第一章 15話 「シティガーディアンズ出撃!」
第一章 15話です。
加筆修正が多くてすいません。
減らすように頑張ります。
読んでくれてありがとうございます。
m(_ _)m
10分後、倫子と真美は「アオバシティの聖地」の中にいた。
ビルの1階はフードコートと書籍売り場になっており、2階は映像ソフトや音楽ソフト。
3階はアニメやロボット関連のグッズに、4階は模型や玩具の売り場になっている。
5階はゲームセンターとシアターと飲食店があり、6階は多目的ホールになっている。
倫子が美姫のお土産がどこに売っているのかを真美に尋ねたところ。
「あの聖地になら、あるんじゃないの?」
とビルを指さしながら言われて、ここに来たのだ。
ビルの中はとても広く、朝の9時前だというのに店内は老若男女を問わず大勢の人々でごった返しており混雑している。
人々の顔には笑顔がこぼれ、まるでどこかのテーマパークのようで大盛況だが、これだけの人数がいったいどこから集まって来たんだろうかと思うほど人でごった返している。
「なんでこんなに朝早くから、こんなにたくさんの人がいるの?」
倫子は人混みをみながら呆然と立ち尽くしていた。
「多いのは知っていたげど、まさかここまでとはね…。」
そう言って真美も呆然と立ち尽くしていた。
とりあえず2人はフロアガイドを手に持ち、エスカレーターを上がって4階のフロアーに入った。
フロアーの入り口にある清算カウンターは驚くほど長く並んでおり、店員さん達が忙しなく接客をしている。
広いフロアーはいくつかのレーンに分かれており、2人はフロアガイドとにらめっこをしながら、お目当ての模型コーナーへと向かった。
模型コーナーに着いた2人は、再び呆然と立ち尽くしてしまった。
フロアーの奥まで伸びたショーケースの中には、たくさんの模型の完成品が様々なポーズを決めながらズラリと並んでおり、ショーケースの上下に設置された棚には商品の箱が綺麗に陳列されている。
それはまるで模型で出来た巨大な壁であり、その光景はまさに圧巻だ。
ショーケースの中だけを見ていっても、かなりの時間がかかるだろう。
倫子 「凄いね…。」
真美 「凄いわね…。」
2人は声を合わせて呟いた。
レーンの道幅はかなり広めに作られているが、あまりにも商品の数が多すぎて圧迫感すら感じるのは気のせいだろうか?
そう言えば気のせいか少し、息苦しい気もする。
『うそん?この中から見つけるん?嘘やん…。』
倫子は愕然とした。
「探すのだけで一苦労だね…。」
倫子は魂が抜けたような声を出した。
「砂山の中から、一粒だけ形が違う砂粒を探すようなものね…。」
真美の魂も抜けているようだ。
2人は見落とさないように、ショーケースと商品を注意深く見ながら、ゆっくりとレーンを歩く。
とはいえ、倫子にはお目当ての物がどんな物かもわからないし見当もつかない。
真美は実物を知っているので見ればわかるだろう。
そう。
このミッションは全て、真美に丸投げされてしまったのだ。
真美は目を皿のようにして陳列されている商品を見ていく。
『ごめんね。マミちゃん…。』
倫子は非常に申し訳ない気持ちになった。
2人は全ての商品を見てみたが、結局お目当ての商店街のガーディアンのプラモデルは見つからなかった。
「こんなにあるのに見当たらないわね。」
真美はしんどそうに呟いた。
「そうだね…。ごめんね。マミちゃん。」
倫子は気まずそうに言った。
「気にしなくていいわ。リンは知らないんだもの。それにしてもプラモデルっていっぱい種類があるのね。ロボットや車は知ってたけど、おそば屋さんや屋台のラーメンまであるとは思わなかったわ。」
真美の声には驚きが混じっている。
模型と言っても実に様々なものがある。
車やロボットはもちろんの事、カップラーメンの模型まであるのだから驚きである。
カップラーメンはお湯を入れて食べるものであり、作って飾るものではないだろう。
プラモデルでお腹が膨らむはずがないではないか。
「あ、そうだ!蔵太さんに聞いてみよう!」
真美は嬉しそうに言った。
どうやら名案が浮かんだようだ。
「蔵太さん?」
「蔵太さんは商店街で模型屋さんをやってるの。熱血屋の常連さんでね。お店は10時からだから、後で行ってみましょ。」
「うん!でも疲れちゃったね。1階のイートインでアイスでも食べながら休憩しよっか。」
倫子がそう言うと
「やった!トリプルアイスゲットね!」
真美はそう言って嬉しそうに笑った。
2人は1階まで戻るとイートインコーナーのカラフルアイスといく店でアイスを買い、イートインスペースにある大きなモニターの前のソファーに座った。
真美の選んだアイスは「ストロベリー」「ストロベリーミルク」「ストロベリーチーズケーキ」の3段重ねと、まさにいちご祭りだ。
真美はよほどいちごが好きなのだろう。
倫子の選んだアイスは「抹茶」「あずき」「きな粉」の3段重ねと和風スペシャルだ。
えらく偏ったチョイスだが、和菓子屋の娘ならではかも知れない。
「お土産にプラモデルをおねだりするなんて、リンの妹も変わってるわね~。」
真美はそう言いながらアイスを舐めている。
「美姫っていうんだけど、昔からちょっと変わってるの。でも…。」
倫子もアイスを舐めながら答える。
「まさかこんなに苦労するなんて、思ってもみなかったよ…。」
倫子はため息をついた時。
ブィー! ブィー! ブィー!
突然、店内に大きな警告音が鳴り響いた。
「なに?なに?なに?」
倫子は慌てて左右を見回し、あたふたとし始めた。
「焦らないで落ち着いて。よくある事だから。」
真美がやさしい口調で言った。
「只今シティロード商店街周辺に緊急避難警報が発令されました。店内のお客様は焦らず、決して店内から出ないでください。繰り返します。焦らず、決して店内から出ないでください。詳しい情報は店内に設置されているモニターにてご確認ください。」
明るく落ち着いた女性のアナウンスが終わると、目の前のモニターが突然点いた。
モニターには街をバックにアフロに星形のサングラスをかけ、胸元が大きく開いたギラギラのゴールドのシャツを着て、パンタロンを履いた、痩せた色白の男性が映し出されている。
胸元の金のネックレスが眩しい。
『なにこの人?』
そう言って倫子は眉を顰めた。
「ハーイ!皆様おはようございマース!青葉ケーブルテレビの名物アナウンサー『DJハマヤー』でーす!現在暴走ロボットが3体、青葉シティロードを南下中!周辺の皆様は退避してくだサーイ!」
そう言ってDJハマヤーは体をくねらせる。
「はぁ?」
倫子は呆気に取られ、思わずアイスを落としそうになった。
『なんやこれ?えらい明るいアナウンサーやなぁ。』
倫子は画面を魅入りながら思った。
「それでは中継が入ってマース!中継カモーン!」
DJハマヤーの声と同時に画面が切り替わり、道路を疾走する3体のロボットが映し出された。
3体のロボットは人間に近いフォルムを持ち、青いカラーリングに全体的に角張ったボディをしている。
手にはそれぞれ長い金属の棒のような物を持ち、車が1台も走っていない広い道を我が物顔で滑っている。
膝から下が四角くて巨大な車のようになっていて、いくつもの車輪が付いているのだ。
1機だけ頭に角のようなものが付いているのだがなぜだろう?
「3機か…。チッ、稼ぎそこねたわ…。」
ボソッとした小さな声が倫子の耳に入る。
「ん?」
倫子は真美の顔を見た。
「ん?」
真美はどうしたの?とでも言いたげな顔だ。
すると突然大勢の男性客がドドドと群れをなして現れると、倫子と真美を取り囲むようにわらわらとモニターの前に集まってきた。
「なんやなんや!」
倫子は思わず立ち上がり関西弁で叫んだ。
客達は倫子をガン無視してモニターに向かって叫び出した。
「お!ワーカーが来たか!今日はツイてるぜ!」
「今日来てよかったな~!」
「マジカル来るかな?」
「誰が来るんだろうな?」
「レッドか?ブルーか?イエローか!」
白熱している客達を見て倫子は唖然としている。
会話は全く理解出来ないし、明らかな緊急事態なのに客達が興奮しているのかもわからない。
『助けて!』
と言った顔で倫子は真美の顔を見た。
真美は倫子の耳元で囁いた。
「回りの女性客を見てみて。」
倫子が女性客に目を向けると、みんな平然とお茶を飲んだり会話を楽しんでいて、至って普通に過ごしている。
モニターになど見向きもしない。
「また来たんですねぇ。」
「そうですねぇ。」
そんな会話を耳にした倫子が声のするほうを見ると、2人の老女が向かい合わせでテーブルに座り、和風朝食セットを食べながらお茶をすすっている。
2人ともおかっぱ頭に金縁眼鏡をかけ、まったく同じ服装をしているが、姉妹なのだろうか?
『この温度差はなに?』
倫子は呆然としながら考えた。
「黙って見てて。面白いから。」
真美は倫子の耳元でそう囁くと、ニヤリと笑ってソファーに深く腰掛けた。
『とは言え、相手は車輪付きか…。会長達も苦戦するでしょうね…。』
真美はぺろぺろとアイスを舐めながら、そんな事を考えていた。
「おーっと!チームシティロードガーディアンズが出動だ!今日は誰の出番かな~?」
DJハマヤーの雄叫びが響くと、画面が切り替わった。
頭にちょんまげを結い、着物を着たかのようなロボットは右手に十手を持っている。
まるで時代劇に出てくる岡っ引きのような姿だ。
三頭身でどんぐり眼のコミカルな姿ではあるが、そこがかわいいと言えばかわいい。
「出たー!シティロードガーディアンズのリーダー『テヤンデー』だぁ!」
DJハマヤーが体をくねらせながら叫ぶ!
「テヤンデーキター!」
「頼んだぜ!アオバシティの岡っ引き!」
「頼りになるぜ親分!」
「よ!いなせだね!かっこいい!」
客達がテヤンデーに熱い声援を送る。
『てやんでぇ。とちごて、テヤンデーやったんか…。って言う事は…。あれに乗ってんのは会長さんやん!』
倫子は驚いて真美の顔を見た。
真美はにっこりと笑った。
「おっと~!次に出てきたのはぁ~。」
DJハマヤーの声に合わせて画面が切り替わる。
「アオバシティの癒し系!我らが愛すべきぶたさん!ビッグとんとんの登場だぁー!」
倫子は唖然とした表情のまま固まり、1番上に乗っていたきなこのアイスを床に落としたまま微動だにしなかった。いや、動けなかった。
『あのぶたさん。リビングにあったぬいぐるみやん…。』
モニターにはコック帽を被り、サングラスをかけたぶたさんの顔をしたロボットのアップが映し出されている。
画面が引きの画になり、ビッグとんとんの全身が映し出された。
両手に大きな包丁を持ち、腕を上下に振りながら、ビッグとんとんは首を左右に振る。
「ビッグとんとんキター!」
「暴走ロボットなんか捌いてくれー!」
「いよ!青葉島の名コック!」
「島の食いだおれロボット!」
客達はますますヒートアップしていく。
『なんなん…。この異常な熱気はなんなん…。この温度差はなんなん…。』
倫子は再び真美を見た。
真美はやれやれという風に両手を上げる。
『そうなるやんなぁ…。』
倫子は心の底から納得した。
「副会長。準備はいいか?」
アオバシティロード商店街会長、山本貫徹が、捻り鉢巻きを締め直しながら言った。
「はい。いつでもいけます。」
副会長の石田丸夫が元気よく答える。
「こんなんに暴れられちゃ、ろくにトモちゃんとおんもにも行けやしねぇ。さっさと終わらしてトモちゃんとデートだぜ。なぁハチ。」
貫徹はそう言うとハンドルから手を離し、黄色いボタンを押した。
後ろに山貫と書かれた提灯が並ぶ、和風な造りのコクピットシートの右側に立、地味な着物を着てちょんまげをつけた二頭身の人形が立っており、パペットのような口をパクパクとさせた。
「ガッテンだ!おやびん!」
その声は少年のような声に聞こえるが、少し掠れているようだ。
「会長そろそろ来ますよ。」
副会長の声は落ち着いている。
「奴らめぇ~。トモちゃんとのデートを邪魔しやがってぇ~。ぜってぇ許さねぇぞこんちくしょう!」
貫徹の目に激しい怒りの炎が燃え上がったと同時に、テヤンデーの眉が吊り上がった。
一話以来のロボットの登場です。
どのような活躍を見せてくれるんでしょうか?
出来れば評価をお願いします。
かなりやる気に直結します。




