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⒌結心目線

あれから2週間ほどたち、運がついてた日でもあったのだろう、怪我はほとんど良くなっていて、手の怪我と足を骨折が治ってないくらい今日退院出来ることになった私の所には紅葉1人しか来ていない。いや、母親の言う通りという所か。


「・・・はい。服着替えろよ。」

「・・・うん。」


何故紅葉が服を持ってるのか、しかも結構センスがいい。


「・・・ねぇ、向こう向いててよ。」

「あぁ、そうだな。」


素直に向いてくれた隙に着替えを済ませるつもりでやろうとするが怪我した手で着替えるのは不自由すぎて着替えられない。


「・・・なぁ、手伝おうか?全く着替えられてないけど?」

「こっち向かないでよ。」

「・・・うん。でも全然進んでねぇし。」


恥ずかしいから1人で着替えようとしたのに振り向いちゃった挙句手伝ってくる彼。自分の手が止まってしまう。

結局、紅葉に着替えさせられてしまった私はたぶん顔が紅く染まっただろうか。


「・・・よし、準備が出来たし帰るぞ。」

「・・・うん。でも私歩けないからあれ取ってよ。」

「あぁ、だから乗れよ、おぶって行ってやるし。」


足を怪我している私はまだ歩くことができない。そんな私を彼はおぶって行くと言った。松葉杖もあるのでそれを使えば歩けるのに彼は乗れと背中を向ける。


「え、でもあれがあるじゃん。」

「・・・知ってるよ。おぶって行ってやるって言ってんだろ。お前は黙って乗っとけ。」


実は優しい彼だけどちょっと私には口が悪い。だけどその中に優しさがあるみたい。

お言葉に甘えて乗っかり、おぶられて病室を後にした。退院の手続きもそのまま彼がしてくれて病院から出るとタクシーが止まっており、それに私を乗せ彼も乗ると、彼の家の住所だろう、行き先を伝え車が走り出し見慣れた風景をすぎ、たどり着いた場所はやはり彼の家のようだ。


「・・・ありがとうございました。おい、ゆい降りるぞ。」

「・・・うん。ここは?紅葉の家?」

「あぁ、乗れよ、ほら。」


また彼におぶられてアパートの階段を上り、1番奥の部屋の前に着くと鍵を開け入って目にしたのは意外と綺麗にされている玄関。今日から暮らす家だ。

さらに奥へ進むとダイニングキッチンがあり、彼にダイニングにあるソファに座らされて周りを見渡すと見慣れたものがある。


「・・・紅葉、あれ私のモノ?」

「あぁ。お前の母さんがな、ゆいに内緒で取りに来いって言われて取ってきた。」

「・・・そう。それと、紅葉。料理一切してないでしょ?」


ビクッと顔や身体が反応したのが分かった。図星のようだ。


「・・・なんでわかった。」

「みりゃ分かるでしょ、そこ。きれいすぎるもん。私が作るよ。」

「・・・その手の怪我治るまでは俺がさせねぇ。俺がそれまではやる。」


そんなこと言って私を動かさない気の彼。気のせいか、前より彼は優しくなったと思う。本当は相当優しいのだろう。


「・・・わかったよ。紅葉出来んの料理。」

「あぁ、一応な。」


紅葉は1人でいいとか言っていただけはあるってことか、器用でなんでもこなせるらしい。

料理もやってこなかっただけで実は物凄く様になっていた。私も今は紅葉がいないとほとんど何も出来ないから助かる。


「結心、黒崎おはよう!結心ぉー心配したんだよ、大丈夫?!」

「・・・愛莉おはよう。大丈夫だよ、」

「なら良かったよー!事故ったって聞いて心配でさ、見舞いに行くのも病院どこか知らなくて行けなくて、」


2週間ぶりに学校へ行くと愛莉にそう言われ、紅葉を見ると知らん顔して歩いて行こうとする。


「紅葉、教えなかったの?」

「・・・聞かれなかったし。」

「・・・え、黒崎は知ってたの?!」


あ、まずそこからだったのか。紅葉は聞かれなきゃ答えないそうだよね。私の携帯は事故で使えなくなってしまったから連絡手段もなく、紅葉も言うやつじゃないからそりゃそうだ。


「あぁ、事故の時近くにいたからな。」

「えーなら聞けばよかったー。結心に連絡出来なかったし。」

「・・・ふふ。愛莉ありがとうね、心配してくれて。そうだ、携帯事故で壊れたから新しくしたの連絡先教えるよ。まだ、紅葉とママしか入ってないんだ。」


そう、変えた新しい携帯。紅葉が買ってくれたため機種は全く同じもので色が違うくらいで、まだ紅葉とママしか居ない。ママは紅葉の連絡先にあったからでほかは誰もいなかった。


「・・・なんで黒崎の方が先に入ってんだ。それになんで仲良く2人で登校してきてんだ。」

「・・・まぁ、いいじゃん。その理由はおいおい話すとして。」


上手く話を逸らして連絡先を交換すると話はそれて事故のことについて詳しく話したり、完全にそれた話に安堵した。事故をきっかけに紅葉と恋人同士になったと言う話は避けて色んなことを話した。だって、あんな可愛かった紅葉のこと話したくないもの。

愛莉としばらく話していると八重桜も来て心配しててくれていて、紅葉が知ってたらしいと愛莉が言うと彼女も愛莉と同じ反応を示した。八重桜にも連絡先を教えて2人と話し込んだ。


「あ!アリスちゃん、おはよう!大丈夫?!」

「・・・三島くん、おはよう。大丈夫だよ、」

「良かったぁー。連絡出来なかったから心配したんだよー。」


三島くんも心配しててくれていたんだ。持つべきは友達だな・・・って言うか、三島くんが連絡と言った辺りから紅葉の視線が痛い。事故に会う前は紅葉の連絡先は知らなかったのに三島くんのはしていたことに腹を立てているのか、「お前、三島の連絡先は知ってたのかよ」とでも言ってるかのようにチクチクと。ごめんなさい知ってました。心の中でもそう呟く。

いきなり、後ろにいた紅葉にグイッと首のあたりを捕まれて引っ張られると、耳元で、周りにいる友人達には聞こえないくらいの小さい声で、


「・・・三島には教えるなよ。」


と囁かれる。すると直ぐにパッと手を離した。そして何食わぬ顔でいる。告白してきた時も思ったが、紅葉はだいぶ独占欲が強めだ。教えないにしてもどうやって誤魔化せと言うのだ。そんな思いが、顔に出しただろうか、紅葉が口を開いた。


「・・・ゅ・・ゆいこ、このメンバーのグループ作ればいいだろ。」

「・・・そっか、そうしよう。愛莉お願い。」


愛莉にやってもらってる間に紅葉の方を見ると顔を逸らそうとしている。やはり、気のせいではなく彼は“ゆい”と言おうとしていた。彼は、母親と話したあとから“ゆい”と呼んでいる。だからついいおうとしたが、訂正したのをみんなにはバレてはいない。みんなが携帯に集中してる隙に紅葉の頬に軽くキスして「バカ」といい何食わぬ顔で愛莉達の話に参加する。


「・・・あと、クロだけだぞ、グループ入ってないの。・・・つーかどうした、顔赤いけど?」

「・・・なんでもねーよ。」

「ふーん?よしこれでみんなと話せるね。」


顔を赤くしている紅葉を見てクスクスと笑う。意外と可愛ところがあるのだ。こんなコソコソとしたやり取りなのは、紅葉がみんなに付き合ってることをまだ、バラしたくないらしく、内緒で今はつきあっている。だから最近「ゆい」と言い出したことも、実は同棲してることも全部内緒なのだ。けど、内緒の付き合いも私の怪我が全て完治するまでと言う約束なのだ。


「そうだ、愛莉。授業のノート見せてよ。紅葉に見せて貰おうとしたら使いもんにならなくて。」

「悪かったな使い物にならなくて。」

「まぁまぁ、いいよ、見せるよ。」


紅葉は使い物にならないどころか一切書いていないので使えない。テスト前に提出があると言うのに。

放課後、愛莉にノートを明日返すことを約束に借り、部活に行く彼女と別れた。


「結心、バイバイ!また明日ね!」

「うん、バイバイ。」


クラスのみんなが部活や帰宅して居なくなった静かな教室で愛莉に借りたノートを写す。怪我で1人で帰れないのと、紅葉が居ないと家に入れない私は待っているしかないのだ。紅葉は部活に行ってしまっているので遅い。だからこの時間に全部写してしまおうと思っている。


「・・・相変わらず愛莉は字が上手いわ、わかりやすいし。」


わかりやすいノートでスラスラとすぐにでも写せる。まだ腕の怪我も本調子ではない為時間はかかるが、今日中には出来そうだ。紅葉が戻ってくるまでにはほとんど終わりそうである。

スラスラと半分くらい写した辺りからだんだんと眠たくなって気がつくと眠りについていた。


「・・・ゆい、起きろ。」

「んー・・・。」

「・・・ゆーい。起きろって。」


まだ覚醒しきれていない結心に紅葉は軽くキスを送るがまだ起きる様子もない。少し深く激しく?唇を奪ってやると息苦しさに目覚めたか、抵抗して逃れようとしてきた為離すと、苦しそうな息を吐きながら恨めしそうな目を向けた。


「・・・なかなか起きねぇからだからな。帰るよゆい。」

「・・・バ・・・紅葉。」


紅葉のキスで目覚めると荷物をまとめバックに詰め、背負い松葉杖を手に立ち上がろうとしたが、松葉杖は彼の手にあり、差し出された、その手を掴むとグイッと引っ張られ、立ち上がった。


「・・・さて、帰るか、ゆい。」

「・・・うん。」


軽くまたキスをされ、松葉杖を渡され彼が先に歩き始めあとをついて行くように追いかける。


「ゆいー。お前今日何食べたい?」

「・・・オムライス。」

「・・・オムライスね、材料買って帰んないとなんもねぇから買うか。」


紅葉と共にスーパーにより、オムライスの材料を買いたし、家に帰ると紅葉が適当に私の部屋着を出してくれて着替えている間に色々家事をすませてくれていた。彼は割と効率が良い。着替え終わった頃合を見計らって戻ってきて制服を掛けてくれたりと結構気が利く。

彼も着替えると、私のリクエスト通りに美味しそうなオムライスを作ってくれた。紅葉らしくないメッセージ付きで。でもこれがまた美味しくてぺろりと食べてしまう。


「・・・ごちそうさま。」

「・・・ん。で、結心さんお風呂にでも入りましょうか。」

「・・・え、紅葉と入るの。」


さすがにもう、ここに来て何日か経っていて、一緒に入ることはあったが、未だに恥ずかしいので慌てて言うと彼は、


「・・・そうでないとお前どうやって入るつもりだよ。その手と足で。」

「・・・あ。」


最もな答えを返された。確かに治ってきてるとはいえ腕の怪我も本調子ではなくまだ包帯がぐるぐる巻きの状態の両手は取ることは許されていない。従って1人では入れないという事だ。


「・・・ばーか。いくよ。」

「紅葉〜!嫌だよ・・・。恥ずかしいじゃん。」

「・・・うっせぇよ。仕方ねぇだろ。観念しろ。」


理解した私を軽く抱き上げ、手と足にビニール袋を巻かれ一緒に入ることに。問答無用で洗われ強制的に入れられてしまった。

そして寝るのも一緒。当然か、寝るのは退院した日からだからもう慣れたが風呂だけはさすがになれない。

恥ずかしさに堪え、入ってしまった後でもそれは抜けないでいると電話が鳴った。紅葉の携帯の方だ。表示されるディスプレイを見ると私の母親であった。紅葉は私を洗って追い出したあとで風呂に自分が入っているから当分出てこないため、母親だし、いいだろうと出るといつもの陽気な声がした。


「・・・もしもし、ママ。」

『あら、ゆいね。紅葉くんは?』

「・・・風呂入ってるよ。」


この電話どっちが出ようと関係ないのだ。適当に私か紅葉どちらかの携帯に気分でかけて両方と話すから。ほとんど掛けてくるのは紅葉の方だけど。


『そう。またゆいは洗われて追い出されて待ってんのね?』

「・・・その言い方嫌だ。」

『ふふ。それで?ゆいの秘密にしてること話したの?』


一つだけ紅葉に話してないことがあるそれは、紅葉も何かは分かってないが秘密があることはバレている。


「話さないよ!・・・恥ずかしいじゃん。」

『恥ずかしいねぇ、紅葉くんにはバレてそうだけどね。あの子鋭いから。』

「・・・そうだけど・・・ってわぁっ!紅葉いつの間に!」


母親との話に集中している間に紅葉が出てきていてしれっと目の前に立っていた。


「今だよ。・・・俺の携帯じゃんそれ。まぁ、いいけどお義母さんみたいだし。」

「かえ・・・でっ!?」

「・・・・・・何?話し続ければ?」


名前を呼ぶ前に、紅葉に軽く押し倒されてソファに倒れ込んだ。何をする訳でもなくただキスだけして少し冷た目に言うと、ソファに腰掛け上半身裸のまま頭を拭きだした。


『おーい。親の前でイチャつきかい?』

「・・・あ、いや、、」

「・・・いちゃついてはないですよ、ちょっとキスしたら結心が動揺しただけです。」


まだ、見慣れない紅葉の裸とキスされたことに動揺して言葉を失っていると変わりに携帯を取って答えてしまい、その後はしばらく楽しそうに話し始めてしまって、少し親に嫉妬心を覚えた。先程の仕返しと起き上がって胸元にキスをした。跡のつくくらい少し強く。少し驚いたようだが受け入れているようだ。実は夜な夜な紅葉に同じことをされているのでいつものお返しでもある。


「・・・結心が嫉妬してるみたいなんで切ってもいいですか?はい、ちゃんと約束は守ります。はい、さよなら〜。・・・で、結心さん。さすがにこの跡、服によっちゃ見えるんだけど?」

「・・・だってぇー。」

「嫉妬した?・・・ゆい、同じところ付けてやろうか?ゆいは変わらねぇよな?1つや2つ増えたところで。なぁ?」


少し怒っているのだろうか、ちょっと口調が荒くなった紅葉。こうなった紅葉は少々、たちが悪くしばらく離して貰えそうにもない。


「・・・あ、かえで・・・ごめん。許してよ。」

「うーん、どうしようかな。同じところはやめるけど、別の場所だな。」

「かえでぇー・・・見える所はやだよ。」


同じところだと周りに何か怪しまれるとふんだのか、別の場所と言い出した彼は、満足するまで終わらない。


「・・・よく言うぜ、俺には見えるとこに付けといて。」


やっぱり口が悪い。けど、私の言う通り見えるところにはしない。一通り堪能するとパッと離してくれた。


「・・・ゆい、佐渡から借りたノート、写すの途中だったろ。」

「・・・あ!そうだ!写さなきゃ。ってか、なんで途中なこと知ってるの。」

「何でってお前が寝てた隙に見たよ。起こす前に。」


紅葉に言われて思い出すと彼に差し出された私のバックからノートを取り出し取りかかった。紅葉は結心のことをよく見ている。だから一通り堪能してやめたのだろう。けれど途中って分かっていたからと言うだけの理由ではないであろう。健全な男子だ、好きな女に欲情が無いわけなかろう。これ以上すると抑えられなくなると言う境でもあるのだろう。それを抑えているのは確かだ。


「ゆい、因みに明日事後検診な。」

「・・・ん。わかった。紅葉は?」


わたしは手は動かすが耳は紅葉の言うことに傾けていて、紅葉はまだ濡れていた私の髪と自分の髪を乾かしながら話しかけてくる。


「・・・俺?もしかして一緒に来てほしいってか?」

「ち、ちがうよ!紅葉がどうなのかなって。」

「・・・俺は特になんもねぇよ?一緒に行ってやろうか。」


書いていた手が止まる。彼もまた手を止める。見上げる形で彼を見つめるとなんだか楽しそうである。


「・・・来てくれるんですか。」

「あぁ、お前が素直に言えばな。」

「・・・きてほしいです。」


素直に答えると楽しそうな顔は笑いに変わりに上からふってくるキス。それは了承の証。

恥ずかしさに顔を逸らすように残りのノートを写してしまう。

約束通りに愛莉にはノートを返し、放課後2人で検診に行くと腕の方はもう完治していた。足の方はまだまだかかるようだ。


「紅葉、何が食べたい?」

「・・・ハンバーグ。」

「材料あったっけ?」


やっと料理が出来る。最初だからリクエストを作ることにしたが、材料があるのか聞くと、首をふられ買い足しに行く。そんな行動もまるで夫婦のような様になってきたと思う。

手の方が完治してから毎日ご飯と学校の日はお昼にお弁当を作るようになった。紅葉の分と自分のと二人分を。毎日早く起きて朝ごはんと弁当と作るのは結構たいへんであるが、結構料理は楽しいからすきだ。好きな人に作るご飯は愛情を込めて美味しくて作ろうと、より丁寧になる。

紅葉はバイトだったり部活だったり結構忙しい。遅くまでかかるうえに、疲れて帰ってくる。それを癒してあげられるそんなんでありたい。

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