第一章 7
ウル村を発ってから半日以上が過ぎた。
周りには変わらず高原が広がっている。
視界を左に向けると、その奥には深い森があった。
<前の世界>ではその森を抜けた先にある町、エウロぺに立ち寄ったのだが今回の目的地は違った。
ウル村より遥か北にある城塞国リーヴ、それが今オレが目指している場所だ。
徒歩ではあと2、3日はかかる目論見だ。
大昔の人間は獣を飼いならし、獣にまたがり駆けらしたり、木の車を引かせたりして移動していたらしい。
しかし獣が魔獣に変えられてからはそれも難しくなっている。
魔獣は本能で人間を喰らう。
その気性も荒いものが多く、手なずけることは至難の業だろう。
だが、それが不可能ではないことも、オレは〈前の世界〉で知った。
☆
日が暮れてきた。
魔獣は基本的には夜を好む。
もちろん例外は多くあるが、日が落ちてから活動する個体がほとんどだ。
なので夜に睡眠を取るのは危険な行動だ。
一人ならばなおさらである。
比較的安全な朝、昼に休み、夜に進む。
これが旅の基本だ。
これを知らずに最初は散々な目にあったのをよく覚えている。
オレは背負ったバッグの中からあるアイテムを取り出した。