表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/847

第二章 第14話 「リンリン青葉島に立つ!」

第二章 14話です。



いつも読んでくれてありがとうございます。


 m(._.)m

倫子はマジカルに乗り込むと、コクピットシートに目をやった。

シートの上に置いてあるヘルメットが、ピンクに塗られている。

『源さんはこういうとこの芸が細かいなぁ。』

倫子は手にしたヘルメットをまじまじと見ながら思った。



倫子はヘルメットを手にコクピットシートに座ると、慣れた手つきでヘルメットを被った。

倫子は高鳴る鼓動を抑えつつ、マジカルのスターターのスイッチを押すと。


ヴィーン。

静かな音を立てつつ、マジカルピンクが息をし始めた。

倫子の目の前に広がる真っ暗な闇に、いくつもの白い文字が散り散りに浮かびあがると画面の中を泳いでいたが、しばらくしてから画面の中央に集まり文章になった。


  Hello! my buddy. magical Rinrin.

  こんにちは!私の相棒。マジカルリンリン。


それを見た倫子の体がゾクゾクと震えた。

文字は再び散らばると、新たな文章を構築した。


  Are you Ready?

準備はいい?


「イエス!」

倫子が元気よく返事をすると、倫子の目の前に格納庫が映った。

マジカルピンクの瞼がバイザーの中で開いたのだ。

この瞬間、倫子とマジカルピンクが一心同体となったのである。



「どうだリンリン?」

イヤフォンから源さんの声がした。

「すごいです!」

倫子は興奮している。


源さん 「ちと起こすのが面倒だが、これもセキュリティの一つだ。勘弁してくれ。」

倫子 「とんでもない!すごくいいです!」

真美 「いい感じみたいね。」

倫子 「すごいよマミちゃん!」

真美 「こっちも問題ないわ。んじゃ行きますか。」

倫子 「行くってどこに?」

マジカルブルーが天井を指さして言った。

地上(うえ)よ。」



マジカルピンクはブルーの指さす方向を見上げると、天井に大きな長方形の穴が空いてある。

(ここ)?」

マジカルピンクも天井の穴を指さした。

天井には横6m、縦10mほどの長方形の穴が空いている。

(ここ)から発進するのかな?」

倫子はコクピットで首を傾げた。

マジカルピンクも同じように首を傾げる。

『アニメと現実はちゃうなぁ…。』

倫子はそんな事を考えていた。



確かにアニメなら、ロボットがキャリアーかなにかで運ばれていき、大きなエレベーターかなにかでビューっと上昇し、カタパルトからシュパーッ!と格好よく飛び出して行くだろう。

少なくとも、ギリギリ通れるような狭い穴から、ロボットが飛び出すようなアニメは無いはずだ。




(ここ)から出るの。私が先に上がるから、後から来て。」

ブルーはそう言うとバーニアから炎をあげつつ、巧みな動きで天井の穴へと入って行った。


倫子はペダルを踏み込み、マジカルと共に歩き出したが機体に揺れがない。

最初に乗った時よりも格段に乗り心地がよくなっており、何よりマジカルピンクとの一体感がシミュレーターより高い気がする。

これが実機なのだろう。



「すごい…。」

倫子は思わず声が出てしまった。

倫子はマジカルピンクを穴の下まで移動させると穴の中を見上げた。

壁面にはLEDらしき、白と黄色の誘導灯が上まで続いており、穴の大きさがよくわかる。

『いけるかな?』

倫子の脳裏に一抹の不安が走る。

何せ実際に空を飛ぶのは初めてなのだし、倫子が不安がるのも仕方がない。

しばらく経ってから真美の声が聞こえた。



「地上に出たらシャッターが自動で閉まるから、その上にゆっくりと降りて。あとは輸送機の中に入れば終了よ。」

「了解。」

「それじゃあ上がって。」

「行くね。」

倫子は首を上げ、穴の先を見つめながらバーニアのペダルを踏み込むと、マジカルピンクは首を上げ、そのまま上昇していった。


倫子はペダルを踏みつつマジカルピンク(相棒)をゆっくりと上昇させ続けた。

『壁に当たらんようにゆっくりと…。』

マジカルピンクは穴の中央辺りを、ゆっくりと上昇していく。

『出動前に壁に当たって、傷でもついたら大変や…。』

倫子は慎重にゆっくりとバイザーを見つめている。


昔近所の若いお兄さんが、買ったばかりの新車をガードレールにこすらせてこの世の終わりかのような顔をしていたが、今ならその気持ちがよくわかる。 

お披露目前に傷がつくのは御免被りたい。



倫子はゆっくりと時間をかけ、慎重にマジカルを上昇させて格納庫の中に出た。

目の前にコンテナの後ろが開いた輸送機があり、マジカルブルーがマジカルピンクを正面に捉えるようにコンテナの中で立っている。


マジカルピンクが格納庫の中に入ると、静かにシャッターが閉じていった。

「そのままゆっくり着陸して。」

「了解。」

倫子は真美に言われた通り、マジカルピンクをゆっくりと着陸させると、マジカルピンクは音も立てずシャッターの上に降り立った。

「上出来よ。それじゃあ中に入って。」

真美の満足そうな声がする。

「はい。」

倫子はそう返事をすると、コンテナに向かって歩いた。




「ところでマミちゃん。なんでコンテナには『コンドル航空便』て書いてあるの?」

コンテナの中に入った倫子が真美に尋ねた。

「カムフラージュよ。カムフラージュ。」

倫子のイヤホンからメグの声がした。

「メグさん!」

「コンドル航空便はこの島の大手のロボットメーカー『小松崎エレクトロニクス』の子会社で、小松崎の輸送を一手に引き受けている会社なのよ。」

「小松崎エレクトロニクスって、ワーカーのシェアNo.1のですか?」

「No.1って言っても、他社との差なんて5%もないわ。次に売れているのは『ARC(アーク)』だけど、どんぐりの背比べよ。メーカーによって得意分野が違うだけでね。」

メグは面白くもなさそうに言った。

「そうなんですか…。」

「ま、コンドルが一番多くこの島の上を飛んでるからね。ハゲタカは一羽しかいないからコンドルの皮を被ってるってわけ。なんかあってもなすりつけてやれるしね。」

倫子にはメグの顔を安易に想像出来たが、それはやめておいた。



「リンちゃん。レーダーに引っかからないように超低空飛行で行くからね。ま、レーダーには引っかからないんだけどね。」

「そうなんですか?」

倫子はメグに尋ねた。

「かなり強力なステルスがかかってるからね。今まで引っかかった事はないわ。だからって気を抜いたら駄目なんだけどね。」

「万が一には、常に備えてなきゃ駄目ってことよ。」

真美はそう言って笑った。

「そうだね。」

倫子がそう答えてすぐにメグが言った。



「どうやら出番みたいよ。」

さっきまでとは打って変わり重いトーンでメグが言った。

「え!」

倫子の顔に緊張が走る。

「場所は?」

真美の声も重い。

「島の南側から北上していってるわ。数は1機。どうする?」

「え?」

「うん。あれ?止まった?」

「どこ?」

「海浜公園の辺りね。なんでこんな所に…。」

 メグは不思議そうに言った。

「とにかく急ぎましょ。メグさん。」

「了解!」

メグがそう答えると同時に、輸送機はゆっくりと前進を始めた。




「どう?メグさん。」

「ずっと止まったままね…。なんでこんな所にいるんだろう…。」

画面に映るセンサーを見ながらメグが言った。

どうやらロボットは、青葉市の所有する土地に立っているようだ。

将来的には住宅地になる予定らしいが、今はただの原っぱである。

「引っかかるわね…。」

「こんな所に何も無いわよ…。」

真美とメグは緊迫した会話をしている。



『目的がわからへんのやろか…。』

詳しい話はわからないが、二人が気にしているのはそこなんだろうなぁと倫子は思った。

たしかに何もない空き地にロボットが立っているのはおかしい。

さすがに散歩という訳ではないだろう。




「リン。あたしが先行するわ。出来るだけブルーより前に出ないようにして。」

「うん。」 

「目的地上空に到着。他に機影はなし。マミタン出る?」

「すぐに出るわ。リンはあとから来て。」

真美はそういうとブルーを操り、空中で停止している輸送機から飛び降りた。

「リンリンいけそう?」

メグが心配そうにリンリンに声をかけた。

「はい!」

リンリンはそういうと、マジカルピンクをコンテナのハッチに近づけた。

「いっきまーす!」

リンリンは思い切って空へと飛び出した。

「わきゃあ!」

体にかかるGを感じ、リンリンは思わず叫んだ。

いくら優秀なシミュレーターでも体にかかるGまでは再現出来ないのだから、倫子にとって初めてのG体験であった。



倫子は焦らずマジカルピンクの高度を計りながら、何度もペダルを踏み続けた。

シュバ! シュバ! シュバ! シュバ!

マジカルピンクは背中のバーニアから小さな炎をあげつつ、何度も下降と上昇を繰り返しながら、ゆっくりと地表へ向かって降りていく。

最後に着地する瞬間、倫子は少し長めにペダルを踏み込むと、マジカルピンクは膝で着地の衝撃を吸収しつつ、やんわりと地表に降り立った。




倫子とマジカルピンクは着地の振動を体に受けつつ、大地を踏みしめた。

地表に降り立った瞬間、倫子はマジカルブルーを見た。

マジカルブルーはマジカルピンクの前方に立ち、かなりの距離を置いてロボットと対峙している。

『なんやあのロボット?道化師(ピエロ)?』

ズームでロボットを見た倫子はそう思った。



まず目についたのは単眼の顔だ。

そのロボットのつるんとした左の頬には赤い星が描かれており、まるで道化師(ピエロ)のように見える。

道化師は細身で、白い流線形の滑らかなボディを前に倒し、地面につきそうなほど長い腕をダランと下げている。

かなりの猫背だが、しかし一番目をひくのはその手だ。

その手はまるで、野球のグローブでもはめているのではないかと思うほど大きく、全ての指先が異常なほど尖っている。間違いなくワーカーではない。


「リン。迂闊に近づいちゃ駄目よ。こいつはいつものロボットとは違うわ。」

マジカルブルーはそう言いながら、腰のサーベルを引き抜いた。

真美の緊迫した声を聞き、倫子の体に緊張が走る。

「う、うん。」

倫子は道化師から目を離さず返事をした。

いや、目を離せなかった。


道化師は全身から不気味な雰囲気を漂わせながら、マジカルブルーを凝視しているようにも見える。

道化師はマジカルブルーに向かって、ゆっくりと歩きだした。

もう少しで第二章終了です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ