⒈結心目線
登場人物
名前 有栖川 結心
性別 女
性格 明るいくみんなから愛される女の子
ニックネーム アリス、ゆい、ゆいこ
名前 黒崎 紅葉
性別 男
性格 明るい男の子だが、好きな子には喧嘩越しでしか話せない。
ニックネーム 黒崎くん、かえで、紅葉くん、クロ
※悲しい過去があり
人を信じず、占いなんてもってのほか。信じない。
結心の友人(1番仲良し)
名前 佐渡愛莉
性別 女
性格 さっぱりしていて物事をハッキリという
ニックネーム あいり、佐渡、あいりちゃん
結心の友人
名前 八重樫 咲良
性別 女
性格 おっとり系、清楚
ニックネーム やえちゃん、八重桜、八重樫、咲良ちゃん
紅葉の友人
名前 三島 蒼汰
性別 男
性格 大雑把でなんでも適当
ニックネーム 三島くん、みしま、そうたくん
新学期の朝、暖かな春の日差しで目を覚ました。
日差しが昨夜の雨で輝く庭の桜が眩しく光っていた。
いい目覚めのままテレビで今日の自分の運勢をみた。それも毎日の日課。
今日の私の運勢は運命の出会い。それとラッキーアイテムというヘアゴム。幸運を呼ぶというクローバの付いたゴムで軽く髪を整え学校へ向かった。
「結心おっはよー!」
校門まで来ると後ろからやって来た友人には挨拶された。
「愛莉おはよー!」
「おはようアリス、愛莉ちゃん。」
さらに後ろからもう1人の友人に声をかけられた。
「おはよー!八重桜!」
「・・おはよ、やえちゃん、で、結心さん?今日の運勢はどうだったわけ?」
「よくぞ聞いてくれました!!今日!なんと、運命の相手に出会うと!!どんな人だろう〜♪」
「運命ねぇ〜まぁ、出会うといいね?今日はなんたって、新学期だからね?クラス替えだしね、」
愛莉は占いには興味が無い。それなのに毎日私の占い結果を聞いてくる。それがなんでか聞いたことがある。返ってきた答えは『占いとか、誰かに話せば恋であればキューピットみたいになるかもしれないんじゃない?』と言っていた。
3人で話しながら昇降口まで行き、張り出されたクラス表を見た。
「・・・あ!八重桜も、愛莉も一緒のクラス!これも運命じゃない?!」
「そうね、運命かもね。」
「・・・運命なんてあるわけねぇだろ。ただの偶然に決まってんじゃん。」
八重桜と愛莉に言うと、ふと後ろから聞こえた別の男の声。何となく聞いた事あるようで結心の知らない人。
「・・・あるよ!信じれば付いてくるものだよ!」
「・・・んなわけあるかよ。」
その声にムッとして振り返り、反論を述べると少し驚いた顔をしたと思うと悲しそうな顔で私の反論に対してそう答えると、背を向け「ばーか」と言いながら去っていった。
「・・・愛莉今の誰。」
「・・・彼は黒崎紅葉。紅葉と書いて“かえで”。・・・あ、あいつも同じクラスだね。」
聞いたことあるようで覚えてない彼の名前なんて知らなかった。
彼には少しどころか私の好きな占いを否定されてとても腹が立った。
「彼、結構有名だよ。アリスはいつも占いのことでいっぱいみたいだけど、彼は女子に人気あるんだよ。」
思わぬそいつは、私の知らないだけで有名だったらしい。八重桜に言われて初めて知った。
「・・・そうだね、彼は女子にモテてて1日1回は女の子に告白されてるが付き合った女は未だ1人もいないって噂だ。」
「・・・らしいね、黒崎くんって人嫌いで有名らしいよ。でもそれを直してあげようと付き合いたいって子が急増してるって話し。」
友人の話は全ては噂だが、一通りに親友達に教わった限りだとわたしと彼は正反対。紅葉の話を聴きながら歩いていると着いていた教室。
果たしてこれも運命というものなのか、黒板にはり決められた席はどうやら先程の彼の隣の席のようだ。
彼は隣の席については気にしていないのか、離れた席で友人達と談笑していた。
話していた中の1人がこちらに気がついた。
「おはよー!今日からよろしくね!咲良ちゃん。彼女達が咲良ちゃんの仲良しのお友達?」
「・・・蒼汰くん。おはよう。そうだよ、話したでしょ、こっちがアリスで、こっちは愛莉ちゃん。」
気がついてこちらに話しかけてきたのは、八重桜の幼なじみの三島蒼汰くんで、さらに、彼は朝あった彼の友人だった。
「・・・あぁ、朝の占い女。」
こちらに気がついた紅葉が振り向いて放った一言がそれだった。
「占い女じゃないもん!私は、有栖川結心です!」
「・・・あ、そう。俺アンタの名前は今知った。それにアンタ、占いなんて信じていい事なんてなんもねぇよ。ばーか。」
彼にそう言われ、朝あった時みたいにやはりイラッとした、次の瞬間には言い返していた。
「あるよ!全部否定してるあんたには一生起きないだろうけどね!」
私の言い返しに対しさらに言い返ししてくる紅葉。つい、口喧嘩になってしまっていた。
「・・・まぁまぁ、アリスちゃんもクロもそうそうに喧嘩するなよー。」
三島くんは紅葉くんのことクロと呼ぶんだ・・・。そこではなかった。三島くんの声でふと我に返り喧嘩越しの口調が彼も私も止まる。
私はムッとした顔で紅葉を睨みつけていた。
「結心、顔が怖いよ。」
「・・・だって。あ、ねぇ。そう言えば、三島くんは紅葉のお友達?」
愛莉に言われ、言い訳を話そうかとしたが、三島くんの紅葉の呼び方が気になって話した。
「・・・うーんまぁ。友達かな?クロは思ってないかも。」
聞くとどうも歯切れの悪い返事が帰ってきた。「どーして?」三島くんに聞き返すと紅葉が口を挟んだ。
「・・・おい、三島思ってないことはねぇよ。つーか、てめぇ、さりげなく俺の名前呼び捨てにしてんじゃねぇよ。」
彼らは一応友達らしい。
けど三島くんが友達かなと思っているのには紅葉のただならぬ事情があるらしい。
「・・・いいじゃない。私のことをアンタ呼ばわれするし?なんだかイラッとした。それに否定すから。」
話してみて早々に彼にはイラッとしていてか、つい勝手に呼び捨てにしていた。言われて気がついたがもう訂正するつもりもなく、最もぽく理由を述べていた。
「・・・あ、結心。俺の方がイラッとしてんだ。ただ忠告してやってんのに怒るから。」
「アンタ」と言おうとしたのだろうか、彼は言いかけて、私を呼び捨てで言い直した。
やはり紅葉のいうこはイラッとして喧嘩越しになる。
私たちが言い争いしている間に、三島くんや愛莉は仲良くなっていた。私達も喧嘩にはなるが仲良く?なった。
仲良くなってからというものの、毎日占いのことを愛莉たちに話していると必ず紅葉が割って入ってきて毎度異議を唱えてくるのだ。
「また、占いかよ?んなもん、意味ねぇだろ。信じる方がバカだろ。結心は何でも信じすぎなんだよばーか。」
「・・・紅葉が信じなさすぎなんだよ。」
そう彼は何でも信じなさすぎる程に、人や物事の全てを信じない。
「いや、それにしたって結心ほど信じすぎなバカはいねぇ。」
バカとよく口にしてくるので彼にはいつも腹が立つ。だから余計カッとなってしまう。
「・・・また、占いのことで喧嘩?」
「・・・だってこいつが!」
横から割って入ってきたその声に2人で反応してしまった。
「はいはい、全く仲がいいんだか悪いんだか。」
「良くはない!!」
「・・・同時に言われたって説得力ないね。」
友人達に言われ同時に否定の言葉を言っているとそんなふうに言われた。
仲良くないものは無いんだ。正直仲良くなりたくもないかも。占いを否定する彼とは。
何があるのか知らないけど私の好きな占いを否定するやつと仲良くなってたまるか。
結心は密かにそう思っていた。
「・・・結心が当たりもしない占いなんて信じてるからだよ。」
「紅葉が信じなさすぎてるだけだって!それに紅葉は人1人信じてないじゃない!友達の三島くんですら信じてない。」
「・・・そりゃそうだろ。何を信じればいいんだ。当たらない占い信じるのも友達もいずれ壊れる仲なんだよ。信じて後悔するなら最初から信じない方がマシだ。」
彼はそう、人1人も信じてない。どんなに言ったところで彼の思いは覆すのは難しいらしい。信じない理由すらも教えてくれない彼と本当の意味で仲良くなれる日は遠い話のようだ。
「・・・そう言えば、今日の占い・・・」
いつもの様に口喧嘩をしていて、朝の占いで言っていたことを思い出す。
占いではこうだった。『想いの人喧嘩。だけどケンカが近づきになるチャンス。』と言っていたのを思い出し、想いの人とは違うと思うが、紅葉のことかと思い、ボソッと呟いていた。
「・・・はぁ?また占い?占いの何がいいんだ、この占い女。」
呟いた声に紅葉が反応する。彼は占いと言う言葉に敏感だ。
「・・・紅葉には一生分からないだろうね?それと私、占い女なんて名前じゃない。」
友人に止められようとやはり彼とは口を開けば喧嘩になってしまう。
まだ、彼と知り合ってそんなにも立っていない私は彼の考えていることはもちろん、なぜここまで占いや人を毛嫌いしているのかまだ分かっていない。分からないからこそ彼に八つ当たりじゃないが私のことを否定されているようで気分が悪い。
「・・・はいはい。結心。ばっかじゃねぇの?運命だの、占いだの、なんの根拠に信じれんだよ。マジでバカ。」
「・・・紅葉。なんでそんな否定するの?信じてないから友達には裏切られるんだよ?」
そう伝えると彼は眉をひそめて結心を無言で睨みつけられる。
「・・・アリスちゃん、クロの奴過去になんかあったらしいんだ。だから本当の意味で心を許せる友達作らないんだ。俺も友達ではいるけどクロは心の許せるやつとはちがうんだ。」
三島くんは紅葉が、席を離れた好きに悲しそうにそう教えてくれた。
紅葉には何かあるとは思っていたが、友達も知らない大きな闇を抱え、ていることは明白だった。
それがどんなものであろうと、白状させて信用というものを紅葉に取り戻させるため、いや、自分にだけでも信用させたい。彼を振り向かせたい。いつの間にか結心にはそんな考えがあった。