7.関係、結心目線
紅葉と付き合うようになってもうすぐ半年。そしてもうすぐバレンタイン。
私はバレンタインに『紅葉との関係をバラす計画』を実は立てている。紅葉にも内緒で。
「バレンタイン誰に渡す?」
「もちろん黒崎くん。」
「・・・同じく!」
女子の会話はそんな声が聞こえてくる。紅葉だけでもない。三島くんの声も上がっている。彼らはイケメンの部類に入るらしい。
男達もあからさまに2月に入ってそわそわしながら意識しているのが丸見えだ。
「結心ぉー!今年もやろう!バレンタイン作成!」
「・・・愛莉、やろう。八重桜もしよう!」
「うん、もちろん!」
愛莉の提案で女3人で作成することに。それに男達の反応が見えた。
「今年も結心の家でOK?」
「あー、ちょっとダメなんだ、今年は・・・。」
「・・・え、そうなの??」
今は結心の家は紅葉と住むアパートで、前あった有栖川家は売りに出され別の人が住んでいる。なので現在『結心の家』となると紅葉もいるわけで『バレンタインにバラそう作戦』が崩れてしまう。だから何がなんでも避けたい。
「・・・うん。ちょっとどうしてもダメなんだ。」
「・・・そっか。じゃあどうしよう。」
「愛莉ちゃん、アリス、ウチの家大丈夫だよ。」
八重桜の一言はまさに救世主!バレンタイン前に彼女達にバレるところだった。
今年のバレンタインは3人で友チョコ作成して、あと紅葉が居ない隙に家には別のチョコを作成して、1人で計画をねっている。
「・・・マジか!じゃあやえちゃん家で。」
「了解!ありがとう八重桜!」
「うん、じゃあ待ってるね!」
そわそわ男子に聞こえるようにわざと愛莉は言うんだ。自分で言うのもなんだけど、男子からは結構人気のある3人組なんだ。紅葉程ではないけどね。
思わせぶりな行動して落とす作戦だと愛莉言っていた。
「やえちゃん、今年は?幼なじみくんにまたあげるの?」
「うん、そうたに期待してるって言われちゃったし。」
「・・・いいなぁーあげる人いて。ね、結心。」
そんな会話をしながら毎年同様作成してお互いに交換して友チョコを渡しあった。さらに残ったのは仲良くしてる男に義理で渡すと決めた。
バレンタインの朝、わざと他にはないと紅葉に嘘をつき、家にあったチョコレートお菓子しかやらずに、こっそり隠してあった紅葉に挙げるチョコをカバンにいれて出た。そう、計画は朝から始まっている。
学校に行くと紅葉は思った通り、下駄箱を開けた時から既に数個のものがあり、教室に行く途中でも女子が渡す子もいれば、あからさまにそわそわ。
私の計画はこうだ、誰でもいい明らかな呼び出しをして紅葉を連れていく女子が居たら時間差で着いていき、こっそり持ってきたチョコを投げつけるように渡す。それで独占めいた言葉かければ紅葉何か察して付き合ってることを話してくれるだろうと考えている。
「・・・三島くん、はい。義理だからね?」
「はいはい。ありがとう。」
「・・・紅葉も居る?あ、要らないか、占いじゃ信じない人に挙げるのは良くないと言ってたしなぁ。」
怒って「いらねえ」言った。朝からずっと怒らすようなことしかしてない。でもそれも作戦のうち。
きっとそろそろ・・・ほら来た。紅葉を呼び出す女子が現れる。意外と素直についていく紅葉を時間差で友人達には「ちょっとトイレ」と言って追っかけた。
失いそうになったけど、校舎裏へ行くとやはり、こちらを背に向ける紅葉とその前に呼び出した女の子。少し近づいて物陰から聞き耳を立てると、
「・・・あの!黒崎くん、好きです!私とお付き合いしてください!」
「・・・・・・ごめん。気持ち・・・いでっ!?・・・はぁ!?なんだ・・・?」
告白されていた紅葉。必死に告白して少し彼女が目を逸らした隙に思いっきり、後頭部めがけて紅葉のために作ったチョコを投げつけた。慌てて当たったものをキャッチしながら不思議がる紅葉の視界に入ると、
「・・・紅葉、さっき挙げないって言ったのは嘘だよ。占いって話も。それが私の気持ち。受け取ってくれるでしょ?」
「・・・はぁ!?何なんだよ。朝から怒らせるようなことばっか・・・あぁ、なるほどな。えーと、そこの君。」
私の思惑を理解したのか、彼は告白してきた女の子へ声をかけた。名前は分からないらしい。と言うか覚える気が無い。
「・・・は、はい。」
「・・・俺さ、こいつと付き合ってんるだ。こいつが1番大切な奴で好きな人なんだ。・・・だからゴメンな。」
「・・・そうなんですか。わかりました。」
女の子は一瞬驚いた顔をしたが、スっと笑った。
紅葉が私のことを示して断った。計画通りここまではOKだ。この後、噂が広まる算段だが、果たして上手くいくのか。
「・・・なぁーなぁ、結心。これは受け取るけど、朝から嘘並べて酷いんじゃねーの?俺がそう言うの嫌いなの知ってるよなぁー?」
「・・・悪かったとは思って・・・っん?!」
嘘を並べすぎた。彼を怒らせたようだ。唇を奪われ、長く吸い付かれるように中々離してくれない彼。まだ振られた女の子もそこにいる。なんならちょっと離れたところに他の女の子達もいる。
「・・・ぷはっ・・・紅葉!」
「・・・何だよ。こうやってバレる計画だったんだろ?考えてること丸見え。」
「そうだけどっ!ここまで求めてないよ!もー、ばかえで。」
計画の全容まで話してないのに丸見えなところ流石というか。これで周りでたまたまかもしれないが見ていた女子が慌てて去って行くし、告白していた女の子も慌てて離れていく。
「でもこれでいいんだろ?それと、これからは隠さなくていいんだ。」
「・・・うん。」
2人で戻る間に瞬く間に、付き合っていると言うことが広まった。すれ違う人も噂話のようにコソコソとしている。
教室に戻ると友人達に囲まれる。
「あっ!ねぇ!2人って付き合ってたの!?」
「・・・うん。」
「嘘でしょ?!いつからよ。」
興味津々で問い詰められる。特に愛莉が。それに乗っかるように八重桜も三島くんも。
「・・・5ヶ月たったよね?」
「そうだな。今日でだろ?」
「・・・うそぉー!そんなたってんの?!全然気が付かなかった。やえちゃん気づいてた?」
愛莉に問われ、八重桜は首を振る。三島くんも続いて振り。イツメンにすら知らされてないと分かるとさらに問い詰められる。
「あんな喧嘩してたし、5ヶ月以内も前と変わらずだったのに。」
「・・・喧嘩するほど仲がいいってやつ?」
「じゃあさ、5ヶ月前って結心が事故った時?」
いつの間にか仲の良い友人だけではなくクラスメイト全員近づいてきていて聞き耳を立てていて、全員に問いただされているような・・・。
「そう。事故のその日かな?いいんだよね紅葉。」
「・・・うん。その日だったね。」
「・・・何何、ちょっともっと詳しく教えなさい。」
紅葉は話さない気だろうか、たぶん泣いていた事とか、紅葉の過去のことも、告白の内容については伏せて置いた方がいいだろう。
一通りこんな感じと言う、ざっくりとした説明でしてみるとなんとなく理解しただろうか分かってはくれたようだ。
「事故った後で目覚めてから、紅葉に告白されて、私も気になってたから付き合った。」
「・・・そういう事ね。そう言えば、事故後からずっと一緒に登校してたよね。それって付き合ってたからってことなんだね。」
「うん。相変わらずだったのは紅葉が占い信じないからだよ。」
相変わらず、紅葉は信じない。でもただ結心のことだけは信じるようになった。結心こうだよと言えばたとえ占いが言っていたことでも信じるようにはなった。
「・・・いや、お前が信じすぎなんだよ。」
「紅葉、私のことは信じてるくせに。」
「・・・うるせえ。」
ちょっとした友達は差し置いて言い争い。けれど、もう隠さなくていいならからかってやったら折れるのは紅葉の方。これは変わらないと思う。
「・・・めっちゃ実は仲いいじゃん。」
「ほんと、羨ましいくらいにな。」
友人達も羨ましがるほどたぶん仲はよい。それは言えている。喧嘩するし、普通にすぐ仲直りはするけど。
「・・・あ、そうだ。家ダメって言ったのも関係してる?」
「うん。ちょっと訳ありで。愛莉部活は?八重桜も。」
「ないよ。どうして?」
何故友人達に聞いたのかは私もちょっと無意識だった。勝手に言ったが、家の主は紅葉だ。
「うち、に来ていいよ。来てくれればもうちょっとと詳しく話す。」
「・・・え、まじいいの?」
「うん。もちろん。」
2人にはもうちょっと詳しく話したい。けど、このクラスメイト全員が聞いている状態ではこれ以上話したくない。
紅葉は何か察してくれただろうか。さっきから何も答えないが私の気持ちは理解してくれるだろう。
放課後、愛莉と八重桜を連れてまずは5ヶ月前まで住んでいた家へ。当然そこは別の人が住んでいる。
「・・・あれ?ここじゃないの?」
「うん。ここだった。けど今は別の人が住んでる。今の家着いたら詳しく話すから来た道Uターン。」
「・・・え、なにわざとこっち来たの〜」
ただ今の家へ来たって信用性がないと思ったので、先にそっちへ行くと、今の家の方へと向かった。そこは当然事故のあった道で、紅葉は何がなんでもそこを通らせないようにしていたが、それは今居ないので内緒。
そうして家に着くと2人を招きいれた。
「もしかして、黒崎と2人で住んでる?」
「・・・さすが愛莉、察しがいいね。そう。詳しい理由は話すから座って。」
愛莉は割と察しが良くて、話す前から紅葉と住んでいる家だと分かってくれた。それから2人にお茶をだし、話すことにした。
「ここは、もともと紅葉1人で暮らしてたの。私は居候。」
「・・・居候っていうか同棲でしょ。」
「・・・まぁ。偶然事故のあった日に紅葉に告られてそれを聞いていた母親が、父親の転勤が決まって引っ越すけど、紅葉の家に結心は住んじゃえ。って。」
話すと、衝撃的なことだと思う。なんてことを母親は言ってんだと。
「えぇぇー!まじ?それ、母親公認なわけ?父親は?」
「両方公認。娘と電話より、両方紅葉と話す方が楽しそうなの。」
「・・・何それ。なんか羨ましい。親にもう認められた恋って。」
確かにそうだ親に認められたこの恋ってすごいと思う。でもまだ詳しく話していない、紅葉の過去に関係することが告白に含まれていることを話すべきか。
「・・・実はさ紅葉が・・・」
「はい、それは話すの禁止。八重樫と佐渡いらっしゃい。」
「・・・あ、黒崎くん・・・。お邪魔してます。」
いつの間に帰ってきたのか、いきなり後ろから口を塞がれた。
「紅葉、おかえり。早いね。」
「・・・ただいま。お前今俺の事話そうとしたろ。自分のことだけ話してろよ。」
「えーなんで?」
自分のことを話されるのは誰もいい気しないが、紅葉は相当嫌いらしい。
「・・・なんでもだよ。お前だけ知ってりゃそれでいいんだっつーの。余計なこと話すなばーか。」
「・・・仲良しね。私達はそろそろお暇するわ。」
「うん。そうするよ。アリス達のこと知れて良かったよ。仲良くね。」
2人は、そう言って帰って行った。彼女達が帰った後で、彼にいろいろと問い詰められた。何を話したのかそういうこと。嫉妬深い彼はすべて話すまで離してくれない。
話し終えた時には寝かしつけられている時点で彼に安心しちゃっている私はどれだけ、彼に甘いのだろうか。
そして、彼は私が寝てしまったあと、母達と話していた、そんな事実は後日知ることになるとは思わなかった。内容がすべて私の秘密やら小さい時の話しやらだったなんて、恥ずかしすぎて死にそうだ。