第三章 第20話 「コスプレガーディアン」
20話です。
倫子が作者に、何やら言いたい事があるそうです。
内容は後書きにて。
いつも読んでくれてありがとうございます。
m(_ _)m
昼で講義を終え、大学を後にした倫子と真美はハゲタカ急便へと向かった。
アルバイトの時間まで、マジカルの手入れをしようと思ったのである。
「お弁当のローストビーフサンドはおいしかったねぇ。」
ハゲタカ急便へと向かうドローンの中で、倫子は恍惚とした表情を浮かべながら言った。
ローストビーフサンドは実においしかった。
ローストビーフもさることながら、意外にも倫子の作ったコールスローがマッチして、ローストビーフに華を添えてくれた。
この味なら全員、喜んでくれただろう。
「おいしかったわね。」
「朝からローストビーフサンドかと思ってたよ。」
「朝からローストビーフはねぇ…。さすがに胃に悪そうよね。今日はプリンもあったし。」
「そ、そうだよね~。食べ過ぎだよね~。」
倫子の声は心なしか少しうわずって聞こえる。
悲しいかな最近の倫子は、この手の嘘をよくつくようになってしまっているのだ。
「朝からローストビーフは重い人もいるでしょうし、朝はキッシュにしたわ。プリンもあるしね。ローストビーフサンドはお弁当にしたから、みんな忘れずに持って行ってね。」
桜子のこの一言で、ローストビーフサンドはみんなのランチになったのだ。
『朝からローストビーフサンドは食べ過ぎなんやね…。覚えとこ…。』
朝から平気でカツ丼が食べられる倫子にとって、朝からローストビーフサンドになんの問題もない。
倫子は寝起きに肉まんの王様を平らげた後、普通に朝食が食べられるのだから当然と言えば当然だろう。
マジカルの格納庫へ向かった倫子と真美は、ハンガーに並ぶマジカルブルーとピンクを見て驚いた。
マジカルブルーもピンクも、いつもの魔法少女とは違う外装を纏っている。
「なにこれ…。」
真美はマジカルブルーを見上げながら声を漏らした。
「すごいね!」
倫子もマジカルピンクを見ながら呟いた。
「どうだ?気に入ったか?」
不意に後ろから源さんの声が聞こえた。
「源さんこれって…。」
真美はハンガーのマジカルブルーを見上げながら尋ねた。
「新しいマジカルのおべべだ。」
「ブルーちゃんとピンクちゃんは違うんですね。」
倫子もマジカルピンクを見上げながら言った。
「こんな事初めて…。」
真美はマジカルブルーから目を離せない。
「マジカルの開発コンセプトは『外装変換型ロボット』だからな。」
「外装変換型ロボット?」
倫子は不思議そうに呟いた。
「いちいち用途に合わせてロボットを作ってたら、いくら金があっても足りねぇだろ?でだ、マジカルを核にして、用途に合わせて外装を変える事にしたんだ。」
「着せ替え人形みたいね…。」
真美はポツリと呟いた。
「まさにその通り。そもそもマジカルは着せ替え人形をヒントにして作ったからな。言うなりゃマジカルは『コスプレガーディアン』だな。」
『コスプレガーディアンて、なんかしっくりくるけどなんでやろ?着せ替えガーディアンやと変やからかな?』
「こないだの道化師が出てきてからどうも気になってなぁ。いろいろと考えていたんだが、とりあえず今回はこれで行こうと思うんだがどうだマミタン?いけそうか?」
「いけると思うわ。それより源さん。コクピットは元に戻してくれた?」
「バッチリだ。」
「なら大丈夫よ。この前よりもうまくやってみせるわ。」
真美は真剣な顔で言った。
「ピンクちゃんはなぜこの外装にしたんですか?」
「魔法少女が刀ぶら下げてるのも変だろ?こっちの方がらしくねぇか?リンリンは嫌か?嫌なのか?」
源さんは心配そうに倫子に尋ねた。
「すっごく似合ってます。源さんて見た目も考えてくれているんですね。」
「マジカルは俺の娘みたいなもんだしな。出来れば綺麗なおべべを着せてやりてぇんだ。娘がいねぇからよくわかんねーが親心ってやつだな。」
『源さんはロボットがほんまに好きなんやなぁ…。』
倫子は感心した。
「レッドとイエローはブルーと同じ外装だ。グリーンは別のやつを用意してるぞ。」
「そう言えばプリティちゃんが見あたらないですね。」
倫子はハンガーを見ながら言った。
「本当だ。プリティはどうしたの?」
真美が源さんに尋ねた。
「プリティは別の場所に運んだ。外装を変えたらちぃとばっかし大きくなりすぎてよ。ハゲタカのコンテナに収まりきらねぇんだ。」
源さんはバツが悪そうだ。
「そうなんですか?」
倫子の質問に対して源さんが答えた。
「頭の装備を外しゃあ問題はねぇんだけどなぁ…。うるせぇやつが一人いてなぁ…。」
源さんはそう言って頭を掻く。
「うるさいやつ?」
『誰の事やろ?』
「装備を外すのは美しくないからダメだ!って、うるさいバカがいる。あのバカは治らねぇ。」
『えらい言われようやな…。』
「源さん。ブルーに乗ってもいい?」
「そう言うだろうと思って準備はしてあるぜ。」
源さんはニヤリと笑った。
「私もいいですか!」
倫子は手をあげた。
「実際に動かしてみて、気になるところがあったら言ってくれ。調整するからよ。」
倫子と真美はコクピットシートに座り、マジカルピンクをいろいろと動かしてみた。
『この外装の方が動きやすいなぁ…。外装が変わるだけで、こんなに操作性が変わるのんかぁ…。』
倫子はマジカルピンクを操作しながら思った。
刀を振り回してみると下半身に安定感があり、上半身が動きやすくなったような気がする。
以前は若干刀に振り回されていた感じがしたが、今回はそれがない。
「どうだリンリン。」
イヤホンから源さんの声が聞こえた。
「前とは動きが違いますね。」
「刀を振り回しやすいように、外装で重量を稼いで下半身に重心を落としてある。その分、バーニアの出力で調整してあるからスピードは変わらねぇ。」
「そうなんですか?」
「こないだの道化師との戦闘を見ていて気になったんだが、ピンクが飛び上がって道化師の腕を切り落とした時、若干だがピンクの機体が刀に振り回されているように見えてな。」
「よくわかりましたね!」
「その刀は元々、マジカル用に作ったもんじゃねぇからな。刀の重量に合わせた調整をしてねぇんだ。」
「そこまで考えてくれているんですね。」
「まぁな。マミタンの方はどうだ?」
「問題ないわ。リン。模擬戦しましょ。」
「うん。すぐに準備するね。」
そう言って倫子は模擬戦の準備に入った。
二人は時間いっぱいまで模擬戦を繰り広げたが、結果はいつも通りだった。
しかし、この模擬戦はすぐに役に立つ事になる。
意外なほど早く、新しい外装の出番が訪れたのである。
「あんなぁ冴村さん。」
「なんやリンリン?」
「ひょっとして、朝ごはんにローストビーフサンドを出すの忘れてへんかった?」
「んん?ん?ん?ん?わ、忘れてへんよ。」
「ほんまかな?わざとにしても、2話も引っ張るかな?」
「ほ、ほんまやで。朝からローストビーフサンドは重すぎるかなぁって…。」
『怪しいな…。』
「まぁええわ。それよりもう少し、私のキャラを考えてくれへん?今のままやと、ただの食いしん坊キャラやん。」
「それは無理!」




