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207.ルフレンス鉱山

 シュアの南にあるその鉱山は、エリフィルとセフリスが言っている通りかなり大きな鉱山だった。

 二人が言うにはここで実に千人以上もの労働者が働けるだけの大きさがあるらしく、それゆえに落盤事故などが起こってしまうと洒落にならないので、内部のそうした対策として補強工事には特に力を入れているとのことらしい。

 だからこそ安心して働くことができる場所として、貴族以外のシュアの国民からは人気のある場所なのだが、その反面でここに来るまでの情報通り盗掘団の被害が後を経たないらしい。


『それで、私たちが聞いたのはこの鉱山の出入り口付近で盗掘団の連中が死んでいたって話だが、どこの出入り口なんだ?』

「それならこっちだ」


 セフリスに案内されるままたどり着いたのは、鉱山の北側の出入り口であった。

 東西南北に大きな出入り口がそれぞれ一箇所ずつ存在している他、採掘の利便性を良くするべく小さな出入り口もいくつもあるらしい。

 その北側の出入り口から中に入ってみようとしたリュディガーたちだったが、ここでエリフィルがふと違和感を覚える。


「あれっ? 皆さんちょっと待ってください!」

『どうした?』

「真新しい足跡がついています。それも、作業員でも警備員の足跡ではありません」

『わかるのか?』


 グラルバルトが尋ねてみると、エリフィルは自信を持って答える。


「はい。各地の鉱山で働いていただく労働者の方々には、王国から支給する道具や制服、靴などを使って作業に従事していただくのです」

『そうなのか? 各自で用意するとかではなく?』

「ええ。外部から持ち込むのは昔は許可されていました。しかし、仲の悪い作業員同士でもめ事が起き、一人が自分のロングブーツの中に仕込んでいたナイフで相手の労働者を視察してしまった事件がありまして。そこからこちらで用意した制服やブーツや道具で作業に当たってもらうことになったのです」


 割とショッキングな事件があってからそうした勤務の規則ができたらしいのだが、今回見つけたこの足跡というのが支給されているブーツのものではないというのだ。

 となると、ここに先に入った人物がいるということだ。


『ならばエルヴェダーと私で、鉱山の他の出入り口を見張っていようか?』

「そうしてもらえると助かる」

『わかったぜ。なら俺様たちは外で誰が出てきてもいいように見張ってっからよ』


 しかし、セフリスが頼んだその話に待ったをかけたのがリュディガーだった。


「いや、待て。それは余り意味がないような気がする」

「なぜだ?」

「ここの人間たちは、先ほど説明を受けた限りだと決められた制服や道具を使っているとの話だったな。だとしたら先に侵入した人間がここから出てくる時に、中の作業員たちの誰かを気絶させるなり殺すなりして、服を着替えてしまえばうまく外に出られると思わないか?」

「それは……まあ、そうだが」


 だとしたらいったいどうすればいいのか?

 そもそも、今日この鉱山の中で働いている人間はどれぐらいいるのだろうか? そこを把握することからすべてが始まりそうだということで、エリフィルが騎士団長の一人であるという権限を駆使して今日の出勤者名簿を警備員たちから見せてもらう。


「本日の出勤者数は全部で三十名だそうです」

『三十人か。ならばわらわが鉱山全体に探査魔術をかけて中を見てみるとしよう』


 警備の人間が言うには、今日は特に出勤者の少ない日なのと鉱山周辺の魔物も多くなってきているとのことで、なかなか出勤者が集まりにくくなってきているらしい。

 近々、エリフィルがこちら南側の担当ということもあってその魔物討伐に来る予定だったのが、王都をメチャクチャに壊してしまったアガートのせいで大幅な遅れが出ることは簡単に予想できた。

 その話を警備の人間たちにしているうちに、アレクシアの内部探査が終了したのでその様子をリュディガーが尋ねてみる。


「……どうだ?」

『うむ……三十人ピッタリだな』

「えっ、そうなのか?」


 てっきり今までの話の流れから三十人よりもっと多くの人間がいるのかと思いきや、出勤者数と実際の内部にいる人間の数が合っているということで、肩透かしを食らってしまった感覚に陥るリュディガー。


「もしかしたら、今日出勤してきた人が自分の靴で中まで入って行って、中で作業用の靴に履き替えたんじゃないの?」

「いいえ、それはあり得ません。出勤してきたら靴を警備担当の者の前で履き替えて、制服もそこで着て、そして道具を渡されて出勤、ということになるんです」

「とにかく中に入って調べてみよう。異変が起きているということには変わりがないようだし」


 そう言いだしたリュディガーを先頭に、ゾロゾロと鉱山の中に入っていく一行。

 そして彼らはその中で、思わぬ集団と出会うことになるのであった。

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