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第四章   第10話 「打倒!薫子さん!」

10話です。

マミリンコンビが動きだしたようです。



いつも読んでくれてありがとうございます。


 m(_ _)m

今日の倫子は異常なほど眠たかった。

講義の最中、何度も何度も舟を漕いだ。

それほどに眠くて眠くて仕方がなかったのだ。

なにせ桜子の作ってくれたお弁当ですら、笑顔も見せずに黙々と食べていたのだ。

それを見た真美が『どうしたのリン?お腹の調子でも悪いの?何か拾い食いでもした?』と思ったくらいだ。

 

「どうしたのリン?寝不足?」

真美は心配そうに倫子に尋ねた。

「実は…。」

倫子は寝不足の理由を、真美に話した。

倫子は真美とのコンビが成立したあと、いつも通りにアルバイトをして夕食を採り、お風呂に入ってからベッドに入った。

ベッドに入りながら録画していた薫子との戦闘データを何度も何度も見直すうちに、いつの間にか寝てしまっていた。


映像で見る薫子のピンクちゃんは、倫子の想像を遥かに越える動きを見せてくれた。

映像は二つあった。

倫子のカメラ映像と薫子のカメラ映像である。

倫子が二つの映像を何度も見比べて、まず最初に気付いたのは反射速度の違いである。

 

2機のマジカルピンクの動きを見比べても、倫子の反射速度より、薫子の反射速度は1.5~2倍はあるだろう。

倫子の映像を見た後では、薫子の映像を看ても目が追いつかないのだ。

逆に薫子の映像を先に見ると、目が追いつかないにしても、先ほどよりも見やすくなり、倫子の動きの無駄やスピードの違いがよくわかるようになった。


『二つを同時に見たら、もっとようわかるのんとちゃうかなぁ?』

そう思った倫子は、相棒(真美)に相談してみた。

それならばという事で、真美は源さんに相談してみることを倫子に提案し、大学終わりに二人でアンパンと牛乳を持ってハゲタカ急便へと向かった。


二人の話を聞いた源さんは、お土産に貰ったアンパンと牛乳をやっつけながら、あっという間に二人の戦闘データを加工してくれた。

「画面を二分割した画像も増やしておいたから、それも見てみな。差し入れの礼だ。」

源さんはそう言って、映像データを手渡してくれた。


 

乙女座に戻った二人は早速、娯楽室に篭もって大画面で映像データを見始めた。

まず最初は倫子のデータから見始めた。

映像がモニターに映しだされ、二分割された画面を見ながら真美が言った。

「本当ね。こうやって見ると、スピードとタイミングの違いがよくわかるわ。」

「でしょ?」 

しばらく映像を観ていると、真美が突然声をあげた。


「今の技は何!」

モニターには担ぎ胴をする大和撫子が映っている。

「担ぎ胴って言ってね。こう、刀を肩に担いで打ち込みのタイミングをずらす技なの。」

倫子は身振り手振りを交えながら真美に説明をした。

「よく知ってたわね。狙って出したの?」

真美は感心している。

「知ってたけど狙ってないよ。偶然出たんだよ。」

「偶然?偶然にしてはすごいわね。」

真美は再び感心した。


「薫子さんの反射神経もすごいわ。あのタイミングで使われたら、あたしなら斬られてられてたかも。」

「そんなわけないよ~。」

倫子はそう言って笑った。



倫子の戦闘データを見終えたあと

「じゃあ次はあたしのデータね。」

真美はそう言ってデータを差し替えた。


「なにこれ!」

ブルーとブルーの戦闘が始まった途端、倫子は思わず声をあげた。

中央通りで闘う2機のブルーナイトの手数が、ピンクの時とは違いすぎるのだ。

間違いなくブルーナイトは、ピンクの2倍以上の手数が出ているだろう。

互いに物凄いスピードで技の応酬を繰り広げている


『速すぎて目が追いつかへん…。』

倫子が見切れないほどのスピードでマミタンが繰り出す五月雨のような突きを、薫子は全て見切りつつ最小限の動きで避けていく。

「あぁ!」

倫子がまた声をあげた。

激しい突きを繰り出していたマミタンのブルーナイトが、一瞬の隙を突いて繰り出された薫子のブルーナイトの突きを胸にくらって倒れたのだ。

「すごいタイミングでしょ?一瞬よ一瞬。見事にやられちゃったわ。」

「スピードもすごいけど、タイミングもすごいね。」

倫子は食い入るように画面を見ながら言った。

今の倫子には夢のまた夢のレベルである。


しばらく映像を見ていたが、攻めたてるマミタンに対して薫子は攻撃を避けながら、一瞬の隙をついては確実にマミタンにダメージを与える。

『すごく的確な攻撃やなぁ…。絶対に隙を見逃してないんやろなぁ…。』

倫子の単純な考察だが的を得ている。


マミタンのブルーは薫子に何度も倒されるが、何度も何度も立ち上がる。

しばらくすると2機のブルーナイトは物凄い勢いでパンチとキックの応酬を始めた。

最終的には互いにサーベルを投げ捨て、まるで格闘ゲームのようなバトルを繰り広げだしたので倫子は驚いた。

『なにこれ!カンフー映画やん!』

倫子には格闘ゲームではなく、カンフー映画に見えるらしい。

倫子の気持ちもわからなくもないが、どこか微妙なズレを感じる。


格闘戦の最中、2機のブルーナイトは互いに左足を軸に機体をくるりと回転させると、同じタイミングで(すね)の裏から煙を吐き出しつつ、ハイキックを繰り出した。

ガン!

互いの(すね)がぶつかり鈍い音がした。

ハイキックの相打になったのだ。


しばらくそのままの体勢で、2機のブルーナイトは動きを止めた。

何やら二人で会話をしているようだが、会話をカットされているのか、録音がされていないのかはわからないが、一切聞こえてこない。

 しばらくしてから両機は同時に足を降ろし、そこでバトルが終わった。


「どうだった?」

倫子が真美に尋ねた。

「これは勉強になるわね。」

真美は倫子の顔を見ながらニヤリと笑う。

「私もこのデータを見ていたら、速いスピードにも慣れてくると思うの。今は目が追いつかない所が多いんだけどね。」

「スピードには慣れてくるだろうしね。」

「うん。」

「何回も見直して気が付いた事があったら指摘しあいましょ。遠回りかも知れないけど、まずはそこから始めた方がよさそうね。」

「そうだね。あ、マミちゃんに聞きたい事があるんだけど。」

「なに?」

「なんであんなにたくさん動けるの?」

倫子は不思議そうに真美に尋ねた。


「操縦が体に染み込んでいるからじゃないかな?」

真美は額に眉を寄せながら答えた。

「体に染み込んでる?」

「口で説明するのは難しいんだけど、最初はもっと少なかったし動きもぎこちなかったわ。でも、何回もやってるうちにだんだん多くなったの。それってブルーを操縦する時の動きを体が覚えていったんだと思う。動きが速くなると判断も速くしないといけなくなるでしょ?それで判断も速くなって、最初はぎこちなかった動きがだんだんスムーズになっていったんじゃないかな?」

「ブラインドタッチみたいな感じかな?」

倫子はイメージを口にした。

「あ!それが近いかも!」

真美はハッとした顔で言った。


「操縦を体に叩き込むんだね!という事は、ピンクちゃんにいっぱい乗るしかないんだ。」

「そうなるよね。」

「わかった。頑張る。」

倫子は真面目な顔で言うと

「あたしがいつでも相手になるからね。」

真美はそう言って笑った。

 

「パートナーがいてお手本もある。あとは努力だけ!打倒!薫子さんのピンクちゃん!」

倫子の瞳が真っ赤に燃える。

「あたしも薫子さんに勝てるように頑張らなきゃ!」

真美の瞳も真っ赤に燃えた。

「とりあえず今やるべき事が見えてきたね。」

倫子は笑顔で真美に言った。

「そうね。そうと決まったら、データを何回も見直しすわよ。何か新しい事が見えてくるかも知れないしね。」

「うん!」

倫子と真美はそう言うと何度もデータを見直しながら、気になる所があればデータを止め、意見を出しあって相談をした。

気がつけばアルバイトの時間が押し迫り、二人は泣く泣くお風呂に入らずにアルバイトに行ったのだから、その熱意は推して知るべしであろう。


しかし倫子と真美はまだ知らなかった。

未祐と聖美もまた、二人に負けない熱意を持って打倒薫子に向けて動きだした事を…。

薫子って何者なんでしょうか?

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