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161.再会

(だいぶ倒してきたはずだが……)


 一向に仲間の誰も見つけられない上に、自分がどこを進んでいるのかもわからなくなってきているリュディガーは、一旦立ち止まって今の自分の状況を確認することに。


(いつかの迷宮と同じく、似たような景色が続くからどこをどう通ってきたのかがわからないはずだ。しかし、確実に敵は減っている)


 そう思いたいリュディガーだが、こういう時に限って探査魔術が使えるアレクシアもフェリシテもいない。

 もし自分も魔術が使えたなら、その探査魔術で残っている敵がどこにどれぐらいいるのかわかるのに……と自分の体質を呪う。

 だがここでそう考えていても話が進まないので、リュディガーはとにかく前に進もうと再び歩き出した。

 すると、その進んでいった先でようやく一人のメンバーと再会できたのだ。


「あっ、リュディガー!?」

「エスティナ!」


 ようやく見つけた牢屋の一つの中に、鎖に繋がれたエスティナがうずくまっていた。

 久々に仲間と再会できて不安が和らぐリュディガーだが、まずは彼女を助け出さなければならないので、出入り口の錠前をロングソードで一刀両断して中に飛び込む。


「ありがとう、助かったわ」

「礼ならここを出てからだ。それよりも俺たちはどうなったんだ? いったいあの宿屋で何があったんだ?」


 もしかしたら自分よりも何かを知っているのではないかという期待を込めての質問をエスティナにぶつけるが、リュディガーによって鎖を外された彼女は首を横に振るだけだった。


「わからないわ。あの食事をみんなで楽しんで、ベッドに向かって寝て……そして起きたら私はここにいたの。もしかしてリュディガーも同じ?」

「どうもそうらしいな。……そうなると、他のメンバーもどこにいったかわからないってことか」

「ええ。その言い方だとみんながバラバラになって捕まったらしいわね」


 とにかくこれで一人が二人になったわけなので、残るメンバーを捜してさっさと脱出しなければと考える二人だが、エスティナの顔色が悪いことに気がつくリュディガー。


「……おい、どうした?」

「なんだか身体が火照ってるっていうか……熱いっていうか……」

「ちょっと触るぞ」


 リュディガーが青い手袋をはめたままの右手でエスティナの額を触ってみると、確かに熱い気がする。

 もしかしたら熱を出してしまっているのかもしれない。

 確かに地下なのにこんな隙間風が吹き込んでくるような場所にいきなり閉じ込められでもしたら、それこそ精神的な疲労も重なって体調を崩してもおかしくない。

 とにかくどこか休めそうな場所はないかとエスティナを連れて歩き回るリュディガーだが、こんな時に限ってまさかの相手に出会ってしまうのだった。


「……!!」

「ああ、ようやく来ましたか……リュディガーさん」


 にこやかな笑みを浮かべるあの時リュディガーたちが助けた旅人の男……ルストがかなり広い部屋の中で待ち受けていた。

 彼の後ろには外に繋がるのであろうドアが見える。

 そこから別の場所に出てしまえば自分たちの置かれている状況がもっとよくわかると思うのだが、そのためにはまずこのルストを倒さなければならない。

 そして、彼には聞きたいことが山ほどあった。


「お前はあの時の! ……そうか、読めたぞ。お前は最初から俺たちをここに連れてくるつもりで、あそこで倒れたふりをしていたんだろう?」

「なかなか鋭いですね。私たちはある方の命を受けまして、あなたたちを連れてくるようにと言われましてね」

「ふぅん……それってまさか、カラフルな服装と装備の黒髪の男じゃないだろうな?」


 ヴィルトディンでもグリスがいたのだ。エスヴェテレス側にだってもしかしたらニルスがかかわっているかもしれないので、こうしてまっすぐに問いかけてみる。

 しかし、それについてはルストは答えてくれないらしい。


「それについては口外できないことになっておりますのでお答えできませんね」

「そうか。ならば質問を変えよう。ここからどうすれば出られる? それからこのエスティナ以外の俺の仲間はどこにいる?」


 なるべく答えてもらえるような質問を考えたリュディガーだったが、ルストは先ほどと同じ答えを繰り返すだけだった。


「それにつきましてもお答えできませんね」

「そうか。そういうことなら俺も実力行使に出させてもらうしかないな。力ずくででも質問に答えてもらうぞ!!」

「そうですか。それでしたら私たちも反撃開始といきましょう」


 ……私たち?

 その答えに違和感を覚えたリュディガーは、次の瞬間エスティナを横に突き飛ばしつつ、突き飛ばした反動を利用して自分も彼女と反対側に飛んでいた。

 その瞬間、二人がいた場所を一本の矢が飛んでいったのである。

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