第三章 10話 「難しいなぁ」
第三章 10話です。
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「ロボット3原則の内容は、人間への安全の確保、人間の命令に対する服従、それと自己防衛なのだ。」
未祐がロボット3原則の内容説明をしてくれた。
真美 「これってロボットじゃなくて、今でいうアンドロイドの話でしょ?アンドロイドをロボットって言葉でくくっている事で混乱しているの。だいたい産業用ロボットだってロボットなんだし、産業用ロボットで起こる事故は年間100件以上あるんだから、安全なんか確保されてないわ。」
倫子 「そうか!ロボットって言葉が紛らわしいんだ!」
真美 「そういうこと。ロボットにアンドロイドに機械、それに今はAIが絡んでくるから、ロボットっていう線引きが難しいのよ。」
未祐 「ロボット3原則は小説の中での話なのだ。もっと簡単に言えばただの設定でしかないのだ。ロボット3原則はありもしないものに対する、希望と空想のレベルなのだ。」
真美 「そもそも、ロボットがない時代に書かれた空想小説の設定が、今の時代に実用性があると思う?」
倫子 「本当だ…。」
未祐 「当時のロボットは、今でいうアンドロイドを指す言葉なのだ。そもそも当時はロボットに乗るという考えがなかったのだ。だけど自律型アンドロイドは今の技術では作られていないし、これから先も作れないのだ。」
倫子 「そうなの?」
「絶対に無理なのだ。」
未祐は倫子にはっきりと言い切った。
未祐 「自律という言葉の定義の問題なのだ。自律すると言うことを意思を持つと言う事だと定義すれば、意思を持つのは生物だけなのだ。だから機械がどれだけ頑張っても生物にはなれないのだ。いくら受け答えが出来ても、それはプログラムであって意思ではないのだ。機械は判断をしないし、出来ないとは言ってもNOとも嫌とも言わないのだ。自律を意思を持つことと定義すれば、自律型アンドロイドを作るのは不可能なのだ。」
真美 「結局、ロボット3原則は空想上の理想なのよ。ありもしないものの話だしね。」
なんだか難しい話になってきた。
「ハルさんは優秀だけど意思は持ってないでしょ?ねぇ?ハルさん?」
真美の問いかけにハルさんが答えた。
「はい。私はプログラムです。意思と言うものは理解出来ません。私は指示された通りに動くだけです。」
「ハルさんがAIなのを忘れてたよ。」
倫子は思わず笑ってしまった。
「最高の褒め言葉です。」
ハルさんはそう言った。
『これもプログラムってことなんやね…。複雑やわぁ…。』
倫子はおかしな気分になった。
真美 「ひと言でロボットって言っても複雑でしょ?」
倫子 「そうだね。」
未祐 「だから法整備がまとまっていないのだ。だから警察はすごく動きにくいのだ。」
倫子 「なるほど~。よくわかったよ。マジカルは警察からも頼りにされてるんだね。」
倫子はそう言って笑った。
真美 「そう言うことね。ねぇリン。京都はロボット犯罪ってないの?」
未祐 「それは気になるのだ。」
2人は興味津々のようだ。
倫子 「京都府下はわかんないけど、京都市内はロボットの全面乗り入れ禁止だからないよ。見たことも聞いた事もないなぁ。」
真美 「青葉島と真逆なんだ。やっぱり、お寺が多いからかな?」
未祐 「碁盤の目だからかもなのだ。」
倫子 「京都市内は基本的に道が狭いからね。大通りでも青葉島より全然狭いし、細くて入り組んだ道も多いから。」
真美 「そう言えばリンは、京都のどの辺りに住んでたの?」
「えっとねぇ。あのねぇ…。」
倫子は急にもごもごとしだした。
真美 「京都市内のどのあたり?一休さんのお寺は近い?」
未祐 「狛犬がイノシシの護王神社は?近い?」
真美よ。
一休寺は京都府田辺市にあって、京都市内ではない。
ちなみに一休さんが6歳で入門した安国寺は、京都府綾部市にあり、どちらも京都市内ではない。
未祐が言う護王神社は、御所の西にある蛤御門の向かいにある神社で足腰の神社である。
狛犬がイノシシなので、イノシシ神社とも呼ばれているが、それにしても2人ともなかなかマニアックな場所を知っている。
「一休寺は遠いかなぁ~?護王神社は近いかなぁ~?」
倫子は全身全霊をかけてとぼけた。
どうやら家の場所をあまり知られたくないらしい。
「あれ?教えてくれないの?」
真美は不満そうに尋ねた。
「うーん…。なんて説明したらいいか…。近くに有名な所がないから説明しにくいんだよね…。」
倫子は困ってしまった。
「どっちかと言えば、市内の中心寄り?かな?」
倫子は困った顔で言った。
「なんで疑問形?」
真美はそう言って笑った。
「修学旅行で行くからいろいろ教えて欲しいのだ。勉強教えるのだ。」
未祐がそう言うと倫子は、ここがチャンスと言わんばかりに話題を変えるべく、大きく舵を切った!
「いいよ~。京都も美味しいものがあるよ~。おうどんも美味しいし、にしん蕎麦とか鯖の炊いたんとか、おばんざいもいっぱいあるし。」
真美 「にしん蕎麦って美味しいの?」
未祐 「おうどんは大阪だと思ってたのだ。」
やった!食いついてくれた!
倫子は一気にたたみかけた。
倫子 「京都のおうどんも美味しいよ。お出汁が甘めで九条ねぎがたくさんのったネギうどんもあるし。」
真美 「へぇ。ヘルシーでいいわね。」
未祐 「暖まりそうなのだ。」
倫子 「にしん蕎麦も美味しいよ。関東にはないの?」
倫子は不思議そうに尋ねた。
真美 「聞いた事ないわねぇ。」
未祐 「ないのだ。」
『にしん蕎麦も食べられへんのか…。寂しいなぁ…。』
倫子は少し寂しくなった。
神楽坂家の年越しそばは、にしんそばと決まっているからだ。
倫子 「熱血屋にもないもんね。味はうまく言えないけど美味しいよ。修学旅行に行く前には美味しいお店を教えてあげるね。」
「うん。楽しみにしておくのだ。」
未祐は淡々と言った。
見た感じは本当に楽しみなのだろうか?と思うほどの態度だが、倫子には未祐が楽しみにしているのがわかる。
短い付き合いだが、少しづつわかるようになってきた。
人と人とはゆっくりと時間をかけて互いを理解していくものだ。
倫子は未祐の事が少しづつわかってきたようで嬉しかった。
感想を頂けて、大変嬉しかったです。
m(_ _)m




