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第二章  16話 「やってもうた…。」

第二章 終了です。


いつも読んでくれてありがとうございます。


 <(_ _)>

その日の夜。

夕食を終えた倫子は、リビングのソファーに座りながら暗い表情を浮かべて(うつむ)いていた。

輸送機への着艦は思ったよりもうまくいった。

自分で自分を褒めてあげたいくらいだ。  

着艦(それ)はいい!着艦(それ)はよかったのだ!問題はその前である。



着艦もうまくいき、帰り支度をしている倫子に真美が笑いかけながら言った。

「これからが大変ねぇ。リン。」

「へ?何が?」

リンリンはキョトンとした顔でマナミンに尋ねた。

「あれだけサービスしちゃったら、なかなか方向転換出来ないわよねぇ?」

「サービス?方向転換?」

真美は何を言っているのだろう?


「しかも、マジカルリンリンて名乗っちゃったしねぇ…。」

「ん?ん?ん?」

倫子は真美の言っている事が理解出来なかった。

何かまずいことをしたのだろうか?


「あれだけキャラを作っちゃったら、次も同じテンションじゃなきゃまずいよね~?」

真美はニヤリと笑っている。

「あ!」

倫子の顔から一気に血の気が引いた。



はしゃぎ過ぎた名乗りのせいで、倫子はこれからマジカルに乗る度にテンションをあげなくてはならない。

マジカルは青葉島のアイドルなのだ。

当然、いつも笑顔でいなければならないだろうし、たとえ彼氏に振られて凹んでいようと、大学の留年が決定しようと笑顔でなければならないだろう。

とはいえ、さすがにあれはやりすぎた…。

倫子はそこに気が付いてしまったのだ。



「それにさぁ~。マジカルリンリンはリンのコードネームだよねぇ~?じゃあ、あのマジカルの名前はなぁに~?」

「マジカルピンク…。」

「リンはどっちを名乗ったっけ~?」

真美はニヤリと笑っている。

「マジカルリンリン…。」

「てことはぁ~。みんなはピンクのマジカルの事をなんて呼ぶのかなぁ~?」

倫子の左の頬がピクピクと痙攣し始めた。

リンリンは機体名ではなく、コードネームの方を名乗ってしまった…。


もしマジカルがプラモデルやおもちゃになっても、倫子の可愛いいマジカルピンクだけは「マジカルリンリン」と大きな文字で書かれる事になるだろう。

自己顕示欲が強そうでとてもとても嫌だし、マジカルピンクにも申し訳ない。

大失態だ…。間違いなく明らかな大失態だ…。



「いやぁー!」

倫子は大きな声で叫ぶと両手で顔を覆った。

倫子の耳は真っ赤に染め上がっている。




それからの倫子はこの調子である。

食べる事を誰よりも楽しむ倫子が、夕食に何が出たのかすら覚えていない。

対して、倫子を挟むように座る真美と未祐はニコニコしている。

特に未祐の笑顔が眩しい。



「ただいまー!あ、リンちゃん!中継見たよ!可愛いい名乗りだったねぇ!」

聖美(さとみ)は乙女座に帰った早々、倫子に笑顔で話しかけた。

「やめてぇ~。」

倫子は俯いたまま両手で顔を覆う。


「見事なはじけっぷりだったのだ。さすがはリンちゃんなのだ。」

未祐は満面に笑みを浮かべながら言う。

「やめたげてぇ~。」

倫子の声が弱々しくなっていく。

「なかなかよかったよ~!面白かった~!」

聖美も笑顔だが、その無邪気な笑顔が逆に恨めしい。

「いじめんといてぇ~。」

倫子は両手で顔を覆ったまま、首を左右に振った。



「リンちゃん。これくらいでへこんでちゃダメなのだ!」

未祐は厳しい声で言った。

「え?」

倫子は顔から手を離し、未祐の顔を見た。

「ぶりっ子の道は険しいのだ。地獄はこれからなのだ。」

『ぶりっ子?地獄って…なに?どういう意味?』

倫子の顔が引き攣った。

「ようこそ。終わりのない地獄へなのだ。」

未祐はそう言うと、笑顔で倫子に握手を求めた。

「未祐もデビューで失敗したのよね~。」

真美は残念そうに言った。

「え?どういう事?」

倫子は未祐と固い握手を交わしながら真美に尋ねた。



「未祐も緊張しすぎてつい、焦っちゃったのよね~。」

真美は笑いながら言った。

「頭が真っ白になって、自分が知りうる限りのアイドルをカメラの前で体現したのだ…。そう…それが今のマジカルプリティなのだ…。」

「え?」

倫子は目が点になった。



「あれからマジカルに乗る度に地獄なのだ…。あの日に帰りたいのだ…。」

未祐はそう言うと深いため息をついた。

「ミユパイセン!私はどうすればいいのですか!」

倫子は未祐先輩にすがったが未祐は首をゆっくりと横に振り、憐れみのこもった目で倫子を見つめながら言った。

「最後までキャラを貫くしかないのだ。頑張れなのだ。」

『それ…アドバイスなん?』

倫子は呆気に取られた。



「それにしても『マジカルリンリンで~す!』はよかったね~。」

聖美がそう言うと真美が言った。

「マジカルレッド、ブルー、イエロー、グリーン、プリティ、リンリン。いいんじゃない?」

『あかん…ミスった…。やってもうた…。しでかした…。』

自責の念が倫子を襲う。



「あら?全員揃ってるわね。」

キッチンから出てきた真奈美が、リビングを見ながら言った。

「真奈美さん…。」

倫子は泣きそうな声だ。

「ちょうど良かったわ。みんな食堂に来て。」

真奈美は笑顔で言った。




全員で食堂に向かうと、真由が大きなホールケーキをテーブルに置いていた。

それぞれの席にはティーカップとお皿、フォークが置かれている。

「さぁ。みんなでお祝いしましょ。」

そう言う真由は笑顔だ。

「お祝いって…。」

倫子は首を傾げた。

「リンのマジカルデビューのお祝いよ。」

真美は笑顔で倫子の顔を見た。

「え!」

倫子は心底驚いた!




その頃。

暗い部屋の中でスパロボバカと変形バカ、大臣の3人が、張り詰めた空気の中で話をしていた。

「どうだった?」

大臣が問いかけた。

「変形バカとバラしてみたが大したもんじゃねぇ。今はまだ大したもんじゃねぇが、脅威ではあるな変形バカ。」

スパロボバカは真面目な声で言った。

「材質は既製品の最高級品ですが、現状ではマジカルの敵ではないですね。スパロボバカ。」

変形バカも真面目に答えた。


大臣 「手の内を全部晒したと思うか?」

スパロボ 「それはねぇだろうな。」

変形 「それはないでしょう。」

スパロボバカと変形バカは即答した。

「だろうな…。」

大臣も真面目だ。



「画像を見たが、ありゃあ空までは飛べねぇな。せいぜい5分も滑空するのが精一杯だろう。ジャンプしても10mいくかどうかだな…。」

「材質のほうも腕だけは複合チタンですが、あとは大した事はありませんね。腕の伸縮構造も大した技術ではないですし。第一、全身を複合チタンで作るとなるとコストがグンと跳ね上がります。」

「あのバーニアの出力では飛行は無理だろうな…。駆動系はどうだった?」

「音から判断すると、ARC(アーク)製の一級品てとこだろうな。悪かねぇがずば抜けてもいねぇわな。」

「それよりあのデザインが気になりますね。完全に近接戦闘特化型です。美しくはありませんが。」

「対マジカル用と考えて良さそうだな…。」

大臣は口に手をあてながら言った。



ルージュ()ノワール()が対象ではないのは確かでしょうね…。」

「今回は挨拶代わりの小手調べって、とこだろうな…。」

「でしょうね…。」

変形バカが珍しくスパロボバカに同意した。

()()か?」

大臣は厳しい目つきで言った。

スパロボ 「その可能性は高いだろうな。」

変形 「ないとは言い切れませんね。」

「地下に逃げたのも気になるな…。よし!俺も動くぞ!」

大臣が力を込めて言った。



「そりゃかまわねぇが、銭儲けの方はどうするんだ?」

スパロボバカは心配そうに言った。

「どうします?」

変形バカも心配そうだ。

「おまえらも少しは手伝えよ!私にばっかり頼るな!」

大臣はプンプンプンだ。

「使うのは自信満々だが、稼ぐのはちょっと…。」

スパロボバカは大臣から視線を逸らしながら言った。

「僕にビジネスは無理ですね。」

変形バカはきっぱりと言い切った。

「私にもロボットを弄らせろよぉ!おまえらばっかり楽しみやがってよ~!」

大臣は愚痴ったが、その姿はまるで子供だ。



「いやいや。だから鋼の乙女(アイアンメイデン)シリーズを最優先にしてるじゃねぇかよ。」

スパロボバカは慌てて言った。

「そうですよ~。」

変形バカも笑顔で間の手を入れた。

「知ってるんだからな…。」

大臣はスパロボバカと変形バカを睨みつけながら言った。

スパロボ 「なんの話だ?」

変形 「なんの事です?」

2人は大臣の方を見ようともせずにとぼけた。



「お前ら…。陰でこそこそと自分達のやりたいことをやってるだろ!」

大臣は2人を交互に指指しながら言った。

スパロボ 「何のことやら…。」

変形 「何のことですか?完全な被害妄想ですね。」

とぼけて逃げ切るつもりのバカ2人。

「おまえ達はバカか?金の流れは私が全部掴んでるんだぞ?随分とやりたい放題やってくれてるなおい!少しは稼ぐ方の身にもなれ!」

一気にコーナーに追い詰める大臣。

突然喋らなくなり、目がバシャバシャと泳ぎまくるバカ2人。

完全に追い詰められたようだ。


「私にもやらせろよぉ~。」

大臣は半泣きだ。

スパロボ 「わかったわかった!」

変形 「で、何から始めます?」

「まずはだな…。」

大臣は嬉しそうに口元を緩めた。




「リンちゃん。マジカルデビューおめでとう!これからもよろしくね。」

マジカルのリーダー、真由がそう言うと

「おめでとう!」

の声と同時に盛大な拍手が起こった。

「ありがとうございますぅ~。」

倫子は恥ずかしそうに頭を掻いた。


「真由ちゃんと私で焼いたのよ。食べて食べて。」

真奈美はそう言って倫子にケーキを勧めた。

「リンちゃんよろしくね~!」

マジカルサトミンは生クリームとフルーツのタップリと乗ったケーキに、フォークを突き刺しながら言った。

「これからビシビシいくからね。」

マジカルマミタンはそう言うとニヤリと笑った。

「ようこそ同志なのだ。共に地獄を歩もうなのだ。」

マジカルプリティはケーキを食べながら言う。

倫子のテンションが一気に下がる。

悲しい現実に引き戻された…。



「どうしたのリンちゃん?」

真由が心配そうに倫子に声をかけた。

「マジカルデビューに失敗しちゃって…。」

「失敗?私はリンちゃんらしくて、良いデビューだったと思うわ。」

真由が女神の微笑み(ヴィーナス・スマイル)を浮かべながら言った。

「本当ですか!」

「もちろん。」

真由の笑顔が眩しい。

『許された…。女神様に許された…。』

倫子は泣きたくなるほど嬉しかった。

女神様(ヴィーナス)のお言葉は、全ての罪も過ちも、いや、後悔すらも洗い清めてくれるのだ。

何という便利で浄化能力の高い女神様だろう。



とにもかくにも、今ここに神楽坂倫子という「マユタン教」の信者が誕生したのである。

倫子は満面に笑みを浮かべ、ケーキを食べ始めた。

「おいしーい!」

倫子は溢れんばかりの笑顔で言った。




            第二章 おわり

やっと区切りがつきました。


前フリも粗方終わり、次章から物語が少しずつですが本格的に動き出します。

これからもよろしくお願いします。


乱筆乱文でわかりにくい稚拙な文章ですが、楽しんで頂けていれば幸いです。


しかし、第二章の最終話のタイトルが「やってもうた…、」でいいのだろうか?

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