第三章 12話 「マジカルボール」
第三章 12話です。
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「ふーっ。」
倫子は満足そうに声を漏らすと、しっかりと肩までお湯に浸かった。
『どれもこれも全部おいしかったなぁ…。ケーキも生クリームが固すぎず、柔らか過ぎずの絶妙な柔らかさやったし。サラダはあんなもんなんかなぁ?ようわからんなぁ…。』
さっきは桜子を先頭にみんなで背中を流しあったが、あれだけの人数でやるのは初めてだったし何より楽しかった。
乙女座の人達は本当にみんないい人ばかりで仲がいい。
その輪の中に入れたのは、幸せな事だと倫子は思う。
素晴らしいと思える人と出会える事は、それだけで幸せな事だと母の美智子は言っていたが、なるほどなぁと思う。
「倫子ちゃん。ピンクちゃんの調子はどう?つらくはない?」
桜子が笑顔で倫子に問いかけた。
倫子は慌てて湯船から体を起こし、お湯から肩を出すと
「大丈夫です。ピンクちゃんと一緒に頑張ってます。」
と笑顔で言った。
「そう。ピンクちゃんの操縦は楽しい?」
「面白いです。」
「楽しいじゃなくて面白いのね。」
桜子はそう言って笑った。
「楽しいのも難しいのも、全部ひっくるめて面白いです。」
桜子は倫子の返事を聞き、しばらく考えたあと
「それはよかった。倫子ちゃん、ピンクちゃんをよろしくね。」
「はい。一緒に頑張っていきます。」
「リンちゃんも上手になってきたもんね。今度ボクと
闘ろうよ!」
聖美はにこにこ笑顔で言った。
「私じゃサトミちゃんの相手にはならないよ~。」
倫子がそう言うと未祐が言った。
「じゃあ私とやる?」
未祐が倫子に尋ねた。
「鬼ごっこ?」
「それもでもいい。」
「未祐ちゃんとの鬼ごっこで、青葉島の地理も覚えられたし、助かったよ。」
倫子はその言葉通り、未祐とのシミュレーターでの鬼ごっこで青葉島の地理を覚えたのだ。
その時未祐は、青葉島の危ない箇所や危険な場所、侵入してはいけない場所などを事細かに教えてくれた。
特に地下に繋がる通路に関しては、基本的には入ってはいけないと言われている。
これは全てのロボットが対象ではなく、マジカルだけの話らしい。
特に南側の地下の入口には、近づくのもやめた方がいいと言われたのが印象的だった。
そう言えば真美も、地下は迷宮になっているから気をつけたほうがいいと言っていたが、地下には何があるのだろうか?
地下は過去に頓挫した地下鉄工事の跡地だと言うが、今はどうなっているのだろう?
気にならないと言えば嘘になるが、倫子はあえて気にしないようにしている。
「それじゃあさ。お風呂からあがったら、みんなで『ゲーム』しようよ。シミュレーターも人数分揃ったしさ。」
「ゲーム?」
倫子は首を傾げる。
「私達も初めてなのよ。」
真美は倫子にそう言って笑った。
聖美の提案は全員一致で可決され、『ゲーム』を開催する事になった。
『ゲーム』とはマジカル同士による対抗戦である。
今まではシミュレーターが3台しかなかったのでその機能はなかったのだが、シミュレーターが6台になって加えられた新しい機能である。
ゲームにはいくつかの種類があるが、今回は「マジカルボール」と言うゲームを選んだ。
マジカルボールは青葉島をフィールドにして敵味方に分かれて一つのボールを奪い合うゲームなのだが、やり方が少し変わっている。
まずは制限時間を決め、スタートと同時にランダムに現れるマジカルボールを両チーム総出で探すところからマジカルボールは始まる。
誰かがボールを手にした時点で、マジカルのレーダーにはボールの位置が表示されるようになるが、マジカルはレーダーに映らないので誰が持っているかはわからない。
そこから両チームのボールの奪い合いが始まり、結果的にはタイムアップの時点でボールを持っていたチームの勝ちなのだが、マジカルボールと言うだけあって、このボールが曲者なのだ
ボール自体はマジカルの大きさからすればバレーボール位の大きさなのだが、このボールは占有時間が決まっており、1分に一度は手から離さないといけない。
ボールを手にするとモニター上にタイマーが表示されてカウントダウンが始まり、タイマーが0になるまでに離さないと、ボールは勝手にどこかへと飛んでいく。
そうなるとまた、ボールを1から探さなければいけないのだ。
まずはチーム分けをすることになり、各チームのリーダーはマジカルリーダーのマユタンと、サブリーダーのマナミンに決まり、リーダー同士がジャンケンをしてメンバーを決めた。
マユタン率いるチームレッドは、マユタンとプリティとリンリン。
マナミン率いるチームイエローは、マナミンとマミタンとサトミンに決まった。
「時間は30分。初めてだから時間は昼間にしておくね~。」
サトミンはセットアップを進めながら言った。
「お姉ちゃんには負けないからね!」
マミタンはやる気まんまんだ。
「ボクも頑張っちゃうからね~。」
サトミンもやる気まんまんだ。
「楽しみましょうね。」
マナミンは和やかに笑う。
対してチームレッドのほうは
「楽しみ。」
プリティは呟いた。
「マユタン頑張りましょうね!」
リンリンは嬉しそうに言った。
リンリンはマユタンと同じチームで嬉しいのだろう。
「頑張りましょうリンリン。」
マユタンは答えた。
「どっちも頑張れ~!」
桜子はモニターの前に座り、両チームに声援を送った。
「よーし!準備オッケー!それじゃあ行っくよー!」
サトミンはそういうと、勢いよくコンソールのボタンを押した。
マジカルボールのスタートです。




