第三章 4話 「マジカル親衛隊 め組」
第三章 4話です。
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「うーん…。どうしたものか…。」
頭にハチマキを巻き、もえぎ色の法被を着た若者は、熱血屋の奥にある座敷に座り腕を組んだまま悩んでいた。
「ハチマキさぁ~ん。どうするのぉ?」
呆れて気味の声を出しながら、メイドさん姿のウェイトレスのアイちゃんが言った。
長い黒髪をツインテールにしていて可愛らしい。
「付けるべきか…。付けざるべきか…。」
ハチマキは同じセリフを呪文のように口にしながら、かれこれ5分は悩んでいる。
「なんだハチマキ。まだ決まってないのか。」
座敷に戻ってきた、もえぎ色の法被を着た小太りの若者が言った。
「コブさんは何にするの?」
「酢豚定食の大盛りで頼む。」
「スブ定の大ね。ハチマキさんのは無しにしといて、先にオーダー通しちゃうわよ。」
アイちゃんは呆れ顔だ。
「そうしてくれい!」
ハチマキは力強く答えた。
「はーい!」
アイちゃんは元気よく返事をすると、厨房へと戻って行った。
「隊長~。タマゴ1個で悩みすぎですよ~。」
同じ法被を着た丸坊主の若者が言った。
「しかしマル。栄養面を考えるとだなぁ…。」
ハチマキはまだ悩んでいるようだ。
「いや!悩みすぎだ!1個30円のタマゴだぞ!悩んでる時間のほうが高くつくわ!」
コブは大きな声をあげた。
「コブよ。お金の話ではないのだ。健康面を考えるとだな…。」
「ハチマキ!貴様がうだうだ悩んで、アイちゃんがひげさんに苦情を言ったらどうする気だ?」
「どうする気とはどういう事だ?」
「それが元で、特製すたみな丼がメニューから消えたらどうする気だ貴様!」
コブはハチマキを指さしながら言った。
「困る!それは困るぞ!」
ハチマキは真っ青な顔で言った。
「もちろん俺だって困る!考えてもみろ。ワンコインであれだけ旨くて多いご馳走が他にあるか?もしメニューから消えてみろ!貴様はお得意様達を。いや!俺達まで敵にまわす事になるのだぞ!」
「な!なにぃ!。」
ハチマキはがっくりと項垂れた。
「本土なら牛丼屋のチェーン店があるからいいだろう…。しかしこの島にそんなチェーン店はなーい!それとも何かハチマキ?貴様は特製すたみな丼が、チェーン店の牛丼に負けるとでも言うのか!」
「そんな事はない!断じてそんな事はないぞコブ!熱血屋の特製すたみな丼は、胃に重く財布にやさしい世界一の丼だ!」
ハチマキはコブに向かって熱く語った。
「ならばタマゴ1個でアイちゃんに迷惑をかけるな!」
「確かに…。俺が間違っていた…。すまん…。」
ハチマキは項垂れながら謝った。
「わかればいいのだハチマキ。」
コブはそう言って深く頷いた。
「コブさんは相変わらず、隊長の操縦が上手いですね。」
マルはコブの耳元で囁いた。
「付き合いが長いからな。マルよ覚えておけ。バカと動物は力押しが一番だ。」
コブもマルの耳元でそう言って囁いた。
「え?隊長はどっちなんですか?」
「両方だ。両方に決まっておるわ。」
コブは腕を組んでふんぞり返った。
「両方?」
マルは眉を顰めた。
「ハチマキはバカな動物だ。無論、この俺もだがな!」
コブは眩しい笑顔で言い切った。
「なるほどぉ。」
マルはそう言って感心している。
「コブさん。注文は通したの?」
席に戻ってきた、背の低い若者がハンカチで手を拭きながら言った。
「…。」
隣にいるボサボサ頭の眼鏡をかけた、長身の男は無言のままだ。
「今通したところだ。ハチマキ!今日の会議を始めようではないか。」
コブがそう言うと全員が座敷に座った。
もえぎ色の法被の背中には、赤く大きな文字で『め』の一文字が書いてある。
「アイちゃんまた捕まってたの?」
アメリカンポリス姿の黒髪のロングヘアーの女の子が言った。
「いつもの事よマイ。」
「って事は、今日もタマゴは付けてないのね?」
青い中国の拳法の使い手のようなコスプレをした、黒髪ショートの女の子がアイちゃんに尋ねた。
「なんだかんだ言って、結局付けないのよね~。」
マイはそう言って笑う。
「毎日のように通ってくれる常連さんなんだし、感謝しなきゃダメよ。ねぇ?ミィ。」
アイちゃんはマイちゃんに注意した。
「そうそう。私達が好きな事が出来るのも、お店と常連さん達のおかげなんだから、感謝しなくちゃね。」
赤いチャイナドレスに身を包み、髪をお団子にしたメガネのミィちゃんも続く。
「もちろん感謝してますよぉ~。」
マイは笑った。
「それより今日は、青葉シティホール前でゲリラライブよ!アルバイトもライブも頑張りましょ!」
アイちゃんは力強く言った。
ミー 「頑張るわ!」
マイ 「がんばろー!」
ミーとマイも力強く返事をした。
楽しそうに話をしているこの3人は、乙女座の4Fに住んでいる青葉島の名物三人娘だ。
なぜ名物なのかというと、3人は青葉島を拠点に「マインズ」というアイドルグループをやっているからだ。
まだまだ全国区の人気にはほど遠いが、青葉島では有名であり最近はファンも増えつつある。
昼間は熱血屋でアルバイトをしながら、夜になるとアイドル活動をするので昼勤が専門で、食事の時間が倫子達とは違うため顔を合わせる事は少ないが、アルバイトの引き継ぎで一日に一度は顔を合わせる。
本人達はアルバイト代のほとんどをアイドル活動に注ぎ込んでおり、衣装が無いときなどは熱血屋のコスプレを拝借している。
最近は芸能関係の仕事もちょこちょこ入ってきている、アイドルを夢見る少女達なのだ。
「今回の活動についてだが、何かあるか?忌憚のない意見を出してくれ。」
ハチマキは隊員達に向かって言った。
コブ、マル、チビ、ノッポの4人の隊員達は腕を組んだまま考え込んでいる。
「今回は全員が前回の反省を踏まえ、声はよく出ていたと僕は思います。」
マルがそう言うとコブが言った。
「確かに声は出ていた。しかしダンスの方はどうだ?満足のいく踊りが踊れたか?俺達の熱意は姫様達に伝わったと思うか?」
「リンリンちゃんが手を振ってくれた。」
チビが嬉しそうに言った。
「確かにチビの言うとおりリンリンちゃんは俺達に手を振ってくれた。しかしだ。本当にそれでいいのだろうか?」
ハチマキは鋭い眼光を放ちながら皆に問うた。
「どういう意味ですか?」
マルは不思議そうにハチマキに尋ねる。
「俺達は声をあげて姫様達を応援したい…。しかしそれで良いのか?俺達の応援は姫様達の邪魔になってはいないだろうか…。」
「ハチマキ。ここにきてまたその話か。その話は今まで散々してきただろうが。」
コブは冷静に言ったが、他の隊員達の顔には動揺が出ていた。
「隊長は我々が今までやってきた事を否定するというのですか!市長からもお墨付きを頂いたというのに!」
チビは興奮している。
「いや、そうではない!そうではないのだ!決して、我々の今までの行動を否定しているわけではない。」
ハチマキは首を横に振る。
「何が違うと言うのだハチマキ。」
コブがハチマキに静かに問いかけた。
「俺は最近、日に日に何かが変わってきているように思えてならんのだ…。」
ハチマキは重々しい声で言った。
「そうですかね?」
チビは神妙な顔で答えた。
「そうかなぁ?」
マルはストレートに言った。
「いや待て。ハチマキの話も聞いてみようではないか。」
コブはあくまでも冷静だ。
「この間、海浜公園のそばにロボットが出ただろう?」
ハチマキは静かに切り出した。
「うむ。道化師のような白い、手のデカイやつだな。」
「あいつが出てきてから、下が何やら騒がしいのだ…。」
「リンリンちゃんに腕を斬られて、地下に逃げたやつですよね?」
マルが真剣な面持ちで言う。
「あいつがどうかしたんですか?」
チビはコップの水を飲みながら言った。
「いや…。うまく口では言えんのだが、下の雰囲気が変わったというか空気がおかしいと言うか…。とにかく何かが変なのだ…。」
「…。」
ノッポは黙ったままだ。
「たしかに。今まで見たこともないタイプのロボットだったな…。そう考えれば貴様の言う通り、何かが起こりつつあるかもしれん…。かと言って俺達『め組』に何が出来る?姫様達を応援することくらいしか出来んぞ?」
コブは淡々と話した。
「わからん…。わからんのだが、何か出来ないかと考えているのだ…。おれは市長のお心に報いたいのだ。」
ハチマキはそう言うと口をへの字に曲げた。
「市長の名前を出されてしまうと、俺達は何も言えん。皆の気持ちは一緒だ。」
「そうですよ!」
「そうですとも!」
マルとチビが声をあげた。
ノッポは声こそ出さないが、その双眸には力がこもっていた。気持ちは皆同じという事だろう。
「今後はそれも考慮したうえで活動を続けたいと思うが、皆はどう思う?」
ハチマキの問いかけに対し皆が答えた。
コブ 「異議無し!」
マル 「もちろんです!」
チビ 「もちろんです!」
ノッポ 「異議無し…。」
「満場一致だな。」
ハチマキはニヤリと笑った。
「おい変形バカ。おべべは出来たか?」
PCをパチパチやりながらスパロボバカは言った。
いつもの暗い部屋の中である。
今日は大臣はいないようだ。
「どれの事ですか?スパロボバカ。」
変形バカもPCをパチパチとやっている。
「ピンクちゃんのだ。さすがに魔法使いに刀はかわいそうだろ?変形バカ。」
「出来てますよスパロボバカ。」
「すぐ出せ変形バカ。」
「ならエンジンを6つ出しなさい。スパロボバカ。」
「どれだ変形バカ。」
「SK3です。一番小さくてパワーのあるやつですよスパロボバカ。」
「なにぃ!SK3を6つもか!ストックが無くなるぞ変形バカ。」
「また作ればよろしいではないですか。スパロボバカ。」
「しゃあねぇな。持ってけ変形バカ。」
「それと、これもついでにプリティに着せてください。」
変形バカはそう言って、PCの画面をスパロボバカに見せた。
「これは…。」
スパロボバカは身を乗り出して、パソコンの画面を見た。
「おもしれぇ。すぐにとりかかるぜ。」
スパロボバカはニヤリと笑った。
「格闘には格闘です。」
変形バカもニヤリと笑った。
「なるほどな。ブルーのおべべも出来たしな。まとめてやっちまおう。」
スパロボバカは実に楽しそうだ。
「奴らも腕をあげたようですが、格の違いってやつを見せつけてやりましょう。スパロボバカ。」
そう言って変形バカは、不敵な笑みを浮かべた。
「そうだな。しかしまた大臣が拗ねるぜぇ~。変形バカ。」
スパロボバカはそう言うが、顔は笑っている。
「でしょうね。スパロボバカ。」
変形バカも笑っていた。
変態の会話はよくわからない。
いよいよめ組が動き出しました。
漢達の熱い想いを受け止めてやってください。




