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会食 1


 用意された椅子に腰掛け、じっと待った。従僕達は、なにくれと気を遣ってくれるが、運ばれてくるお菓子はクリームがたっぷりのもので、わたしは手をつけられず、すべて断るしかない。あたためたワインらしいものもすすめられたが、断った。

 官吏が戻り、エドゥアルデさまがお酒のはいったゴブレットをテーブルへ置いて立ち上がる。わたしも立った。ランベールさんはそもそも椅子に座っていない。

「陛下は、王太子殿下と聖女さまを、晩餐へ招くそうです」

「ああ……王室護衛隊隊長が任を果たし、報告をしたいようだが?」

「その件は王太子殿下に差配させた故、王太子殿下から報告をうけるとのことです」

「解った」

 エドゥアルデさまはあっさりひきさがり、わたしと腕を組んだ。「では行こう。ランベール、ソーライロル王太子護衛隊隊長へ、露の塔へ隊の数名をつれてくるよう伝えよ。そちらで陛下と食事だと」

「かしこまりました」

 ランベールさんが答えると、エドゥアルデさまは満足げにして、わたしをひっぱって歩き出した。開いた扉の向こうへと。

 たたらを踏んで、なんとか転ばずについていく。振り返るとランベールさんは別の扉を開けて出ていこうとしていた。なにかあってもランベールさんには頼れないようだ。


 わたし達は官吏の先導で一旦外へ出た。従僕がついてきていたが、赤紫の鈴蘭を模したブローチをつけた侍女と、金のたすきを掛けた従僕がやってきて、たすきを掛けていない従僕は居なくなる。エドゥアルデさまは、今度は侍女を追い払わなかった。

 その段階で、王太子護衛隊の選抜された兵が合流した。総勢四人だが、全員高校生か、下手をしたら中学生に見える。隊長は多分、馬車と食事の時以外はエドゥアルデさまと一緒に居る、赤毛のひとだろう。そのひとも、高校生くらいに見えた。

 すでに空はくらく、まわりを囲む従僕と侍女が手燭を持って、視野を確保してくれている。官吏は魔法で光を出していた。


 露の塔、というのは、例の白くてつるつるした素材でできた、大きな灯台のようなもので、中途々々に窓があり、らせん階段が顔を出していた。従僕達が扉を左右に開き、わたし達はなかへ這入るが、何故か、わたしとエドゥアルデさまだけが離脱した。エドゥアルデさまが手燭を持つ。

 らせん階段をのぼる。王太子護衛隊や、使用人達は、揃って別の場所へ行った。「これはね、聖女さま」

 びくっとしてわたしはエドゥアルデさまを見る。手燭の光でぼんやりしか判別できないが、笑っているみたいだ。「王家の人間しかつかえない階段なのですよ。それと、聖女さましか」

 使用人と王家で、はっきり区別していると云うことらしい。

 階段も白いが、滑りどめにだろう、細かい溝が掘ってあった。手燭と、壁に等間隔に配された燭台しか灯がないが、溝にできる影ははっきり解った。


 のぼりきる。王太子護衛隊、従僕、侍女、官吏、みんな先に着いて、待っていた。

 エドゥアルデさまはつまらなそうな顔で、そのまままっすぐ歩く。必然的にわたしもそうした。ほかは、立ち停まって、追ってこない。

 アーチをぬけると、途端に明るくなって、目が眩む。階段と比べたら、相当にあたたかい。上着を脱ぎたくなる程に。

「暫くぶりにお前の顔を見たな、エドゥアルデ?」

 どら声がした。


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