第三章 17話 「ぷーりーんー!」
17話です。
いつも読んでくれてありがとうございます。
m(_ _)m
チームレッドが交差点に到着した時には、すでにチームイエローは三角陣形を組み、ボールをパスを回しあっていた
マジカルイエローからブルーへ、ブルーからグリーンへとボールは渡っていく。
「時間もないことだし、今からここでボールの取り合いをしない?」
マナミンがそう言うと
「それは面白そうね。」
マユタンが答えた。
「それもそうね。」
マミタンも答える。
「いいねぇ。」
サトミンも明るく答えた。
「異議無しなのだ。」
プリティもそれで良いようだ。
「はい!」
リンリンも力強く答えたが
『あかん…。出番がなくなった…。』
と思い、がっくりとうなだれた。
チームイエローのパス回しを見ながら、リンリンはひどく落ち込んでいた。
リンリンは充分に理解していたのだ。
今の自分には、あんなに綺麗なパス回しが出来ないという事を。
さっきの鬼ごっこにしても、縦横無尽に街中を駈け回るマジカルレッドとプリティとは違い、リンリンはパスを受け取るだけで精一杯だった。
だからリンリンはボールが回ってきた時に、必死になって逃げた。
それしか出来なかったからだ。
そもそも自分がチームにいるだけでチームが不利になるのは最初から理解していたし、それでも足手まといにならないようにと頑張ったつもりではある。
とはいえボールの取り合いとなれば、リンリンはなんの役にも立てないだろう。
かといって何もしないのは具の骨頂である。
『やるしかない!』
リンリンはそう腹をくくると、マジカルブルーのマークについた。
「リンちゃん。焦らないでいいから、マミタンの動きをよく見てね。」
マユタンはリンリンにやさしく声をかけた。
「はい!」
倫子は力強く答える。
「大丈夫なのだ。負けたらプリンはリンリンの驕りなのだ。」
「え!」
プリティにそう言われリンリンは焦った。
「うそなのだ~。」
プリティはそう言ったが、とても冗談には聞こえなかった。
マジカルレッドがイエローに、プリティがグリーンのマークにつくと、交差点内をコートにしたボールの奪い合いが始まった。
互いに競い合い激しいボールの奪い合いが続く中、リンリンはマジカルブルーの動きについていくので精一杯だ。
それでも必死になって、マジカルブルーに食いつくリンリン。
対してリンリンをマークから外そうとする、マジカルブルーの動きは機敏で素早い。
『あかん…。話にならへん…。だいたいバスケットボールは苦手やねんなぁ…。』
マミタンとの操縦技術の差を痛感しながらも、リンリンは諦めずに必死になって食いついていく。
『やるわねリン。』
リンリンにマークされつつマミタンは思った。
リンリンのマークは決して上手なものではない。
マジカルブルーの前に立ち、ぴょんぴょんと跳ねたり、両手を大きく振りながら上半身を左右に揺らしている。
傍から見れば滑稽に見えるかもしれないが、なり振り構わず必死に食らいついてくる姿勢からはリンリンのやる気がありありと見える。
マミタンは頑張っている人をバカにする人が嫌いだ。
ボールはチームイエローがキープしたまま、時間はどんどん過ぎていく。
マミタン 「マナミン。」
マナミン 「サトミン。」
サトミン 「マミタン。」
チームイエローはドリブルをしながら、パスを出す相手に声をかけてポンポンとパスを出す。
対してチームレッドはボールを奪おうとするが、一向に取れない。
人間相手でも難しい事を、ロボットでやろうとしているのだから当然だろう。
ましてや初めての試みであるためそう簡単にはいかない。
しばらくの間は静かな攻防戦が繰り広げられていたが、残り時間が1分を切った時、局面が大きく動いた。
マジカルレッドがマジカルイエローに仕掛け、イエローはその攻撃を真っ向勝負で受け止めたのだ。
マジカルレッドとイエローは共に巧みに動きながらボールを攻防戦を続けていたが、それはまるで人間のような動きだった。
「ほぇ~。」
あまりの動きにリンリンは思わず声をあげた。
『バスケットボールの選手みたいや…。』
「すごいね…。」
サトミンが感嘆の声をあげた。
「なにあれ?」
マミタンも攻防戦に見とれている。
「すごいのだ。」
プリティも驚いているようだ。
残り時間10秒を切り、このままマジカルイエローがボールを死守するかと思われた時だった。
マジカルレッドの猛攻に押されたマジカルイエローは、堪らずボールを持った手をくるりと背中に回すと、無言のままノールックパスをマジカルブルーに出した。
「え?」
攻防戦に見とれていたマミタンが、慌ててボールを取ろうとした時、マジカルピンクがマジカルブルーの前にいきなり飛び出ると、そのままボールに向かって飛び込んだ!
「ぷーりーんー!」
リンリンはそう叫んでボールをキャッチしようとしたが、無情にもボールはマジカルピンクの右手に当たり、そのまま遠くに飛んでいってしまった。
「あ!」 リンリンが声をあげた。
「あ!」 マミタンが声をあげた。
「あ!」 サトミンが声をあげた。
「あ。」 プリティが声をあげた。
「あら?」マユタンが声をあげた。
「あら!」マナミンが声をあげた。
ボールは誰も届かない場所に落ち、道路の上を転々と転がっていく…。
TIME UP! DRAW!
全てのマジカルのバイザーに赤い文字が浮かび上がった。
しばしの沈黙が辺りを包み込んだ後。
「プリン…。」
という、非常に残念そうな声が小さく聞こえた。
アハハハハハハハハ!
辺りが大きな笑い声に包まれた。
桜子もモニターの前で、さも面白そうに笑っている。
「リンの食欲には勝てないわ。」
マジカルブルーはそう言って、やれやれという風に両手をあげた。
「すごい執念だね~。ボクの負けだよ。」
サトミンは感心しているようだ。
「リンリンはプリンの鬼なのだ。」
プリティは目を見開いている。
「リンちゃんたら、よっぽどプリンが好きなのねぇ。」
マユタンは和やかな声で言った。
「なんて残念そうな声なの!」
マナミンは驚いているようだ。
「これじゃあマジカルリンリンじゃなくて、マジカルプリンリンね。」
マミタンはあきれながら言った。
アハハハハハハハハ!
再び辺りに大きな笑い声が響いた。
「神楽坂!」
「どしたん柴田先生?」
「コスプレガーディアン!マジカルプリンリン参上!どうや?いけるか?」
「それは無理!」
「あかんか。」




