会食 2
目が慣れてきた。
装飾的なシャンデリアに、壁に沢山とりつけられた燭台、まっしろのクロスがかかったテーブルの上の燭台、そのすべてがゆらゆらと光っている。テーブルには燭台以外にも、オニオンチップスがかかった葉物のサラダ、シロップでつやつやの桃のコンポート、うすく切られたローストビーフ、タイムとローズマリーにふさすぐりが飾られた魚のムニエル、などが盛りつけられた白いお皿が並び、黄金色で楕円形のパンをこれでもかと詰め込んだ金色のバスケット、金のゴブレットに、金のナイフ、フォーク、匙が耀いている。
装飾的で背の高い背凭れのついた椅子に腰掛けているのは、ふたりの男女だ。片方――――くすんだ淡い紫色のドレスを着た、三十歳前後と思しい女性が立ち上がった。痩せていて、長い赤毛をあみおろしにしている。
女性はこちらへ、と云うか、おそらくエドゥアルデさまへお辞儀する。しかし、エドゥアルデさまはそれを無視した。
「陛下。エドゥアルデ、帰参しました」
「ああ。で、そちらが聖女さまか?」
肥り気味の男性が、ナイフとフォークを置いた。手巾で口許を拭い、手を振ると、控えていた金のたすきの従僕が、ゴブレットにお酒を注ぐ。
男性は、すすけたような金髪に、緑がかった青の瞳で、酔っているのか目が据わっていた。肌は浅黒く、頬がたるみ、皺が目立つ。髪と同じ色のひげがういていた。
エドゥアルデさまが云う。
「はい。王室護衛隊の活躍で、無事、聖女さまを保護いたしました。同時に招聘された、聖女さまの友人達も」
「うん?従者だと聴いたが?」
「まぬけが伝え間違えたのでしょう。官吏は最近、忙しすぎるあまりに、食事を用意する時間をおしんで同僚の頭を食べているとか」
「下らんことを云うのはよせ」
冷たく云って、男性はゴブレットを干した。再びナイフとフォークをとる。このひとが国王陛下……なのだろうが、わたしに対する興味はないようだ。それに、エドゥアルデさまと似ていない。
「クラリッセ、座れ」
紫のドレスの女性が、困ったように後退った。「わたしは……」
エドゥアルデさまがわたしをひっぱって、椅子へ座らせた。その後、自分も座る。それから、顔を背けたままクラリッセさんへ云った。
「サウニエーレ夫人、どうぞ」
クラリッセさんははじいったように顔を伏せ、お辞儀してから出ていった。侍女がふたり、それを追う。
陛下がふんと鼻を鳴らす。
「レディーヌも来るそうだ。その前に話をすませろ」
「聖女さまには二週間、宮廷で魔法を学んでもらい、その後化けもの討伐へ向かってもらいます」
エドゥアルデさまがとんとテーブルを叩き、従僕がからのゴブレットになにかを注いだ。「その際、新たに聖女護衛隊を編制し、聖女さまをまもって戦わせます。選出は僕に任せて戴きたい」
「お前のことだ。お気にいりを栄誉ある職務に就かせるつもりだろう?」
「陛下はすべてお見通しのようですね」
エドゥアルデさまが片眉を吊り上げる。陛下はまた、鼻を鳴らす。
「まあよい。あれが宮廷内をうろついていると思うと、胸が悪い」
「新しい装備や」
「差配はお前に任せる。上位コンバーターのことも、聖女をとったならかまわない。友人とやらも出陣するのだろう」
エドゥアルデさまは指を組む。「聖女さまは友人に戦ってほしくないそうです」
「不可能だ」
「そうであれば、聖女さまは我が家へはいると」




