第三章 26話 「いやなのだ!」
26話です。
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「ふっふっふっふっ。」
変形バカがモニターを見ながら楽しそうに笑った。
「何がそんなに楽しいんだ?」
源さんはタブレットを見ながら、面白くもなさそうに尋ねた。
「見ましたか?マジカルプリティベアーの美しさを!あの可愛らしさを!あれこそが美です!さすがは僕だ!他の誰にも真似できないでしょう!」
変形バカはご満悦のようだ。
「確かに誰にも真似できねぇな…。これ見てみな。」
源さんは手にしたタブレットを変形バカに手渡した。
「なんです?」
変形バカはタブレットを受け取ると、タブレットに目を通し始めた。
「『マジカルプリティベアー大暴れ!かわいすぎて失神者続出?』なんですかこれは?」
「書いてある通りだよ!プリティベアーを見て、失神した人がわんさか出ちまって、どこの病院もてんてこ舞いなんだとよ!」
源さんは機嫌が悪そうだ。
「おぉ!美を理解する人達が大勢いたのですね!素晴らしいじゃないですか!」
変形バカは嬉しそうに言った。
「バカかお前はバカタレか?俺達は青葉島の医療関係者全員を敵に回したんだぞ?」
「それは仕方がありません。何事にも犠牲は付き物です。アニマルシリーズは採用決定ですね!」
変形バカは胸を張った。
「マジカルプリティベアーはしばらく凍結だ。」
「なにをバカな事を!」
変形バカはおかんむりだ。
「あのなぁ、マジカルプリティベアーが出動するたんびに、いちいち観客に失神されてみろ?源二郎の奴がうるせぇぞ?」
「それは嫌です。困ります。」
「だろうが?そろそろ連絡が来るんじゃねぇか?」
源さんがそう言った瞬間
ブブブブ! ブブブブ!
変形バカが手にしているタブレットが震えた。
「彼からですね。」
変形バカはそう言って、タブレットを源さんに渡した。
「それ見たことか。」
源さんはしぶしぶタブレットを受け取ると画面を押した。
「もしもしアニキ?」
間違いなく青葉市長。
鷲巣見源二郎の声だ。
「久しぶりだなぁ源二郎!元気だったか?」
源さんは努めて明るい声で言った。
「悪ぃけどさ。今回の騒動の説明をしてもらえるかい?」
「ちょっと待て!場所を変える!」
源さんはそう言うと、変形バカの顔を睨みつけながら部屋から出て行った。
「ま、後はスパロボバカがなんとかするでしょう。さて、次は何をモチーフにしようか…。」
変形バカは何事もなかったかのように、机に座ってPCを叩きだした。
格納庫についたマミタンとリンリンは、コクピットから出て控室に向かったが、プリティは一向に降りてこなかった。
「プリティまだ?」
マミタンは控室のマイクからプリティに話かけた。
「降りられそうにないのだ。」
プリティは即答した。
「どうしたの?ケガでもしたの?」
リンリンが心配そうに尋ねた。
「大丈夫なのだ。やることがあるから終わったらいくのだ。」
「源さんが話を聞きたいって言ってるのよ?」
マミタンは真剣な声で言った。
「ここから話をするのだ。」
「わかったわ。」
マミタンはあっさりとプリティの提案を受け入れた。
しばらくすると、つらそうな顔をした源さんが部屋に入ってきた。
「どうしたの源さん?」
マミタンは心配そうに源さんに尋ねた。
「ちょっと、いろいろあってな…。プリティは?」
「まだコクピットの中にいるわ。やることがあるからコクピットから話をするって。」
「丁度いい。なぁプリティ。プリティベアーを気に入ってくれて嬉しいんだが、プリティベアーはしばらく使用禁止になった…。」
「いやなのだ!まだ必殺技を出してないのだ。」
プリティは間髪を入れずに答えた。
「俺達もそうしてやりたいんだがなぁ~。上からのお達しが来てなぁ~。」
「上からのお達し?」
マミタンは不思議そうに言った。
「これを見りゃわかるさ。」
そう言って源さんはタブレットをマミタンに手渡した。
マミタンはタブレットを受けとるとすぐに画面を見た。
リンリンも横からタブレットをのぞき込む。
「何これ?」
マミタンは目を丸くした。
「『マジカルプリティベアーを見て失神者続出。青葉島の病院は大忙し。』ってどういう事なんですか?」
リンリンは不思議そうに尋ねた。
「そのまんまさ。プリティベアーを見て失神した人達が続出したんだと。」
マミタン 「え?」
リンリン 「え?」
マミタンとリンリンはそう言うと、口をあんぐりと開けた。
「気持ちはわかるのだ。」
プリティの声が聞こえてきた。
「そんなの知ったこっちゃねぇ。と言いたい所なんだが、源二郎のやつがうるさくてよぉ。さっき電話がかかってきたんだ。」
「源二郎って…。ひょっとして市長のこと?」
マミタンは目を剥いて驚いた。
「へ?源さんて市長の知り合いなの?」
リンリンも驚いている。
「知り合いっつーか、兄弟みてぇなもんだ。」
「源さんて市長のお兄さんなの!」
マミタンは驚きっぱなしだ。
「あいつは俺の事をアニキって呼んでくれているが、実の兄弟じゃねぇ。俺はガキの頃からあいつの親父さんとお袋さんには随分と世話になってよ。まぁ、平たく言やぁ家族みたいなもんだ。」
「そうだったんだ…。」
マミタンは感心しているようだ。
「おっと!今の話は内緒だぜ?源二郎はマジカルの活動を陰から支えてくれているんだ。無下には出来ねぇんだよ。」
マミタン 「わかったわ。」
リンリン 「はい。」
「それはわかったけど、プリティベアーはいやなのだ!」
プリティはそう言って断固拒否の姿勢を示した。
「ずっと使用禁止ってわけじゃねぇ。まずはみんなにプリティベアーに慣れて貰う。」
「どうやって慣れてもらうのだ?」
プリティは源さんに尋ねた。
「商店街からプリティベアーのぬいぐるみを発売する。」
源さんの一言で、プリティとリンリンに衝撃が走った!
「本当か?本当なのか?」
プリティの声は嬉しそうだ。
「本当ですか!」
リンリンも嬉しそうに言った。
「え?マジカルの著作権は熱血グループじゃなくて、商店街が持ってるの?」
マミタンは現実的な話を持ち出した。
「マジカルの著作権は商店街を表に立ててある。熱血グループから出せばすぐに出所から足がつくからな。商店街が看板になる代わりに、儲けの20%が商店街に流れるようになってるんだ。」
「そうなんだ。知らなかった。」
マジカルの商品は今まで何も販売されていない。
青葉模型でもプラモデルとしては販売していないのだ。
だからマジカル好きのモデラー達は、自作でマジカルを作ってウェブ上で発信している者が多い。
模型専門誌では「俺のマジカルちゃん」と言うコンテストが年1回行われており、「俺マジちゃん」と言う愛称で親しまれている。
コンテストの月の雑誌は、いつもの2倍以上売れており、今年はリンリンのデビューもあったので、モデラー達は大忙しなんだそうだ。
ぬいぐるみが出るとなれば当然、モデラー達はプラモデルの商品化を熱望するだろう。
「まずはぬいぐるみを販売してみんなにプリティベアーに慣れてもらう。みんながプリティベアーに慣れたらプリティベアーは使用可能にする。これでどうだ?プリティ。」
「そのぬいぐるみをくれるなら我慢するのだ。」
プリティは譲歩案を出した。
「私は買います!」
リンリンは手を挙げて言った。
「わかった。シリアルナンバー入りのお得意様に配布する限定品を100個作るから、シリアルナンバー0番と6番はプリティのもんだ。限定品だから素材も凝るぞ?これでどうだ?」
源さんはニヤリと笑いながら言った。
「普通のも欲しいのだ。」
「プリティちゃんいいなぁ~。」
リンリンは羨ましそうだ。
「わかった。一般販売の分もつけよう。リンリンは心配いらねぇ。マジカルのパイロットには全員限定品を送る。シリアルナンバー7番はリンリンのものだ。それでいいかプリティ?」
「わかったのだ…。我慢するのだ…。」
「やったー!」
リンリンは諸手を挙げて喜んだ。
「じゃああたしはシリアルナンバー2番て事?」
マミタンが源さんに尋ねた。
「そうだな。ブルーは2番だな。」
「え?どういうこと?」
リンリンが不思議そうに尋ねた。
「そのシリアルナンバーって、マジカルの製造番号に合わせてるのよ。ブルーの製造番号はIMMU-0002Bだから2番。」
「そうか!ピンクちゃんはIMMU-0007Pだから7番なんだ!」
「そう言う事だな。プリティはIMMU-0006PPだから6番だが、一番最初の0番も渡すからな。」
「プリティベアーが3個も…。」
プリティは嬉しそうに呟いた。
「のちのち高く売れそうね…。」
マミタンが呟いた途端
「売ったらダメなのだ!」
プリティが叫んだ。
「売っちゃうの!」
リンリンも叫ぶ。
「じ、冗談よ冗談。」
マミタンは慌てて言った。
「さすがに売るのはまずいわな。とまぁ納得してくれた所でプリティベアーの話はここまでとして、さっきの戦闘はどうだった?」
「腕の大きなのは前と変わらない気がするけど、足の大きなのはよくわかんなかったわ。移動速度は腕よりも足の方が早かったみたいだけど。リンはどうだった?」
「足が大きな方が早かったよ。腕の大きな方は前との違いがわかんない。」
「プリティはどう思った?」
源さんがプリティに尋ねた。
「かなり控えめに殴ったけど、ピエロはワーカーより硬いのだ。プリティベアーはワーカー相手にボディを攻撃をするのは危ないのだ。」
「プリティベアーはすごいパワーだったね。」
リンリンは驚きながら言った。
「プリティベアーは格闘戦用の外装だ。パワーはマジカルの倍ある。その代わりスピードが落ちるんで、そこが今後の課題だな…。」
源さんは真剣な顔になった。
「ねぇ源さん。ピエロ達の目的ってマジカルを捕まえる事なの?」
マミタンは源さんに疑問を投げかけた。
「多分そうだろうな。それもあって今回は外装を新調したんだが、まさか4機も出てくるとはなぁ…。急遽プリティベアーに来てもらったのは正解だったな。」
「あの足が気になるのよねぇ…。」
マミタンが呟いた。
「ま、今回はプリティベアーのパワーを見せつけられて、やつらも慌てて逃げたんだろう。プリティベアーのおかげでブルーナイトと大和撫子の手の内を見れてないからな。もちろん、プリティベアーの手の内もな。あの程度のロボットじゃ、マジカルには太刀打ち出来ねぇさ。」
「それなんだけどさ。ねぇ源さん。あたし達はこのままでいいのかな?」
「そりゃあ、どういう意味だいマミタン?」
「あたし達、マジカルの性能に頼り過ぎているんじゃないかなって思うんだよね…。」
マミタンは不安そうだ。
「なるほど…。言いたい事はよくわかった。それじゃあそろそろ、あの人にお願いするか?」
「あの人ってまさか!」
マミタンは真剣な顔で言った。
「そう。あの人だ。」
源さんはそう言うとニヤリと笑った。
ロボットの形状の描写は、あまり細かく書いていません。
書いても100%は伝わらないからなのですが、かといって挿絵を入れる気もありません。
アニメや漫画ではなく小説なのですから、皆さん一人一人に想像してもらって、十人十色のマジカルや他のロボット達が生まれる事を、私が望んでいるからです。
もしもこれから先、私の作ったロボット達がビジュアル化された時、ご自身のイメージとかけ離れた物であったとしたら、それは私の表現力が乏しいせいです。
ごめんなさい。 <(_ _)>




