第4章 23話 「おーまーえーかー!」
23話です。
タイトルが変更になりました。
いつも読んでくれてありがとうございます。
メリークリスマス!
明日だったかな?
(*'▽'*)
バン!
「おまえかー!」
源さんは荒荒しくドアを開けながら、部屋に入ってくるなり変形バカを指さして叫んだ。
「なにがですか?」
変形バカは、眼鏡をクイッと上げながら冷静に言った。
「冷蔵庫のケーキを食っちまったのおまえだろ!」
「はい。頂きました。大変おいしかったです。あなたにしては気の利いた差し入れでしたね。」
変形バカはニコニコと笑いながら言った。
「ありゃあ、おまえへの差し入れじゃねぇ!リンリンがみんなに買ってきてくれた差し入れだ!」
「そうだったのですか!僕はてっきりあなたが僕に日頃の感謝を込めて買ってきてくれた、差し入れだと思っていました。」
「なんで俺がおまえに感謝せにゃならんのだ!おまえが俺に感謝しろバカタレ!」
源さんは息も荒荒しく変形バカに言った。
「勘違いとは言え、リンリンには申し訳ない事をしてしまいました。ケーキは弁償致します。」
変形バカはそう言ったが、源さんには謝るつもりはないようだ。
「当然だ!それだけじゃねぇぞ!おまえのせいで俺は盗っ人の罪を着せられて、増し増しチャーシュー麺まで作らされるハメになったんだぞ!」
源さんはそう叫んだ。
話を巻き戻そう。
マユタンとマナミンが出動したすぐ後。
「お腹が空きましたね。」
変形バカはそう言うと、椅子から立ち上がって部屋から出て行った。
彼は昨日の深夜からずっと作業をしていて、何もたべていなかった。
体が栄養を求めていたのだ。
彼の部屋はマジカルの格納庫の下にあり、食料のある控室に行くためには、源さんが寝起きする部屋にある秘密の通路を通らなければならない。
マジカルの格納庫には源さんしかいないと思った変形バカは、食べる物を探しに控室へと向かった。
そしてカップ麺でも食べようかと食料を漁っていた変形バカは、卵でもないかと冷蔵庫の扉を開けてしまった。
「なんですかこれは?」
変形バカはケーキの箱を見つけると、無意識にリボンをほどき包装紙を開けてしまったのだ。
「こ!これは!」
変形バカは思わず声をあげた。
中には見たこともないほど大きなオペラがあったのだ。
変形バカは甘いものには目がない。
ケーキなら1ホールくらい平気で平らげてしまう。
いや、2ホールは難なくいけるだろう。
そこで彼は考えた。
このオペラは何のために、ここに置いてあるのということを。
『マユタンとマナミンが買ってきたんですかね?いや、彼女たちは朝早くからここに来ていたはずだし、ケーキを買ってから来ることは不可能でしょう。スパロボバカが自分のために買ってきたのですかねぇ?いやいや、それはないですね。彼は甘いものも食べますが和菓子派ですからね。という事は、彼が私への差し入れに買ってくれたのでしょう。彼にしては、随分と気の利いた差し入れではないですか。ありがたく頂きましょう。』
変形バカはそう思うとリボンと包装紙を丸めてゴミ箱に捨て、誰の目にもつかないようにケーキを持って秘密の作業場へと戻って行ったのである。
もちろん、変形バカのこの解釈にはかなりの無理がある。
彼はその無理を承知で冷蔵庫のケーキに手を出したのだ。
そう。
彼はこの見たこともないほど大きなオペラを、全部食べたいという激しい衝動に駆られたのである。
食いしん坊はここにもいたのだ。
しかも彼には打算があった。
もし自分の仮説が間違っていたとしても、ごめんと謝って弁償すればいいのだ。
源さんは怒ってもちゃんと誠意をみせて対応すれば、必ず許してくれるという確信が彼にはあったのだ。
結果、彼は欲望のままに都合の悪い事を全てねじ伏せてしまったのである。
彼は部屋に戻り、ものの10分もしないうちにオペラを食べきった。
「これはおいしいですねぇ。このサイズは癖になりそうですよ。」
彼は満足そうにそう言うとコーヒーを飲み干し、そして何食わぬ顔で違う部屋へと向かったのである。
そうとも知らずにのこのこと部屋にやって来た源さんは、机の上の空になったケーキの空箱を発見した。
「なんだこりゃ?ケーキの箱か?あのやろう。また片付け忘れてやがるな。」
源さんはそう言うと、ケーキの箱を捨てに控室へと向かった。
控室に入った源さんは驚いた。
マジカルチームの全員が集まっており、リンリンがケーキの箱を指さしながら「私のケーキ!」と言ったのだから、驚いて当然だろう。
源さんは話を聞くうちに泣きたくなっていった。
おそらく。
いや、間違いなく変形バカが食べたであろうケーキの箱は、リンリンが差し入れにと持ってきてくれたケーキのなれの果ての姿だったのだ。
『あのやろう…。何してくれやがったんだこんちくしょう…。』
源さんは怒りに震えたが、それを口に出せない理由があった。
変形バカがここに居ることは、誰にも知られてはならないトップシークレットだからである。
源さんは悩んだ。
犯人は俺じゃない!
しかし本当の事は言えない!
とはいえ、それでは話の落としどころがない!
『しょうがねぇ…。俺しかいねぇか…。』
源さんは咄嗟に腹を決めて、変形バカの罪を被ったのだ。
源さんが腹を決めたのはいいが、事態は思わぬ方向へと進んでいった。
中に入っていたケーキは、リンリンが店主に頼んで作ってもらった特注品だというのだ。
しかもそれをみんなで食べようと差し入れに持ってきてくれたという。
それはもはやケーキではなく、ケーキという名のリンリンの優しさと善意の塊である。
裁判中、源さんは気が気ではなかった。
罪悪感だけがどんどんと募っていく…。
汗が止まらなくなったほどだ。
自分にはなんの落ち度もないというのに…。
『こりゃいかん!なんとかせにゃならん!』
源さんは願わくば後々の関係に響かないように願いつつも、リンリンの要求を全てのもうと決めた。
裁判の結果、源さんにはケーキの弁償と増し増しチャーシュー麺を作るという判決が下された。
源さんはそれだけではなく、今日の分のケーキを差し入れする事にした。
サトミンにハーゼルアオバに行ってもらって新たにオペラを注文すると同時に、今日の分のケーキを買ってきてもらう事にしたのだ。
そしてリンリンには、イチゴのショートケーキとモンブランを進呈した。
源さんからのせめてものお詫びの気持ちである。
リンリンは快く、源さんの謝罪を受け入れてくれたので、源さんはほっと胸をなで下ろした。
こうして「オペラ殺人事件」は終わりを迎えたのではあるが、言われ無きケーキ泥棒の罪を被せられた源さんが、変形バカに怒り心頭に発するのも当然である。
そういう経緯があってからの、現在の状況なのだ。
「そうですか。それは大変失礼を致しました。あらためてお詫び申し上げます。」
変形バカはそう言うと、椅子から立ち上がり深々と頭を下げた。
「つきましてはケーキの代金はもちろんの事、増し増しチャーシュー麺にかかる費用及び、手間賃をお支払いしたいと思います。それ以外に希望があれば、なんなりとお申し付けください。」
変形バカはそう切り出してきた。
「まぁその…なんだ。今度からは冷蔵庫の中のもんは確認してから食え。」
「わかりました。以後気をつけます。」
変形バカは深々と頭を下げる。
「請求書は後で送る。」
源さんはそう言うと部屋から出て行った。
一見、変形バカが源さんを手玉にとったかに見えるやり取りだが、実はそうではない。
立場が逆であったなら、逆になるだけの事である。
変形バカは誠意を込めて頭を下げ、ちゃんと手打ちの案を出した。
源さんはそれを受け入れ自分の言いたい事は言った。
ただそれだけの話なのだ。
大臣を含め、3変人はそういった関係なのだ。
変形バカは訳あって、大っぴらに外を出歩くことが出来ない。
月に数回、外に出かけられればいいほうである。
その際も本人だとわからないように、変装して出かけるほどだ。
なんの制約もなく自由に出かけられる身の源さんとしては、変形バカを不憫に思うところもあり、多少の問題には目をつぶっている部分も多い。
たとえそうなった理由が変形バカ自身にあったとしても、源さんは彼を不憫に思うだろう。
変形バカはモグラやオケラではないのだ。
もし、自分と立場が逆だったとしたら、発狂してしまうかも知れない。
そう思うからこそ、源さんは濡れ衣を被ってでも変形バカの存在を隠し通したのだ。
「早くなんとかせにゃ、ならんなぁ…。」
源さんはそう言って、見慣れた廊下の天井を仰いだ。
帰りのドローンを操縦しながら、真美は考え事をしていた。
『なーんか、引っかかるのよねぇ…。確かに源さんは甘いものも食べるけど和菓子派だったような気もするし、冷蔵庫のものを勝手に食べたりしないと思うんだけどなぁ…。犯人は本当に源さんなのかしら?』
「マミちゃんどうしたの?」
倫子が真美に話かけた。
「ううん。なんでもない。」
真美はそう言って笑った。
どうやら名探偵は他にもいたようである。
【ウソ次回予告】
倫子のお魚が猫に奪われた!
逃げる猫!
裸足で追いかける倫子!
猫vs倫子!
勝利はどちらの手に!
次回!
「倫子、商店街を裸足で走る!」
乞うご期待!
ウソ予告なのだぁ!
100部目の話が、こんなのでいいのだろうか?




