第三章 第25話 「神のお使い?」
25話です。
いよいよマジカルプリティの新装備のお披露目です。
いつも読んでくれてありがとうございます。
m(_ _)m
空から降りてきたマジカルプリティは、ブルーナイトと大和撫子の前に着陸すると両手を前に大きく前屈をした。
マミタン 「え?プリティ?」
リンリン 「プリティちゃん?」
マミタンとリンリンは空から降りてきたプリティを見ながらそう言うと、ポカンと口を開けた。
マジカルプリティの体型はまるで、ビッグとんとんのように丸い。
プリティはゆっくりと、大きく両手を広げながら上半身を起こすと
「マジカルプリティベアー参上~!悪い子はた~べちゃ~うぞ~!」
というかわいい雄たけびを上げた。
プリティの頭は丸くて大きな耳がついた、かわいいクマさんに変わっていた。
顔には大きくてかわいい目と、プニプニとした丸い鼻に笑っているような口が大きく開いている。
丸い体に短く太い手足。
全身にはびっしりと紫色の毛が生えており、首元には大きな赤いリボンを巻いていて、かなりのおしゃれポイントだ。
手には料理用のミトンのような大きな手がついていて、さらには可愛いい肉球まである。
太く短く足がこれまたかわいいし、しかも丸い尻尾をフリフリと動かしているのが猛烈にかわいい。
「かわいすぎ~!」
リンリンは思わず声に出してしまった。
これで背中のバーニアさえなければ、遊園地で見かけるクマの着ぐるみか、世界一大きなぬいぐるみだろう。
正直、マジカルプリティベアーの姿からはマジカルのマの字も見当たらないし、これではコスプレではなく着ぐるみだ。
マジカルですらないだろう。
「プリティそれって…。」
マミタンはそこまで言うのが精一杯だった。
『これって…装備としてはアリなの?』
マミタンは呆然としながらマジカルプリティベアーを見つめる。
「ぬいぐるみ?着ぐるみ?どっち?」
リンリンがどうでもいい質問を投げかけた。
『ぬいぐるみ?着ぐるみ?どっちなん?あーもう!とりあえず可愛いなぁ~。』
リンリンはどうやらいつも通りのようだ。
その時、モニターの前に集まった観客達に静寂が訪れた。
突然空からクマさんが降りてきたのだから驚いたのだろう。
「プリティちゃんかわいすぎー!」
観客の一人がモニターの前で叫んだ途端、モニターの前は興奮のるつぼと化した。
「反則だー!反則級のかわいさだー!」
「かわいすぎるぞー!」
「プリティベアーちゃん!結婚してくれー!」
「食べちゃってー!俺を食べちゃってー!」
「僕も悪い子です!僕も食べちゃってください!」
「殺してくれー!いっそこのまま殺してくれー!今なら幸せな気持ちで死ねるー!」
ついには訳が分からないうえに、物騒な事を言うバカまで現れた。
「神獣様だ!神のお使いがご降臨なされたぞ!皆の者!頭が高い!控えぃ!控えるのだ!」
いつもは無口なノッポが叫んだ!
力いっぱいあらん限りの声で叫んだのだ!
叫び終えたノッポはゴーグルをかけながら車から飛び出すと、地面に座り込んで手マジカルプリティベアーに手を合わせ、一心不乱にマジカルプリティベアーを拝み始めた。
「何言ってるんだノッポ?」
などとは誰も言わなかった。
それどころか、め組の残りのメンバーも慌てて車から飛び出し、ノッポを中心にして地面に座りみこむと、ノッポと同じようにマジカルプリティベアーを拝み始めた。
『いかーん!ノッポのスイッチが入ってしまった…。』
コブは手を合わせながら思った。
『ノッポさんが狂信者モードに入った…。』
チビはそう思った。
『プリティちゃんが来た時のノッポさんは、相変わらず凄いな…。見習わないと…。』
マルはそう思ったが、さすがに「見習うなバカモノ」と言わせてもらおう。
『さすがはノッポだ…。有無を言わせぬ圧力といい、普段とは打って変わった眩いばかりの存在感といい、スイッチが入るとまるで違う…。やはり、俺が見込んだ男だけのことはある…。』
ハチマキはしきりに感心している。
どうやらノッポは凄い男らしいが、常人が理解するのはかなり難しそうだ。
「た~べちゃ~うぞ~。」
マジカルプリティベアーは両手を上げながら、よちよち歩きでゆっくりと、道化師達に向かっていく。
その姿はとても愛くるしい。
もしもぬいぐるみが歩き出したら、きっと今のマジカルプリティベアーと同じように歩くだろう。
『なにあれ~!めっちゃ可愛いいや~ん!』
よちよちと歩くマジカルプリティベアーを見ながら、リンリンは胸がキュンとなったが、青葉島中のモニターの前では大事件が起こっていた。
観客の何人かがよちよち歩きのマジカルプリティベアーを見て、気を失って倒れたのである。
しかし残念な事に道化師達には、マジカルプリティベアーの可愛らしさが伝わらなかったらしい。
足の大きな道化師の1機が、容赦なくマジカルプリティベアーに襲いかかる。
動きの遅いマジカルプリティベアーを見て勝てると思ったのだろうが、多分このパイロットには人の心というものがないのだろう。
「がおー!」
マジカルプリティベアーは愛くるしい雄たけびと共に、両手を大きく広げたまま上半身を後ろに反らすと、先程とはうって変わってもの凄いスピードで右腕を振り下ろし、道化師の胸板に袈裟懸けの一撃を与えた。
ガン!
バキ!
ゴロゴロゴロ~。
マジカルプリティベアーの一撃を喰らった道化師は、轟音と共に勢いよく地面を転がりながら、遥か後方へと吹き飛んでいく。
今日はよくロボットが飛んでいく日だ。
「なにあれ?」
マミタンはあ然とした顔で、すごいスピードで地面を転がりながら飛んでいく道化師の姿を見た。
「すっごい力…。」
道化師を目で追うリンリンの顔も、完全に呆けている。
先程のブルーナイトのバーニアキックよりも、マジカルプリティベアーの一撃のほうがダメージが大きいようだ。
「プリティベアーはやさしくて強いんだぞー!」
マジカルプリティベアーは再び両手を上げ、かわいい雄叫びをあげた。
さすがにダメージが心配なのか、吹き飛ばされた道化師を追って残りの道化師達が一斉に動きだす。
かなり焦っているようだ。
「まてまてまて~。逃がさないぞぉ~。」
マジカルプリティベアーは背中のバーニアを点火させ、両手を上げたまま地面を滑空し始めた。
慌てて集まる道化師達。
滑空しながら追いかけるマジカルプリティベアー。
呆然と立ち尽くしながら、その光景を見ているブルーナイトと大和撫子。
明らかに焦りだす道化師達。
「まてまてまて~。」
と追いかけるマジカルプリティベアー。
立ち尽くしながら、首だけがゆっくりと動いているブルーナイトと大和撫子。
ドン!
ズザザザザー!
バーニアを噴かし過ぎたのか、それとも機体の重量バランスが悪かったのか、機体が前につんのめってこけてしまったマジカルプリティベアーが地面を滑っていく。
今がチャンスと言わんばかりに、マジカルプリティベアーに向かって何か丸い物を投げる、足の大きな道化師。
「何あれ!ひょっとして爆弾!」
慌ててマジカルプリティベアーの元へと向かうブルーナイト。
『なにあれ、なにあれ!こけてもめっちゃかわいいや~ん!』
マジカルプリティベアーに見とれる大和撫子は、その場から全く動かない。
モニターの前で新たに倒れだす何人かの観客。
もう何がなんだかわからなくなってきた。
道化師が投げた丸い何かは、こけているマジカルプリティベアーの前へと転がっていくと
ボン!
という音とともに、白煙がマジカルプリティベアーを包みこんだ。
「プリティ!」
マミタンは慌てた。
「プリティちゃん!」
リンリンも慌ててマジカルプリティベアーの元へと向かう。
もうもうと白煙が舞う中、マジカルプリティベアーは地面に倒れたまま動かない。
「大丈夫プリティ!」
慌てて駆け寄ってきたマミタンが声をかけたが、マジカルプリティベアーに外傷はなさそうだ。
「こけちゃった~。えへへへへ~。」
マジカルプリティベアーは笑いながら言った。
どうやら大丈夫なようだ。
「プリティちゃん大丈夫!」
リンリンも慌ててやってきた。
「大丈夫~。あれ?ピエロは?」
マジカルプリティベアーは体を起こしながら、首をキョロキョロとさせた。
「そういえば!」
リンリンも辺りを見回す。
「いた!」
ブルーナイトは道化師達を指差した。
道化師達は互いをかばい合いながら、慌てて通りを目指して逃げていく。
マジカルプリティベアーの一撃を見て、完全に戦意喪失したようだ。
「追うわよ!」
マミタンは真剣な声で言った。
「わかった!」
リンリンが即座に答えた。
「あーーー!」
プリティが大きな声を上げた。
「どこかやられたの!」
マミタンは慌てて尋ねた。
「どこどこどこ?」
リンリンは心配そうにプリティに尋ねた。
「プリティベアーのリボンが汚れちゃったのだ…。」
プリティは悲しそうに呟いた。
よく見ればマジカルプリティベアーの体と、リボンが泥まみれになっている。
「アハハハハハハ!何よそれ!」
マミタンは笑いだした。
「あはははははは!」
リンリンも笑い出す。
ひとしきり笑った後
「マミタン、ピエロはどうするの?」
プリティはマミタンに尋ねた。
「どうせまた地下でしょ?捕まえるのがあたし達の仕事じゃないんだし、別に良いんじゃない?そんな気分じゃなくなったしね。」
「そっか…。出番がなかったのだ…。」
プリティは悲しそうだ。
「あれだけやれば充分よ。助かったわプリティ。あいつらが投げたのは煙幕だったのね。よかった。」
「まだなんにもしてないのだ…。必殺技を出したかったのだ。」
プリティは悲しそうに言った。
「そんなのあるの!」
マミタンは驚いた。
「どんな必殺技?」
リンリンは興味津々だ。
「それはまだ内緒なのだ。」
プリティは楽しそうに言った。
「やつらはまた、地下に逃げるつもりみたいだ。深追いはしなくていい。今回はかなりいい薬になったはずだ。どうだプリティ。気に入ったか?」
源さんから通信が入った。
「ダメな大人もなかなかやるのだ。」
プリティはいつもの声で答えた。
「そりゃよかった。帰ってきたらみんなの話を聞かせてくれ。待ってるぜ。」
そう言って通信は切れた。
「帰ろっか。」
「帰ってマジカルプリティベアーを洗ってあげましょう。プリティちゃん。」
「そうするのだ。」
3人はそう言うと、バーニアのペダルを踏み込んだ。
空へと登っていくマジカル達を見ながらノッポは一人、胸の前で手を合わせながら呟いた。
「神獣様が天にお戻りになられる…。」
「いい画が取れたな。」
コブは満足げにいった。
「帰ったら早速編集ですね。」
マルも嬉しそうだ。
「俺の出番だ!」
チビも嬉しそうに言った。
「うむ。」
ハチマキもそう言って頷く。
全員がゴーグルを着用しているのが気になるが、多分このゴーグルで撮影をしていたのだろう。
もしやめ組は、この映像を青葉CATVにでも売り込むつもりなのだろうか?
そしてそのお金を活動資金にするつもりなのではないだろうか?
もしもそうだとしたら、かなり罰当たりな行動である。
と言いたいところではあるが、さすがにそれは邪推であろう。
意見は事の真偽を見極めてからにしよう。
マジカルプリティベアーはいかがでしたか?




