⒏紅葉の気持ち
俺と結心が付き合って半年が過ぎ、俺たちは受験または就活の年になった。
もうすぐ3年生になって1ヶ月。5月に入る。その中に世間の大連休が待っていてその最終日は俺の誕生日だ。付き合って初めての誕生日、彼女はどうやって祝ってくれるのか。
きっと彼女はまた俺を落として上げるのだろうか。彼女はまだ悩んでいるようだ。
「・・・うーん。」
「どうしたの結心?」
「愛莉・・・その紅葉の誕生日がもうすぐなんだ。プレゼントどうしようかと。」
ほら友人達に相談してヒント得ようとしてるみたい。だけど、求める答え出てくるとは思えない。
「 ・・・そんなの結心がくれればなんでもいいんじゃない?」
「その通りだとおもうけど・・・。」
おっしゃる通り、結心がくれるならなんでもいいです。なんならあなたが欲しいと言いたい。あまり求めた答えではなかったのか、さらに悩んでいるようだ。
その日の夜母親からの電話で似たようなこと言われたのか、また悩んでいる。そして気のせいか、恥ずかしそうにしているようにしているように見える。その様子を見ているだけでホッコリとする。なんでもいいのに。と思いながら、悩む結心を見るのがとても楽しくて、ずっと眺めていられるような。
「もう!さっきから何、ずっと見て」
「・・・別に?お前といれるだけで俺はなんでもいいけど?」
悩んでいる彼女に助言すれば何を用意してくれるだろうか。助言のつもりだったが、彼女はちょっと照れ顔が気持ち紅く染まったようだが、顔は怒っている。
俺の事で大いに悩んでくれ。俺の事で頭がいっぱいでいてくれればいい。
そうして決まっていなさそうなままいつの間にか大連休に入った。実は連休中も部活はある。最後の2日は休みだが。
彼女が決めていなくてもこっちにも計画がある。2日間の休みの前日までになんの進展ないならちょっとした遊びを持ちかけようと思う。
「・・・ねぇ、連休最後の2日、空けといてね。」
「うん。もちろん。」
「・・・期待してもなんもやらないけど。」
今から始まってるのか落として上げる。口調がとても荒々しい。それでもいいか。この今日からしばらく落とされ続けられるんだろうな。
落とされるの俺が嫌いなの知っててやるんだから、酷いやつだ。だが、それだけ持ち上げられた時の返しは物凄く愛に溢れているんだと実感したから、覚悟して落とされ続けよう。
思った通り、連休中はめちゃくちゃに落とされ続けた。だけど彼女は少し恥ずかしそうに俺を落とし続けているその姿も可愛くてもうなんでもよい。
「紅葉、行くよ。」
「あ、おう。」
約束の日。まだまだ落とされるのは続くのか、口調がよろしくないらしい。
「あれ、欲しい。」
「・・・はい。」
結心さん、誕生日の人に買わせるんですか。明日ですけどね。これが本音。けどこれも何かの作戦の一部と言い聞かせて結心の言うことを聞いている。
そんな感じで一日中振り回されて色々と頼まれて買わされて。でも、結心と居られるならなんでも良くって一緒に旅行出来ることが嬉しかった。
「・・・ねぇ、ここ探して?」
「・・・ん?ここは・・・もうちょい先だろ。」
「え、そうなの。どこよ?」
意外とこいつ方向音痴だったのか。いや、薄々気がついてはいた。教えたはずの家のルートもしばらく覚えなかったっけ。まさかとは思っていたけど、方向音痴だったとは今気がついた。
そしてその方向音痴を気に少しばかし持ち上げ始めたのだろうか、なんとなく優しくなった気がする。
「ゆい、ここだよ。旅館だけど、泊まるの?」
「・・・そうだよ。文句ある?」
「いや、全くありません。」
優しくなったきがしたが気のせいか。少々怒り気味で反発された。この反発の仕方出会った頃のようだ。
「予約した・・・あ、黒崎です。」
「はい。2名様ですね。お部屋は、た202号室です。ごゆっくり。」
「はい。ありがとうございます。」
ん?気のせいでなきゃ俺の名前で予約している?そして部屋は一部屋・・・。
指定された部屋へ歩く結心の後ろをついて行く。しばらくしてついた部屋に着いて気になったことを問いかける。
「・・・なぁ、部屋。俺の名前で予約したの?」
「・・・そうだよ。文句ある?」
「いや、無いけど。」
無いけど、何で俺の名前で・・・。その言葉は続けられなかった。結心のまだ落としの計画中、それ以上の質問は受け取らないと圧をかけられているようだったから。
いつまで続くのか落とし作戦。そんなこと思いながら、旅館の風呂に入って、部屋まで運び込まれた夕飯を食べ、その間も命令口調な結心様は、日付が変わる直前まで、ひたすらにこき使いまくり。ちょっとさすがに落ち込んできた。もうすぐで日付が変われば俺の誕生日。そろそろ優しくして欲しいんだけど。もう変わる頃には寝ている。忘れてんのかな。ちょっと落ち込む。
酷い結心が気になって寝れやしない。一応布団は2枚引いてあり、別に寝ているのでいつもより遠いいしさっきから布団に潜り込んで顔も見せてくれない。
あと5分・・・。4分・・・。3分・・・。2分・・・。ちょっとは期待していたのに結心に真っ先に祝って欲しいのに。と思いながら、心の中で1人カウントダウン。
布団に潜り込んで何してんのかな。めくっていいのかな。そろそろ本当に寂しい。
あ、日付変わった。祝って貰えな・・・い?!
日付が変わった瞬間、結心がガバッと布団をめくり、俺の方にくるっと向いて万遍の笑みで彼女は言った。
「紅葉、お誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう。大好きだよ。」
「・・・っ!!・・・ありがとう。」
「・・・紅葉って涙もろいね?」
言われてみればそうだ。また泣いている。でも、俺は結心が嬉しいこと言ってくれるから泣いちゃうんだ。
「・・・うるせぇ。お前のせいだ。」
「うん。・・・だから紅葉、プレゼントは私をもらって。」
「・・・本当にいいの?」
彼女の言うことに耳を疑った。聞き間違えかとさえ思った。でも確かに俺の求める答えを言っている。
「いいよ。良くなかったら言わないよ。」
「・・・ゆい、ありがとう。」
「・・・か・・・えで・・・っ・・・」
結心がくれたプレゼントは最高に嬉しかった。感謝したあと、いつもベッドでしていることよりも激しく結心を求めた。
「・・・ごめん・・・優しく出来ないかも。」
普段しないこと・・・、結心の言う通り貰った。思う存分結心を堪能して満足して、結心も満足させて・・・って俺の満足のために結構無理させちゃったけど、2人で抱き合って寝ていた。
起きると結心が嬉しそうに眺めていた。
「・・・なんだよ。」
「ふふ・・・おはよう、紅葉。」
「・・・ん、おはよう。」
毎日朝言っていることなのに場所が違うとこんなにも違うのか、何だか変に緊張して照れる。いつもなら先に起きている結心が隣にいることがないからだろうか。
「・・・起きてご飯食べに行こう。」
「・・・うん。でもその起こして?」
「?あー。もしかして俺のせい?」
結心がこくりと頷いた。ちょっと激しく求めすぎたかなと反省しつつ、起こして食事取りに行った。
お昼まで旅行先を堪能して明日からまた学校なために帰宅路に着いた。夕方我が家につくと当然のように居座っている、結心母と父。ご馳走を作って待っていた。
俺はこんなにも誕生日が楽しいと思う日は初めてだ。結心を好きになって良かった。
「・・・ありがとうございます。こんな楽しいと感じたのは初めてです。」
「良かったわ。喜んでもらえて。」
こんなに俺は幸せでいいのだろうか。幸せすぎて毎日が疑いの連続だ。こんな幸せな誕生日は生まれて初めてで、こんな幸せは結心と一緒でないと味わえない。いや、味わいたくないなと思う。
結心の両親は俺の誕生日を祝うだけ祝うと車で家へ帰って行った。
明日からまた学校で勉強漬けの日々を耐えられる気がする。
今度は結心の誕生日を俺に幸せを味わせてくれた、結に幸せを分けて挙げられるように楽しい計画考えないといけないなと俺は密かに思った。