第三章 13話 「なんですと?プリンですと!?」
第三章 13話です。
マジカルボールの始まりです。
いつも読んでくれてありがとうございます。
m(_ _)m
バイザーに光が灯り、倫子の前に青葉島の街並みが広がった。
いつも思うのだがこのシミュレーターは本当に凄い。
本物と寸分の違いなく青葉島の街が再現されているし、これで人が歩いていれば完全に街そのものである。
きっと天才と呼ばれる人が作ったのだろうが、源さんではない気がする。
「まずはボール探しからね。プリティちゃんは東。リンリンちゃんは北を探してくれるかしら?私は南を探すわ。」
マジカルレッドはプリティとリンリンに言った。
プリティ 「わかったのだ。」
リンリン 「はい!」
プリティとリンリンは答えた。
一方、イエローチームの方では
サトミン 「ボク北!」
マミタン 「あたしは南へ行くわ。」
マナミン 「それじゃあ私は東ね。」
こっちはあっという間に決まった。
「勝ったチームには賞品を出しましょうか?」
桜子が唐突に言った。
「桜子さん。賞品てなに?」
真美が桜子に尋ねた。
「うーん…。勝ったチームには、明日の朝食に自家製プリンが付く。なんていうのはどうかしら?」
マミタン 「プリン!」
サトミン 「プリン!」
プリティ 「プリン…。」
リンリン 「はぁう!」
4人は思わず声をあげた。
桜子のプリン…。まさに勝者に相応しい報酬である。
あの食の細いまさみちゃんですら、桜子特製プリンがおやつに出ると必ず2個は平らげるという絶品である。
賞品がトロフィーとプリンのどちらがいいかと問われれば、プリンを口にしたことのある者全てが、間違いなくプリンを取るはずだ。
「朝からプリン…。いいわね。」
マミタンはそう言って口元を緩めた。
「プリンはボクの物だ。」
サトミンもそう言って唇を舐める。
「プリン…。食べたいのだ…。」
プリティはそう呟いた。
『このゲームは負けられへんでぇ!』
リンリンは強く思った。
「それじゃあ始めるよ!5…4…3…2…1…。」
「スタート!」
サトミンの声を合図にマジカル達は、バーニアをふかしながらマジカルボールを求めて青葉島中に散っていった。
第1回プリン争奪戦。
もとい、第1回マジカルボールはこうして幕を開けたのだ。
「ん?」
マミタンは画面左隅のバックカメラの映像に目を配った。
ブルーを追従しているのはレッドだ。
「お姉ちゃんには負けないからね。」
マミタンはボールを探しつつ呟いた。
「マナミンだ。」
プリティは併走するイエローを、チラリと見てそう言った。
「プリティちゃん頑張ろうね。」
マナミンは朗らかな声で言った。
「マナミンにプリンは渡さないのだ。」
「あらプリティちゃんやる気ね!私だってプリンは渡さないんだから!」
マナミンは悪戯っぽく笑いながら言った。
「リンリン!プリンはボクらのものだからね~!」
「えぇー!サトミンが来たぁ!」
とても街中とは思えないスピードで向かってくるグリーンを見ながら、リンリンは悲鳴に近い声をあげた。
「リンリンおっ先~!」
グリーンはそう言うとあっという間にピンクを抜き去り、北へと爆走していった。
グリーンの背中のノズルから出る炎が、細かくリズムを刻みながら噴射している。
サトミンがかなり繊細に制御しているのだろう。
「すごいなぁ~。って感心してる場合じゃない!プリン!」
倫子はそう言うと、市街地を抜けた途端に北東へと進路を変えた。
リンリンはサトミンと同じ場所を探しても勝ち目はないし、違う場所を探す方が得策だと判断したのだ。
しかしリンリンよ。
探しているのはプリンではなく、マジカルボールとだけはツッコんでおこう。
マジカルボールの探索が始まって、10分もしないうちに南で動きが現れた。
「あった!あれね!」
マミタンが灯台の上に浮かぶ七色に光るマジカルボールを見て言った瞬間、レマジカルッドが風のような速さでマジカルブルーを横から抜き去っていった。
「お姉ちゃん!」
マミタンは慌ててマジカルレッドの後を追う。
「見つけたわ。南の灯台よ。みんなは中央通りに沿って南下してくれるかな?」
マユタンはブルーと競り合いながら、イヤホンに向かって静かに言った。
プリティ 「すぐに向かうのだ。」
リンリン 「はい!」
プリティとリンリンは機体を急旋回させると、中央通りに近づきつつ、南の灯台へと向かった。
マジカルレッドはマジカルブルーから離れると、マジカルブルーとは逆の方向から灯台へと向かったが、その間にマジカルブルーと少し差がついてしまった。
マジカルブルーは右手を大きく伸ばし、マジカルボールに向かって跳ぶと、少し遅れてレッドも跳んだ。
それはまるで、ボール前でリバウンドを奪い合うバスケット選手のようだ。
「いっけぇ~!」
マミタンはそう叫ぶと、マジカルブルーが右手でマジカルボールを掴んだ。
「よし!」
マミタンがそう叫んだ瞬間、マジカルブルーの右手が大きく弾かれ、ボールはマジカルブルーの手から離れると遠くに飛んでいった。
「え!」
突然の出来事にマミタンは言葉を失う。
マユタンがバーニアをふかしながらレッドの機体を空中で反転させ、マジカルボールにオーバーヘッドキックをしたのだ。
「みんなは商店街に向かって。」
レッドは空中でオーバーヘッドキックをした態勢のまま、マイクに向かって言った。
プリティ 「行くのだ~。」
リンリン 「はい!」
マジカルレッドは一気にバーニアをふかしながら体勢を立て直しつつ、マジカルボールに向かって飛んでいく。
対してブルーは空中に止まったままだ。
「ボール!」
マミタンは慌ててボールに向かったが、時すでに遅しである。
「取ったわ。合流するまでレーダーをよく見てね。」
レッドはボールを取ると、そう言って北西に向かって行った。
「さすがお姉ちゃん。でも、勝負はこれからよ。」
マミタンはそう言うとレッドの後を追う。
「マミタンが取ったの?」
レーダーにボールが映った瞬間、サトミンの声が聞こえた。
「ごめん!マユタンが持ってる!」
「マユタンはどこに向かってるのかしら?」
今度はマナミンが言った。
「北西に向かっているけど、場所までは…。」
「多分、中央通りに沿ってみんなと合流するつもりね。私達も向かいましょう!勝負はこれからよ!」
マミタン 「了解!」
サトミン 「りょーかーい!」
マミタンとサトミンは元気よく返事をした。
さぁ。どうなることやら?




