⒉紅葉目線
暖かな日差しの明るさで目を覚まし、まだ学校へいくには早い時間。じいちゃんばあちゃんと高校に入るまで過ごしていたせいか、早寝早起きが基本になっていて高校に入って1人で暮らし初めて1年。毎日同じ時間に起きて、学校へ行くまでの時間をのんびり過ごす。
朝飯を食べまだ余裕はあるが、今日から新学期でクラス替え期待している訳では無いが、早めに出てしばらく歩き着いた学校の昇降口の貼り紙の前で話し込む女子を目にした。
そのうちの1人が運命だの言っていたのを聞き、運命というものはまるで信じていない俺は、「どけ。」というつもりで、
「・・・運命なんてあるわけねぇじゃん。ただの偶然だろ。」
そう言っていた。運命だとか言っていた女の子が、反応し振り返って反論を述べてきた。その反論された言葉に対し俺は、「んなわけあるかよ。ばーか」と言ってそこから立ち去って先程みたクラスへ向かった。
「・・・お、クロおっはよー」
「・・・はよ、」
クラスには1年の時から一緒の三島がいた。彼の友達か仲良く喋っていた中に引き込まれる。
三島はどういうわけか話してもないのに俺が人を信じていないことを勝手に悟っているようである。にもかかわらず俺の事をこうして他の友人達の輪に引き寄せるのだ。
「・・・あ、。おはよー!今日からよろしくね!咲良
ちゃん。彼女達が咲良ちゃんの仲良しのお友達?」
三島は俺を含めた友人と話していたのに教室へ入ってきた女子達の1人になのか声をかけた。
かけられた咲良ちゃんという子と、話し友達の紹介していたので、咲良ちゃんの友人に目を向けると朝の占いの話をしていた彼女だった。
「・・・あぁ、朝の占い女。」
真っ先に出た声がそれだった。いや、名前を知らなかったから当然だ。
俺の声に先程アリスと呼ばれていた少女1人が反応した。
「占い女じゃないもん!私は、有栖川結心です!」
そういった。
それでも俺には占いのことしかいっていない彼女のことは占い女としか思わず、占い信じるやつのことなんか信じたくなくてつい反発したように答えてしまった。
俺の言い返しに対しさらに言い返してきた彼女に俺もまた言い返しての繰り返し。口喧嘩状態だ。
「・・・まぁまぁ、アリスちゃんもクロもそうそうに喧嘩するなよー。」
三島の声で結心は言い返すのをやめた。俺も三島に言われた。
「・・・なんで会って早々に喧嘩してんだ。なにアリスちゃんにきにくわないことでもあんのか?」
「・・・いや、」
いったん終了した喧嘩。俺も三島に言われていたが答えるよりも前に、彼女は友人になにか言われて答えようとしたがふと思いついたのか三島に聞いていた。
「・・・だって。あ、ねぇ。そう言えば、三島くんは紅葉のお友達?」
彼女はそう三島に聞いていた。
聞かれた三島は俺がどう思ってるか分からないという言い方をした。
それよりも気になったのが結心が名前を呼び捨てにして来たこと。ちょっと気に食わなくて、指摘して怒るとやっぱり彼女反論して「占い女」とか、「あんた」だとか言ったことに怒っていたみたいだ。
「・・・あ、結心。俺の方がイラッとしてんだ。ただ忠告してやってんのに怒るから。」
俺もまた言い返してしまう。また「あんた」といいかけたことはもういい。彼女には俺も何故か喧嘩ごしになってしまう。
彼女も同じなのだろうか、俺の言葉に対し反論してくるのだ。だからつい言い返してしまう。
彼女との出会いはそんな感じだった。今でも正直状況は変わってない。
でもあれから1つ、分かったことがある。俺が彼女に少なくとも惚れているということ。
気がつけば目で追うし、気がつけば彼女に声をかけて反発している。
今日も占いのことをはなしている。
俺は占いが嫌いなんだ。占いが人を不幸にする。
「・・・また占いかよ?そんなもん意味ねぇだろ。結心は信じすぎなんだよ。ばーか。」
「紅葉が信じなさすぎなんだよ。」
分かっている。信じすぎなのは。俺だって信じたいことだってあるんだ。だけど信じれない。
「・・・いや、それにしたって結心ほど信じすぎなバカはいねぇ。」
だからめちゃくちゃ信じている結心が羨ましい。そんなに信じて幸せそうな彼女が。
羨ましくて、反発したくなるんだ。
頭の中では本当の信じれない理由とか話したいし、惚れてしまっていることも言いたいのに、口を開けば文句ばかりでてしまう。
「・・・結心。」
「ん?何、紅葉。」
「・・・いや、占い・・・信じて何が楽しいわけ?当たるのなんてひと握りじゃん。ほとんどが不幸だろ。」
喧嘩越しでなくて、落ち着いた口調で聞けたその問は結心に対する疑問だった。
俺には信じることの出来ないそれが信じていて毎日がとても楽しそうだからだ。
「・・・その当たるひと握りが幸せなんだよ。完全に否定していたら占いも当たらないし、ひと握りの幸せも訪れないよ。」
結心の言葉には俺の心に残るものを感じた。結心の幸せな顔は占い、そして周りの人を信じているからひと握りだった幸せがやってくるのだ、彼女には。
「・・・んなもん、あるわけねぇじゃん。」
「紅葉は否定してるからいつまで経っても訪れないの。少しでも信じれば来るよ、幸せ。」
彼女はそう言った。俺には彼女のそばに居るからこそあるお零れのような幸せで今は十分だ。
結心と出会う前までの俺のろくでもない人生に比べて、人生こいつがいれば明るくなるだろうって思えるほどいつの間にか結心のことを信じてみたいと思った。
だけど、今はまだ、信じれないものは信じられない。
いつか近いうちに信じられる日が来ればいいと思う。
「・・・アリス、占いなんだって今日は。」
「愛莉は、気持ちが落ち着かない日。ゆっくり物事をすることを心がけよう。」
「うん。結心自身は?」
俺は結心が友達と話していることさえも耳に直ぐに届く。彼女が話すことはほとんどが、占い。話す時の彼女はとても幸せそうで羨ましくて気になって仕方がない。
彼女の嬉しそうな笑顔を見れるだけで俺の幸せで、それを崩すのも俺自身で、でも怒った顔も可愛いと思う。
そんな思いを胸に、ちょっかいや反発を繰り返す俺は結構彼女に本気だと思う。