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トレジャーハンターの日記〜徳川埋蔵金編〜

 日付は7月31日を指している。私はカレンダーをめくった。今日から8月だ。絶好の洞窟日和だ。徳川家埋蔵金、永遠のように思えるネットサーフィンの結果、私はその隠し場所と思われる洞窟を発見した。万全の態勢を整え、重さ10キロはあるリュクサックを担ぎあげた。さあ、億万長者になろう。私は借金塗れの人生を精算するべくアパートを飛び出した。もう失うものは何もない。億万長者か、死か、だ!



8月1日、晴れ。

 目的の洞窟は南海の孤島にある。船に揺られること6時間、島に着く。この島は人口数十人の小さな漁村らしい。とりあえず今日は洞窟の下見に行く。港からは思ったよりも遠く2時間ほど歩いた。ここが、神が住む洞窟、通称「神穴」か。入口は想像よりも小さかった。ここに徳川家の財宝があるのか。今日はもう遅いので、近くでキャンプをする。今日のワタクシ82点。



8月2日、晴れ。

 今日は洞窟に潜るのには最高の天気だ。気温は非常に高く、洞窟に入るまでで、私は汗でダラダラになった。しかし洞窟特有のひんやり感がとても心地良い。今日は洞窟のマップ作りと、調査が目的だ。深入りはしない。映画とかでは欲張ったやつが死ぬからな。私は慎重に進むことにする。洞窟の内部は想像以上に広く、分かれ道がたくさん存在する。2時間ほど散策したのち引き返した。明日はもうすこしペースを上げよう。今日のワタクシ79点。



8月3日、小雨。

 朝から少し雨が降っている。でも洞窟にはそんなこと関係ない。どんどん進む。分かれ道の3本は行き止まりだった。あと蝙蝠に襲われた。今日は少しついてない。分かれ道が潰れた分、明日は本命のルートに当たる可能性がありそうだ。書きながらにやけてきた。もうすぐこの生活も終わる。今日のワタクシ66点。



8月4日

 やばい、どうしよう。とりあえず今日は寝る。今日のワタクシ0点。



8月5日、?

 昨日はやばかった。死ぬかと思った。洞窟を探索していたところ、変なテンガロンハットのおっさんが出現した。あれはビビる。神様かと思った。どうやら、彼はトレジャーハンターらしい。同業者だ。向こうもとても驚いていたが、一緒に協力しようと私に言ってきた。私は、最初はおっさんの胡散臭さに気が引けていたが、おっさんの洞窟を完璧に把握して言うかのような口ぶりと、完全攻略本かよ、って感じの冒険手帳に興味を抱き、おっさんと協力することにした。おっさんの名は「蔵田政宗」というらしい、名前が格好良すぎる。きっと偽名だ。私はおっさんへの警戒を怠らないようにして同行することにした。なんでも二人いないと進めないポイントがあるらしい。おっさんは「助かった、俺ラッキー。」とか言いながら道を先導した。調子に乗って「分け前は8:2な」とかアホなことを言い出した。普通折半だろう、とも思ったが、おっさんの手帳は魅力的すぎる。とりあえず従うことにする。

おっさんに支持された場所には、まるで宝部屋の入口のような豪勢な扉があった。どうやらこの扉は二人いないと開かないらしい。なるほど、おっさんが指し示す位置には二つのスイッチがある。おっさんが「踏んでみろ。」っていう。私は嫌な予感がした。おっさんに「何か荷物でも乗せればいい。」って言ったら、「すでに試したが反応しない、重さが必要だ。」って言われた。嫌だったが、おっさんがすっごい眼で睨んできたので踏むことにした。よく見たらこのおっさんものすごく筋肉質だ。さすがベテラントレジャーハンターなことだけある。踏んだ。天井が急激に遠ざかって行った。おっさんが「ありゃ、そっちがはずれか。」って言った声が聞こえた気がする。私は死を覚悟した。

 ところが幸運なことに下は水たまりだった。地底湖だ。私は急な着水にびっくりしながらも、陸地まで泳いだ。こんな巨大な地底湖が存在するとは。私は大発見に興奮した。が、少し周囲を見渡して気づいてしまった。出口が見当たらない。私は焦ってきた。上には戻れない。おっさんが助けてくれるわけがない。地底湖を泳いで向こう岸まで行くしかないのか。私は途方に暮れた。とりあえず今日は疲れたのでここでキャンプをすることにする。よく見ると人間の骨らしきものがそこら中に落ちている。ますます鬱になってきた。

っと、ここまで書いたのが昨日の出来事だ。今日は進展がなく。朝から日記を書いている。今日のこれからの事はまた後ほど記載する。





8月5日、続き。

 此処にいても飢えて死ぬだけだ。仕方なく湖を泳いで渡ることにする。向こう岸は入り組んでいて、よく分からない。もしかしたら岸がないかもしれない。私は恐怖と闘いながらも泳ぐことを決意した。最小限の荷物を持ち、湖を泳いだ。もちろん日記は濡れないようにビニール袋で保護している。途中洞窟の壁面に掴まって休憩しながらも私は1時間ほど泳ぎ続けた。高校の時に水泳をやっていてよかった。無駄に体力だけはあった。そして私はギャンブルにかったのだ。岸が見えてきた。そしてその先に続く道も。私は賭けに勝ったのだ。陸地に上がり焚火をする。とりあえず体が休息を欲しているので今日はここで休むことにする。本音を言うと、先に進むのが怖かった。出口がなかったら私は気が狂ってしまうかもしれない。今日のワタクシ95点。



8月6日、◎

 興奮して日記が書けない。手が震える。とりあえず先に書いてしまおう。宝を発見した。これは凄い。軽く見積もっても数百億は下らない。やりました。やりましたよ。億万長者ですよ。落ち着いてきたのでとりあえず今日の事を報告する。湖から離れ、洞窟を進むと小部屋に出た。部屋には他に道はなく、さすがの私もこの時は失禁しそうであった。しかし、部屋をよく調べると壁にスイッチがあることに気付いた。迷うことなく押した。そしたら天井が開き、縄梯子下りてきた。もちろん迷うことなく登った。登った先は小さな部屋であった。私は部屋から伸びている道を進んだ。迷うことなどなかった。戻るという選択肢はなかった。30分ほど歩いた。とてつもなく長い一本道だった。そしたらこの財宝の部屋に辿りついた。

金に輝く小判が山ほどあった。私は「こういうとき焦る奴は映画などでは大抵死ぬ法則」に乗っ取り、まずは出口の確保に向かった。正規ルートと思われる道から出て、しばらく進むと行き止まりに当たった。一瞬焦ったがよく調べると壁にスイッチがあった。私はここで小一時間ほど悩んだ。財宝を目前とした私は慎重になっていたからだ。他にルートがないか調べてみたが、どこにも無かった。私は迷った。とりあえず今日はここで休むことにする。もうすぐ大金持ちだ。今日のワタクシ100点満点。










8月7日、×

 目が覚めると小判の山が私を出迎えてくれた。私は夢でないことに感動した。だが、まだ油断はできない。映画などで実際に財宝を手にした者は非常に少ない。彼らは発見したのち失敗するのだ。とりあえず腹ごしらえをする。そろそろ非常食も、水も尽きてきた。あともって二日ほどだろう。私は迷いを振り払った。

 押すしかなかった。押した。ドドドドって音がして壁がスライドしていった。ホントに徳川家の洞窟か怪しくなってきた。スライドしていくにつれて向こうの風景が見えてきた。何か見覚えがあった。おっさんに落とされた部屋に似ている。ということは出口も近い。私は非常にテンションが上がってきた。が、壁がスライドしていくにつれて何か見えてきた。おっさんだ。いやがった。もちろんおっさんは壁のスライドに気づきこっちを見ている。目があった。似合わないテンガロンハットを被り直してニヤッとした。ものすごく邪悪な笑みだった。おっさんは「お、生きてたか、そしてありがとう。この扉どうしても開かなかったんだ。」と言いながら、こっちに近づいてきた。私はものすごく落胆した。こいつのことを忘れていたからだ。「宝はあったんか?」おっさんが聞いてきた。おっさんの眼はまさしくハンターの眼だった。私は嘘をつくわけにもいかず、あった、と答えた。宝を隠してこればよかったと思ったが後の祭りだった。おっさんに先導されて宝の元まで歩いた。同時にこの状況を打破すべき、脳がフル回転していた。私はおっさんを殺すしかないと考え始めた。

 宝を目にしたおっさんはすごくはしゃぎだした。気持ちはわかるが、冷めた目で見るとなんて滑稽なんだろう。「おい、運ぶぞ。」気を取り直したおっさんが、声をかけてきた。なるほど、この量を一人で運ぶのは大変だ。仕方なくおっさんと協力して大量の小判を運ぶことにした。そして心の中ではおっさんをどうやって殺すかを、ずっと考えた。4分の3ほどの小判を運び出したのち、今日は休むことにした。私は寝ている隙におっさんを殺すことにした。この後実行に移す。今日のワタクシ45点。



8月8日、晴れ

 おっさんを殺した。これで宝は全部俺のものだ。おっさんの日記を読むとどうやら向こうも俺を殺そうとしていたらしい。おっさんの死体は洞窟の落とし穴に捨ててきた。どうやら下は湖らしい。きっと見つかることはあるまい。苦節13年、ようやく俺も成功者だ。勝ち組だ。家族が待っている。帰ろう。どうでもいいけど最後にケチがついた。おっさんの死体を捨てる際にウエストポーチを落としてしまった。たいしたものは入ってないから別にいいけどね。


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― 新着の感想 ―
[一言] 先生、トレジャー・ハンター、読ませてもらいました。素人丸出しにして、どこまでも楽天的?な、主人公のキャラが、よく、でています(笑)日記の形式って、深刻風味なものが、多いけど、こんな使いかたな…
2009/03/29 20:03 退会済み
管理
[一言] 文章内のコメディーが面白かったです。日記形式だったのも、新鮮に感じました。
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