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第二章 「マジカルはアイドル?」 1話「知ってるの?」

いよいよ第二章に突入です。


よろしくお願いします。m(_ _)m



いつも読んでくれてありがとうございます。


 m(_ _)m

倫子 「もうちょっと右かな?」

真美 「そうね。」

倫子 「ちょっと行き過ぎたかな?」

真美 「大丈夫。そこからならいけると思うわ。」

倫子 「うん。行けそうだし行ってみるね。」

コクピットシートに座る倫子は顔を覆うほど大きなバイザーのついたヘルメットを被っており、口元しか見えない。



倫子がゆっくりと足元のペダルを踏み込むと、目の前のバイザーに映る景色がゆっくりと後ろに流れていく。

「いい感じ。慎重にね。」

隣のシートに座る倫子と同じヘルメットを被った真美が厳しめの声で言った。

「うん。」

同時に倫子は操縦桿(レバー)をゆっくりと前に倒していく。

「抜けた!」

倫子はそう言うと口元を緩ませた。

「上出来よ。」

真美も嬉しそうに口元を緩める。




今、倫子の目の前には細く長いごつごつとした道が伸びており、道の両サイドには険しい岩壁がそびえ立っている。

1kmの直線のコースでの低空飛行はノーペナルティーで規定タイムを大幅に切る事が出来たが、歩きとなると一気に難易度が上がった。

何せ道幅は機体幅より2mしか余裕がないのだ。



倫子は今回のコース最大の難所である、S字クランクを抜けてほっとしたが、ここで気を抜くわけにはいかない。

ここで気を抜けばどちらかの岩壁にぶつかり、ペナルティーをくらう事になるだろう。


距離にして残り300mほどの道を、倫子は慎重に歩みを進めた。

倫子は機体を安定させながら、ゆっくりと狭い道を進んでいく。

残り250mのところで倫子がスピードをあげ、倫子の機体は徐々にスピードをあげつつ走りだす。

フィニッシュ!

倫子の機体はゴールラインを越えた。

「マミちゃんタイムは?」

「ノーペナで3分58秒。上出来よ。」

真美は嬉しそうに言った。



「やった!4分を切れたよ!」

倫子は嬉しそうだ。

最初は6分以上もかかったのだから、嬉しいのも無理はない。

「やるじゃないリン。」

「マミちゃんは3分切ってるんだもん。大したことないよ。」

ちなみに真美の記録(レコード)は2分22秒である。

規定タイムは5分なので半分以下だ。



「必死で練習してこのタイムよ?初心者のリンにしてはすごいタイムじゃない。ちなみにサトミンの記録(レコード)は1分54秒。ミユは2分03秒よ。」

「すごいね!」

倫子は驚いた。

「二人ともS字クランク以外はずっと走ってるからね。」

真美はヘルメットを外しながら言った。

「無理無理。絶対無理。」

倫子もそう言いながらヘルメットを外す。

「これで試験は上手くいけるかな?」

倫子は不安げに言った。

「全然余裕よ。だって試験の方がずっと楽だもん。このシミュレーターは難易度高いのよ?」

「そうなの!よかった~。」

倫子は胸をなで下ろした。



二人が座っているのは、ロボットの操縦用シミュレーターだ。

ロボットの操縦は大学での必修科目であり、5月に試験がある。

ロボットの大学なのだから当然なのだろう。


「でも、ロボットの操縦シミュレーターが乙女座にあるなんてびっくりだね。」

ここは大学ではなく乙女座の一室である。

この部屋にはシミュレーターが6台並んでおり、倫子と真美は最近毎日、アルバイトの前にシミュレーターで操縦の練習をしているのだ。


熱血屋(ここ)には青葉大の生徒も何人か居たからね。社長が買ってくれたんだって。」

「社長さんすごいね。」

倫子は感心している。

「学生の本分は勉強なんだから、最優先にしてくれているの。試験期間中はアルバイトも禁止なのよ?」

「へぇ~。すごいなぁ。」

「これで一通りの基本シミュレーションは終わり。あとは毎日練習すればタイムは縮んでいくわ。私も練習するから一緒にやろ。」

「うん。ありがとう。」

倫子は笑顔で答えた。




青葉ロボット工業大学の生徒達は、基本的にみんな忙しい。

サークル活動一つにしても野球やサッカー、テニスやゴルフなどの運動系のサークル活動はほとんどない。

あるのは「ロボット研究会」や「ロボットアニメ研究会」などの文科系のサークル活動ばかりであり、大小さまざまなサークルがあるが、大半はロボットに関するサークルが多い。

中には「エンジンを愛する会」や「魔法少女研究会」「昔のアニメを語ろうの会」など、活動内容がよく判らないサークル活動まである。



青葉ロボット工業大学は入学以上に卒業する事の方が難しく、そうなるとサークル活動とはいえ、勉学に直結したロボットに関するものが増えてくる。

正直な話、他の大学とは違い運動系のサークル活動をしながらでは、とてもではないが卒業は出来ない。

そのかわりに青葉ロボット工業大学の就職率は98%以上あり、一流ロボット企業への就職が当たり前になっている。

中にはアニメの制作会社に就職する者もいたりするが人の人生である。

他人がとやかく言う事ではない。



青葉ロボット工業大学の出資元はロボット産業の会社だけなので、スポーツがしたいなら他の大学ですればいいとでも言ったところだろう。

そもそも大学に人間用の運動場はなく、運動場は全てロボットが優先だ。

倫子も真美もサークルには入っていないし、入るつもりもない。

正直なところそんな余裕はないのだ。


真美がどうなのかは知らないが、倫子に至ってはよく受かったもんだと自分自身でも思っているので、楽に卒業出来るなどとは毛ほども思っていない。

入学してからの倫子の目標は「大学をちゃんと卒業をする。」であり、それ以上の事は望んでいないし、望む気もなければ望めない。




「今日はこれでお終い。お風呂行こっか。」

「うん。」

真美にお風呂に誘われて、倫子は笑顔で答えた。


真美は真奈美を誘い3人で浴場へと向かい3人で湯船に浸かっていると、真美が機嫌よく突然歌い出した。

「おっおっおっさっる~。おさるのビスケット~。」

「またその歌?」

真奈美が笑いながら言った。

「バナナ味!」

倫子が無意識に合いの手を入れた。

真美は驚いた顔で倫子の顔を見る。

「な、なに?」

倫子も驚いて真美の顔を見た。



真美は真剣な顔つきで、倫子の顔を見ながらもう一度歌った。

「おっおっおっさっる~。おさるのビスケット~。」

「マンゴーもね!」

倫子は再び笑顔で合いの手を入れた。

「リン!あなたこの歌知ってるの!」

「うん。♪おさる製菓のビスケット~。だよね?」

「じゃあ!リンもあのアニメ見たことあるの!」

真美は興奮している。

「うん。ずっと見てたよ。『魔法少女?解決シルキーちゃん』でしょ?」

倫子はさも当然と言う風に答えた。

「そう!解決シルキーちゃん!」

真美は嬉しそうに答えた。


「なぁにそれ?」

真奈美が不思議そうに尋ねた。

「あたしが小学生の頃に、CATV(ケーブルテレビ)でやってたの!」

真美はまだ興奮している。

「今考えたら変な時間にやってたよね。」

倫子は不思議そうに言った。

「そう!毎週水曜日の15:30から!」

「そうそう。時間も変わっているけど、ちょっと変わったアニメなのよね。」

「変わったアニメ?」

真奈美が首を傾げる。

「魔法少女のあとに?が付くのよ。」

真美がそう言うと、真奈美は再び首を傾げた。



「なんで(はてな)が付くの?」

真美 「シルキーちゃんは魔法を使わないの。」

倫子 「シルキーちゃんは魔法を使わないんです。」

真美と倫子は同時に言った。

真奈美 「え?」

倫子 「シルキーちゃんは、魔法の世界から来た女子高生の味方なんです。」

真奈美 「女子高生限定なの?なんで魔法を使わないの?」

魔法を使わない魔法少女がいるのだろうか?

それはそもそも魔法少女なのだろうか?



「わかんないのよ。途中で打ち切りになっちゃったし。」

真美は残念そうに言った。

「打ち切り?」

真奈美は首を捻った。

「途中で打ち切りになっちゃって、最終回でなんの前触れもなく、シルキーちゃんが魔法の世界に帰っちゃうんです。」

倫子も残念そうに言った。

真奈美「なんで打ち切りになっちゃたのかな?」

真美 「わかんないの。」

倫子 「わからないんです。」

2人は残念そうに答えた。

「どうやって問題を解決するの?」

「暴力。」

真奈美からの質問に、真美がとんでもない答えをさらりと言った。

「暴力!」

真奈美はそこで絶句した。


「話の中で、何回も悪い奴らに絡まれるんですけど、シルキーちゃんは全員やっつけちゃうんです。」

倫子も不思議そうに言った。

真奈美 「暴力で?」

真美 「暴力で。」

「知恵で乗り切る話もあるんですけど…。」

倫子はここで声のトーンが落ちた。

「どんな知恵なの?」

真奈美は不思議そうに真美に尋ねた。


「お金に困ってる女の子がいるのね。その子にシルキーちゃんが助言をするんだけど、なんて言ったと思う?」

真美が真奈美に聞いた。

「アルバイトでも紹介したのかな?」

真美 「ぱんつでも売る?って聞いたの。」

倫子 「ぱんつでも売る?って聞いたんです。」

2人は同時に言った。

「ぱ!ぱんつ!」

真奈美は驚いている。



真美 「変わったアニメでしょ?」

倫子 「変わったアニメですよね?」

2人は同時にそう言ったが、2人とも釈然としない顔をしている。

「た、確かに変わってるわね…。」

真奈美の目は虚ろだ。

お金に困っている女子高生が出てくるのもおかしいし、ぱんつを売るかと聞いてくる主人公もおかしい。

釈然としないのもの仕方がないだろう。



「その番組は一社提供でね。さっきの歌はその会社のCMの曲なの。」

真美がそう言うと倫子が言った。

「おさる製菓って会社なんですけど…。真奈美さんは聞いた事あります?」

「おさる製菓…。聞き覚えがないわねぇ…。」

「でしょでしょ?」

真美が激しく同意を求めた。

「食べた事があるどころか、売っているのも見たことないんです…。」

倫子は不思議そうだ。

「ね?不思議でしょ?」

真美も不思議そうに言う。



「いくらCATVでも、CMをやっているのにお店に売ってないなんておかしいわねぇ…。」

真奈美はチンプンカンプンだ。

「謎だらけのアニメなんです…。」

倫子は残念そうに言った。

「映像ソフトにもなってないのよね~。ハルさんに調べてもらっても見つからなかったんだもん。もう1回観てみたいな~。」

真美も残念そうだ。

「ハルさんが調べて見つからなかったのなら、ないんでしょうね…。」

「放映当時も録画出来なかったんですよ。」

倫子の言葉を聞き、真美と真奈美はポカンとしている。



「そうなのリンちゃん?」

真奈美は驚いている。

「はい。私も何回か録画してみたんですけど、何も映ってなかったんです。もう1回観てみたいな~。」

「ハルさんに調べてもらってわかったんだけど、シルキーちゃんの映像も画像も全然残って無いんだって。キャラクターグッズも出ていないし、オークションサイトに出品されているのは99%偽物なんだって。幻のアニメって言われているらしいわ。」

「そうなんだ…。」

真美の言葉を聞き倫子は驚いた。



「100%じゃないのね。」

真奈美は不思議そうに言った。

「何年か前にTV局で貼られていた番宣用のポスターがオークションに出たらしいんだけど、それは本物なんだって。だから100%にならないのよ。ちなみに落札価格はいくらだと思う?」

真美が妙に真剣な声で言った。

真奈美 「ん~。」

倫子 「ん~。」

倫子と真奈美は揃って首を傾げた。


「なんと1.288.500円!シルキーちゃんの画像はそれしか残ってないんだって。」

真美は目を剥きながら言った。

真奈美 「はぁ?」

倫子 「えぇ!」

倫子と真奈美は驚きの声をあげた。

ポスター1枚で1.288.500円と言われれば、誰だってそうなるだろう。


「使い古しのポスター1枚が1.288.500円よ?さすがは幻のアニメって事かしら?」

真美はわかるような、わからないような事を言った。

『シルキーちゃん恐るべし!』

倫子はそう思ったが、本当に恐ろしいのはポスター1枚に1.288.500円も出した落札者では無いだろうか?

シルキーちゃんの元ネタがわかり、ニヤリとしているあなた!


あなたとは大変、気が合いそうです。


( ̄ー ̄)



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