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第四章  5話 「手も足もでにゃい。そのいちー!」

5話です。


いつも読んでくれてありがとうございます。


m(_ _)m

「さ、それじゃあ早速始めるけど、どのマジカルがいい?」

シミュレーターのシートに座りながら薫子が倫子に尋ねた。

「え?」

倫子は目を丸くした。


「どのマジカルと戦ってみたい?私が真似をするから。」

「え!そんな事出来るんですか!」

倫子は目が飛び出そうなくらい驚いた。

丸くなったり飛び出そうになったりと忙しい目だ。


「完璧ってわけじゃないけどね。出来るだけ真似をしてみるわ。」

薫子はヘルメットを被りながら言った。

「全員でお願いします!」

倫子はいけしゃあしゃあとのたまった。

「それじゃあ頑張ってみるわ。」

そう言って薫子は笑った。


「最初は海浜公園の近くにするわね。広い場所の方がやりやすいでしょ?」

薫子はコンソールを指で弾きながら言った。

「はい。お任せします。」

倫子はセットアップを続けながら答えた。

『あ、ナデシコにも出来るんや。』

よく見れば、ピンクのドレスに大和撫子が追加されている。 

倫子は迷わず大和撫子を選んだ。


「それじゃあ行くわね。」

薫子はそう言うとヘルメットのバイザーを降ろした。

倫子のバイザーに広大な空き地が広がり、目の前の少し離れた場所には、マジカルブルーナイトが立っている。

「まずはブルーちゃんからね。さぁ。いつでもかかってきなさい。」

薫子のやさしい声が聞こえる。

「よろしくお願いします!」

リンリンはそう言うと、刀を抜いてマジカルブルーナイトへ向かって走り出した。


大和撫子は刀を大きく振りかぶり、袈裟掛けにブルーナイトに切り込む。

ブルーナイトは左足を一歩引いただけで、大和撫子の攻撃をあっさりと避けた。

『あらまぁ、あっさりと!』

左足一本であっさりと避けられれば、そう思うかも知れないが、薫子からすれば刀での大振りの一撃など、容易く避けられるだろう。


「どんどん来ていいからね。」

「はい!」

元気よく返事をしたリンリンはすぐに追撃に出た。

今度はブルーナイトに向かって、上中段に横凪の2連撃を入れたのだ。


最初の上段への一撃をブルーナイトはバックステップで避けたが、返す刀で放たれた中段への二撃目はバックステップではさすがに逃げきれない。

大和撫子がバーニアを噴かしながら、ブルーナイトとの間合いを詰めてきていたからだ。

『さすがの薫子さんでも、盾で防ぐしかないよね。』

リンリンはそう思ったが、ここでブルーナイトが意外な行動に出た。

ブルーナイトはバックステップを切りながら、そのまま後ろに倒れ込もうとしたのだ。


「えぇ!」

思わず声を挙げるリンリン。

攻撃を避けつつ、後ろに倒れていくブルーナイト。

ゴォォォォォ!

突如ブルーナイトのバーニアが激しく音をたて、ブルーナイトは体を横にしたまま、真後ろに飛んでいった。

「えぇー!」

そう叫んで目を点にするリンリン。


後ろに飛びつつ上空に浮かび上がり、ゆっくりと着陸するブルーナイト。

大和撫子とブルーナイトの距離が大きく開く。

『うっそーん!そんなん出来るのん!』

リンリンは思わず息を飲んだ。


マジカルのバーニアは上昇と加速には使えるが、位置と角度の問題でバックには使えない。

当然、機体の前にバーニアを取り付けようと言う案も出たのだが「美しくない。」と言う、若干一人の反対意見が強行に押し通され採用には至らなかったのだが、その真実をリンリンは知らない。


一見ブルーナイトの行動は簡単そうに見えるが、実際に自分でするとなると相当なテクニックと度胸がいる。

この回避方法は倒れるタイミングに合わせてバーニアを点火しなければならないが、タイミングを間違えればそのまま地面に激突してしまうし、バーニアの勢いを間違えると機体は在らぬ方向に飛んで行ってしまう。

何より瞬時に、躊躇なく機体を後ろに倒すにはかなりの度胸が必要である。

今のリンリンには思いつくまでに至らないほどの、高度なテクニックだ。


「今の見てた?」

「しっかりと見ました!」

「じゃあ覚えてね。」

薫子はやさしい声で言う。

「えぇ!」

そう言って唖然とするリンリン。

『な、な、な、なんちゅう無理難題を!』

リンリンは焦った。


リンリンはあれほど高度な技を見て「はい覚えます。」と簡単に言えるほどの自信家でもなければ、そこまで面の皮も厚くない。

猛烈に覚えたい技なのだが自分をわかっているからこそ、簡単に覚えますとは言いたくない部分もある。



「この技は相手と距離が取れて仕切り直しが出来るの。結構便利なのよ?」

「確かに便利ですけど…。」

「じゃあ覚えようか?」

薫子がやさしい声で無理難題をふっかけてきた。

「でも…。」

躊躇するリンリン。

「怖い?」

やさしく問いかける薫子。

「それもありますけど…。私に出来るでしょうか?」

不安を口にするリンリン。

「正直ね。出来るわよ。」

笑顔で返す薫子。

「え!」

驚くリンリン。


「このシミュレーターは本当によく出来ているの。このシミュレーターで出来る事は実機でも出来るの。多分、今あるシミュレーターの中でも最高峰のものよ。それにね。私だって実機で覚えたわけじゃないのよ。」

「そうなんですか!」

リンリンは大きな声を出した。

「そうよ。だから挑戦すればリンリンにも出来るようになるわ。」

「頑張ります!」

リンリンは元気よく答えた。

「それじゃあ今度はこっちから行くわよ。」

薫子がそう言うと、ブルーナイトは腰のサーベルを引き抜きシールドを前に構えたまま、大和撫子に向かって突っ込んできた。

『はやっ!』

凄いスピードで突っ込んでくるブルーナイトを前にして、大和撫子は両手で刀を構えて迎撃体勢をとる。


大和撫子の射程圏内にブルーナイトが入ったと思いきや、ブルーナイトはバーニアで体勢を整えながら上空へと飛んだ。

大和撫子は慌ててブルーナイトに斬りかかるが、ブルーナイトは左腕にマウントされたシールドで大和撫子の一撃を難なく受け止めると、空中で体を反転させながら大和撫子の後ろをとった。

ブルーナイトはそのまま後ろからサーベルを大和撫子の首筋に当て、大和撫子は動きを止めた。


「リンリン。自分も相手も人間じゃなくてロボットなのよ。人間に出来ない動きをロボットは簡単にやってくれるの。それを忘れちゃダメよ。」

サーベルを引きながら薫子は明るい声で言った。

「はい…。」

リンリンはそう言うので精一杯だった。

実戦なら大和撫子の首はなくなっていたはずだ。

リンリンはそう思うと冷や汗が出た。


「マミタンはそれを充分理解したうえで、ブルーちゃんを操縦しているの。ブルーちゃんの動きはトリッキーなんじゃなくて、ロボットとしては普通なのよ。」

『そうか!相手は人間じゃなくてロボットなんだ!一緒にしちゃってた。』

薫子の言葉を聞き、リンリンは目から鱗が落ちたような気がした。


「マジカルの中でも、マユタンとマナミンとマミタンは、マジカルの性能を引き出すのがとても上手なの。特にサーベルの使い方はマミタンが一番上手ね。」

『やっぱりそうなんや…。』

リンリンはあらためて己の実力を突きつけられた気がしたが、それで終わるリンリンではない。

下手くそなのは百も承知の上なのだ。


「まずは見て学ぶ。次に真似をする。そして最後に自分がやりやすいようにアレンジをする。そうやって自分だけのオリジナルを作るの。真似は真似で終わらなければ、決して悪い事じゃないわ。遠慮なくどんどんやりなさい。」

「はい。」

リンリンは元気よく答える。


「それじゃあ次は、このマジカルはどうかな?」

薫子がそう言うとブルーナイトがバーニアを噴かし、大和撫子から距離をとった。


ブルーナイトから眩しい光が放たれ、徐々にその機体が光に包まれていく。

やがて光が収まりそこに立っていたのは、シュパシュパ丸を肩に担いだ、ミニスカートのマジカルグリーンだった。

しばらくの間、薫子さんがの無双が続きそうです。



昨日、ついに一日のPVが初めて100回を超えました。

いつも読んでくださっている皆様のおかげでございます。

評価ポイントや閲覧数の問題ではありませんが、こうして数字になってみると、驚くしかありません。

本当にびっくりしました。


ありがとうございます。 m(_ _)m


これからも皆様に読んで頂けるよう、精進いたしますのでよろしくお願いいたします。  m(_ _)m

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