の魔術が何も効果がない無魔力生物を相手にしなければならないので、自慢の槍を使って戦うしかなかった。

 ドラゴンの姿に戻って戦うにはスペースが狭すぎるので、そのもどかしさが彼のイライラを募らせる。


『死にてえ奴からかかってこいよ!! オラオラァ!!』


 無魔力生物たちはそこまでの知能はないみたいだが、それでも武器を触れるだけの行動力はあるようなので、三人とも気をつけて相手をしなければならない。

 しかし、エルヴェダーはまだ槍を持って戦える側の人間(に擬態しているドラゴン)であるだけまだよかった。

 三人の中で最も役に立たないのは、それこそ魔術を中心に戦ってきていたフェリシテである。


(うう……一対一ならまだいいのかもしれないけど、こんなに大人数を相手に魔術なしでどうしろっていうのよぉ!?)


 相手が相手だけに、これでは自慢の魔術も一切使うことなく終わってしまいそうである。

 いや……実をいえば彼女の魔術が通じる人間が一人だけここで戦っている敵の中にいる。


(でも……あの弓使いだけは私の魔術が効くかもしれないわ!!)


 今でこそエルヴェダーの背後に隠れるようにして守ってもらっているフェリシテだが、一番遠くからちまちまと矢を放ってきている黄緑色のコートを着込んだ弓使いだけは無魔力生物ではなさそうなのだ。

 事実、隙を見て探査魔術を発動してみれば彼のいる場所にだけは魔力の反応が見えることからしても、あの弓の攻撃をかいくぐってなんとか接近できれば……というところだった。

 となれば何か武器になりそうなものがないかをまず探すわけだが、そこは襲いかかってきている無魔力生物たちが倒される時に落としているロングソードやらバトルアックスやら、いろいろなものがある。

 しかし魔術師ゆえに体力も筋力も自信がないフェリシテは、どうしてもコンパクトで持ち運びがしやすくて、なおかつ自分が扱えそうな武器に手が伸びるのはごく自然な話である。


(じゃあ、これを使ってなんとかあの弓使いだけでも仕留めなきゃ!!)


 無魔力生物たちの知能の低さに期待して、なるべく目立たないように壁に沿ってゆっくりと進むフェリシテだったが、ここで自分がターゲットにしているはずの弓使いの男に異変が起こる。


(……あれっ、消えた!?)


 乱戦となっているだけあって、無魔力生物たちが入り乱れている間に見える弓使いの姿を目で追っていたフェリシテだったが、一瞬その姿が無魔力生物の人間に阻まれた。

 ……かと思うと、次の瞬間にはその弓使いの姿が見えなくなっていた。


 周りの無魔力生物たちに注意しながら、フェリシテはその弓使いの姿をなんとか見つけようとする。


(これだけの人数が入り乱れているとはいえ、あの黄緑のコートはかなり目立つわ。それに隠れられる場所だって限られるはず!!)


 だが、彼女の意に反して集団戦の中でその姿がなかなか見つからない。

 派手な格好をしているだけあって、すぐに見つかるものだと思っていた彼女の目論見はここでついえた。

 そしてその理由を少し考えてみて、一つの魔術の存在を思い出した。


(まさか、姿を消せる魔術……!?)


 いや、そうとしか考えられない。

 しかしそれは魔術師たちの学ぶ魔術の中でも非常に高度なものであり、自分だって習得するのにまだ時間がかかりそうな代物だ。

 その魔術を使える魔術師は、イディリークであれば魔術研究所の中でも所長クラスの人間ぐらいしかフェリシテには思い浮かばない。

 しかもあのコートの男は弓使いでもあるので、姿を消して背後に回り込まれたり死角から狙われたりでもしたらこちらの身が危ない。


(それを使えば見つからないのも納得だけど……と、とにかく背中を岩壁につけて……!!)


 背後だけは取られないようにしなければならない。

 一気に緊張感が高まるフェリシテだが、岩壁に沿って移動する彼女の頭の中にふとこんな考えが浮かぶ。


(でも、あれも魔術だからリュディガーだったらもしかして見えたりするのかしら)


 姿を消せるのは魔力があり、それを利用する魔術のおかげ。

 リュディガーと対峙した時は恐らく意味がないのではと予想しながらフェリシテがなんとか乱戦を抜け出し、安全地帯であるエルヴェダーの背後に再び戻ってきたその時、自分の背後にゾワッとする殺気を感じた。


(……!!)


 とっさにフェリシテが左に飛んだその直後、彼女が立っていたその場所に風を切って矢が飛んでいった。

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